ペットのための防災対策の現状

2016.06.04

ペットのための防災対策の現状

「災害が起こってしまった時にペットをどうするか」。これは常日頃から考えておきたい問題です。2011年3月に発生した東日本大震災の際には、被災した家に残されていた犬や猫たちと再会を果たす飼い主さんの姿や、飼い主とはぐれたペットを保護するボランティアさんたちの姿に心を動かされました。しかし、それはいつ自分の身に起こるかわからないことなのです。ここでは「ペットのための防災意識」や防災対策の現状、災害時における自治体の対応状況についてまとめてみます。

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このたびの「平成28年熊本地震」により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。くれぐれもご自愛いただき、1日も早く回復・復旧されますことをお祈り申し上げます。

ペットのための防災意識

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2014年8月にペット保険のアニコム損害保険㈱が行った「ペットのための防災対策」という調査では、「ペットのために防災対策をしている」と答えた人が64.9%でした(回答数:2,387)。同じ内容の調査結果が2009年は57.6%、2011年は61.6%であったことから、ペットに関わる防災意識が高まってきていることがわかります。

具体的に「防災対策として行っていること」をみると、

・ペット用の避難用品を準備している(60.8%)
・共同生活できるようワクチン接種やノミ・ダニ予防をしている(56.3%)

の2項目は半数を超えていますが、

・鑑札、迷子礼を付けている(32.2%)
・マイクロチップを装着している(29.5%)

といった「迷子対策」になると3人に1人以下の割合となり、

・家具などが倒れないように固定している(27.1%)
・避難場所、避難経路の確認をしている(15.0%)
・預かってくれる場所(友人・知人など)を確保している(9.0%)

といった、実際に地震などの災害が発生した場合を想定した対策が行われている割合はさらに低くなっています。


ペット用の避難用品

「避難用品として準備しているもの (複数回答)」としては、

・キャリーバック(ケージ)(60.7%)
・リード・首輪(60.1 %)
・備蓄フード・飲み水(52.2 %)
・トイレ用品(45.2% )
・携帯用の食器類(33.5%)

が上位に挙げられています。
一方、実際に災害に遭われた経験のある飼い主さんが、「準備しておけばよかったと感じたもの」として挙げている上位は、

・備蓄フード・飲み水
・トイレ用品
・預かってくれる場所
・マイクロチップ
・鑑札、迷子札
・避難場所、避難経路の確認

といった項目であり、普段準備しているものとは順位が大きく異なっていることがわかります。

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自宅からの移動のために必要なキャリーバッグやリードは準備していても、「避難先」や「地震などの災害が起こってからの生活に必要なもの」まではなかなか思い至らないもの。この調査の回答者は犬の飼い主さんの方が多いと考えられますので、猫の防災対策として完全に当てはまるとは言えないかもしれませんが、参考にしたいデータです。
泌尿器系が弱く、デリケートな猫に関しては、トイレ用品を日頃から備蓄しておいた方が安心でしょう。また、一緒に避難する場合でも自宅に残していく場合でも、水と食べ物は絶対に必要です。いざという時に困らないよう備蓄しておきましょう。
横浜市のホームページでは、ペットフード、水、薬(最低5日分)やリード、シーツなどを入れた「ペット用非常持出袋」の準備を推奨しています。


ペットを連れての避難

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同じ調査で、「住んでいる自治体の避難所はペットが一緒に避難できますか」と尋ねたところ79.0%が「わからない」と回答しています。また、一緒に避難できない場合に預ける予定の場所を「考えていない」人が38.0%と最も多くなっています。

動物愛護管理法を管轄している環境省は、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をホームページ上に掲載しており、その冒頭には「これまでの大規模災害の経験から、飼い主とペットが同行避難することが合理的であると考えられる様になってきている」と明記されています。
これに伴い、各自治体でも「動物愛護管理推進計画」の中に「災害時の動物の適正な飼養及び保管に関する施策」を盛り込むことになっていますが、実際の対応状況は自治体によってさまざまです。お住いの自治体では災害時のペットに関してどのような対応を取っているか、ホームページなどで確認しておくことも大切です。

例えば、筆者の住んでいる自治体ではペットを避難所に同行させた場合、まずは「ペット登録台帳」に登録します。居室部分にペットを持ち込むことはできず、原則、敷地内屋外に設けられたスペース内で飼育することとなります(公共的施設へ同伴が認められている身体障害者補助犬は例外)。
さらに、ペットの飼い主に対しては、

・ペットは、指定された場所につなぐか、ケージの中で飼う
・首輪等を着用し、誰のペットかすぐ分かるようにする
・飼育場所は、飼い主の手によって常に清潔にする
・屋外の指定された場所で排便させ、後始末を行う
・給餌は時間を決めて、その都度きれいに片づける

等のルールが定められています。


災害時のペット保護のための新たな動き

避難先では飼い主が責任を持ってペットの適正管理をすることが原則とされていますが、災害時の混乱の中では、ペットアレルギー、ペットの鳴き声や臭い、飼育マナー等によって他の避難者との間でトラブルが起こりがちなのも事実です。
自治体によっては、災害時に飼い主とともに適切にペットの保護・管理を行う「災害時ペット管理ボランティア」を募集しているところもあります。

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例えば、練馬区ではその活動内容として、災害時には「避難拠点にペットを連れてきた避難者の登録」「飼い主とともに避難ペットの適正飼育、管理をする」「(仮称)動物救護センターに収容された動物の飼育管理」、平時にも「避難拠点の会議や訓練等に参加」「区の研修や関連事業に参加し、日頃から知識の習得をする」といったことを定め、避難してきた飼い主さんたちのリーダーとなれる人材を育成しています。
また、一部の自治体では災害発生時の動物保護拠点の構想も進んでいます。横浜市では「動物救護センター」構想において飼い主とはぐれたペットの保護収容とともに地域防災拠点での飼育が困難なペットの保護にも目を向け、テントやペットケージの備蓄、ペットフード・ペット用品の手配の準備を行っています。

地震、水害など万が一の時には自分の身も大切なペットの命も守らなければなりません。
そのために今できる準備は行っておきましょう。

<参照サイト>
ペットの防災対策実施率64.9%、過去5年上昇傾向/アニコム損害保険株式会社
災害時におけるペットの救護対策ガイドライン/環境省

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North Cat

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「お子さんは?」と聞かれたら「いますよ!4本足ですけど」と答えます。  子ども代わりに育てた猫は4匹(ぜんぶ野良)。通院、闘病、引っ越し、悲しい別れなどを経て、現在は2匹の猫と夫とお義母さんと暮らしています。  猫たちとのより幸せな暮らしをめざし、勉強したことをお伝えしてまいります!

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