猫の大敵! 泌尿器系の病気について

2016.05.13

猫の大敵! 泌尿器系の病気について

「泌尿器」とは、体液(血液)中の老廃物などを尿にして体外に排出する働きをする器官(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の総称。猫は、砂漠暮らしの祖先から体の仕組みを受け継いできたために、泌尿器系の病気にかかることが非常に多いといわれています。加齢に伴う機能の衰えが原因である場合も多いのですが、若いうちからかかりやすい病気もあります。泌尿器系の病気を予防するために、しっかりケアすることが必要です。

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猫に多い病気

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ペット総研が「ペットの健康チェックで目安にしていること(複数回答)」を尋ねたところ、犬と猫のオーナーでは異なる結果が出ています。特に、「尿や便の状態や回数」は犬は4位(40%)なのに対し、猫は59%で最も多くなっています。
排泄物のチェックが重要視されていることから、猫には泌尿器系や消化器系の病気が多いということがうかがえます。
http://www.pet-soken.jp/result/blog.cgi/permalink/20141222000000
ペット総研「愛犬の健康管理」(2014年)
http://www.pet-soken.jp/result/blog.cgi/permalink/20100402000000
ペット総研「愛猫の病気と健康管理」(2010年) を元に筆者が作成

実際に、花王㈱が2010年に猫オーナー3,296人を対象に行った調査では、疾患経験がある猫955頭が「かかったことがある病気」は、
1位:泌尿器系の病気(46.8%)
2位:目と耳の病気(10.7%)
3位:消化器系の病気(10.2%)
という結果が出ており、泌尿器系の病気にかかる猫が圧倒的に多いことがわかります。
http://www.kao.co.jp/nyantomo/care/report/index.html
花王㈱による調査(2010年)

泌尿器には、尿を作る腎臓、膀胱に尿を運ぶ尿管、尿を一定量ためる膀胱、膀胱から尿を排出する尿道等の器官があります。猫はなぜ、そしてどのように病気になってしまうのでしょうか。

◆猫が泌尿器系の病気にかかりやすい原因

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猫の祖先は砂漠で暮らしていたリビアヤマネコ。乾燥した土地で生きていくためには水分を有効に活用しなければならず、尿をできるだけ濃くして少ない量で排泄するようになりました。しかし、その進化の名残りが現代の猫にとっては悩みの種となっており、
・尿を濃縮する機能をもつ腎臓に大きな負担がかかる
・濃い尿の中に含まれているミネラルが結晶化して結石ができやすい
・結石が膀胱を傷つけ、膀胱炎になりやすい
といったことが、猫が泌尿器系の病気にかかりやすい原因となっています。

◆腎臓の働き

腎臓には以下のような働きがあります。
・有用な物質(ブドウ糖、アミノ酸など)をろ過して、老廃物とより分ける
・尿の濃さ・量を調節し、体内の水分量を調節する
・血液中のミネラルの調節
・血圧を調節するホルモンの分泌
全身にこのような影響を及ぼす腎臓の機能が低下したり、尿が排出されるまでの器官に不具合が生じたりすることが、猫の小さな体には大きな負担となってしまうのです。

◆猫に多い泌尿器系の病気

以下の4つの病気が「猫の4大泌尿器疾患」と呼ばれています。

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– <尿路結石症> –

尿の中に結晶や結石(尿がアルカリ性に傾くと「ストルバイト」、酸性に傾くと「シュウ酸カルシウム」)ができて膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりする病気。 
猫の尿が濃いという原因に加え、体質、食生活や肥満が原因となることもある
症状:尿が少ししか出なくなりトイレの回数が増える、血尿が出る、尿をする際に痛がって鳴く 
治療:軽度ならば投薬と食事療法が行われるが、石が溶けない場合は手術による除去が必要となる

– <尿道閉塞> –

結石が尿道に詰まるなどして尿が出なくなる病気。尿石症が原因であることが多い
症状:尿が少ししか出なくなりトイレの回数が増える、血尿が出る
治療:全く尿が出なくなってしまった場合、数日間で死に至る場合もあるので早期治療が必要

– <膀胱炎> –

尿結晶や細菌感染などで膀胱の粘膜が傷つき、膀胱に炎症が起こる病気。
多頭飼育や生活環境の変化、フードの変更などによるストレスからの発症も増えている
症状:頻尿、排尿困難、血尿が出る、患部に触れると痛がる
治療:抗生物質などの投薬治療が行われる

※以上3つを「猫下部尿路疾患(FLUTD)」と総称して、慢性腎不全ともに2大疾病と呼ぶ場合もあります

– <慢性腎不全> –

主に加齢とともに腎臓の機能が徐々に低下していき、機能不全になった状態のこと
症状:多飲多尿(尿の濃縮ができなくなって体が自然と水を要求する→多飲→きちんと濾過されない尿が増える→多尿)、尿毒症(尿が作れないため体外に排出できなくなった老廃物や毒素が体内に溜まる)、食欲不振、体重減少、活動的でなくなる、貧血、息切れ、毛並みが悪くなるなど。高血圧を併発し心臓の病気につながる場合もある
治療:一度発症すると治ることはない。内科治療と食事療法によって症状を緩和する

これらの病気のかかりやすさは、性別・年齢によっても異なります。
・オスの猫はメスよりも尿道が細く長いため、尿道閉塞を起こしやすい
・メスの方が膀胱炎にかかりやすい
・肥満になりやすいため、去勢・避妊した猫の方が泌尿器の病気にかかりやすい
・泌尿器系の病気は加齢とともに増加し、花王㈱の調査では病気をしたことがある7歳以上の猫の56.8%が泌尿器系の病気の経験あり 
 

◆泌尿器の病気を予防するために

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同じ調査で、腎不全は13歳以上で18.8%に急増(7~12歳は6.7%)しているのに対し、下部尿路疾患(尿路結石症と膀胱炎)は1~6歳で47.2%、7~12歳で61.7%が経験しており、若いうちから気をつける必要があります。また、尿路結石症・膀胱炎の再発率は50%弱というデータもあります。
http://www.kao.co.jp/nyantomo/care/report/index.html
花王㈱による調査(2010年)

– <給水> –

・好きな時に水が飲めるよう、水飲み場を複数設ける
・少しでも多く飲めるよう、水はいつでも清潔に
・冬場は特に水を飲む量が減らないように気をつける

– <トイレ> –

・清潔なトイレを複数用意し、トイレに行くのを我慢させないようにする
・トイレに行く頻度や、排泄物は毎日チェック。尿の固まりが小さかったり、血尿で赤くなっていた場合はすぐ病院へ!

– <食事> –

・ミネラル分を制限したフードや、尿のpHを調整するフードを選ぶ
・塩分の高いもの、タンパク質を多く含む食べ物は避ける

– <健康管理>  –

・適度な運動を心掛け、肥満させないようにする
・ストレスの少ない生活が送れるようにする
・定期的に尿検査を受け、異常がないかを確認する

上記のようなケアを行い腎臓への負担を抑えることによって、愛する猫さんが長く健康でいられるようにしてあげましょう。

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North Cat

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「お子さんは?」と聞かれたら「いますよ!4本足ですけど」と答えます。  子ども代わりに育てた猫は4匹(ぜんぶ野良)。通院、闘病、引っ越し、悲しい別れなどを経て、現在は2匹の猫と夫とお義母さんと暮らしています。  猫たちとのより幸せな暮らしをめざし、勉強したことをお伝えしてまいります!

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