フィラリアとは?

フィラリアとは寄生虫の名前で、別名は「犬糸状虫」と呼ばれています。
フィラリアの成虫はそうめんのような細長い形をしていて、長さが30センチにもなります。犬や猫などの心臓・肺などに障害を引き起こして、最悪の場合は死ぬこともある病気です。
犬の病気だというイメージがありますが、この寄生虫は猫にも寄生することがあるのです。
フィラリアの感染の仕方は?

フィラリアに感染している犬の血を蚊が吸い→蚊の体内にフィラリアの幼虫が入り込む→その蚊が、猫の血を吸う→蚊の体内にいるフィラリアが猫に感染する
フィラリアはこのように感染します。
猫の場合、フィラリア幼虫の多くは、心臓にたどり着けません。猫がフィラリアに寄生されてもほとんど症状が見られないこともあり、あまり問題視されないこともあります。
どんな症状が出るの?

症状が出る時は、猫が強い炎症を起こして、咳や呼吸困難な状態、嘔吐といった症状が見られます。フィラリアが肺動脈に到達した時期の症状は、肺動脈に寄生するフィラリア虫体やその分泌物によって、血管や肺動脈に炎症が起こります。
さらに、猫の体が肺動脈で死んだフィラリアに対して急激なアレルギー反応を示したり、死滅したフィラリアが肺動脈に詰まって急性の呼吸困難が引き起こされることで、突然死したりすることもあります。
フィラリアに感染すると、食欲低下や、眠っていることが多くなったり、体重が減少したりするといった症状が現れる猫もいますが、目立った症状の見られない猫もいます。
飼い主が見ていて気づく猫の状態は、次のようなものです。
・咳をする
・吐く
・食欲がない
・体重が減ってきた
・疲れやすい
このように、猫のフィラリアの症状は、他の病気にもよく見られる症状が出るため、判別しにくいのが特徴です。
フィラリアと似たような症状を起こす病気

フィラリアに感染すると、咳などの呼吸器系の異常、下痢や嘔吐、体重減少などの症状が見られるようになります。
これらと似たような症状が出る病気についていくつか紹介してみたいと思います。
◆ぜんそく、アレルギー性気管支炎
ほこりや花粉、食べ物などが引き金となってアレルギーを引き起こし、咳をするようになります。重度になると呼吸が困難になり危険。
原因となりそうな刺激を猫の生活圏内で発生させないようにする予防も大事です。
また、症状が軽いうちに発見できれば、原因を特定して適切な治療をすることができるでしょう。
発作のときの症状を軽くできるので、苦しそうな咳が続くようなら動物病院を受診したいものです。
◆心筋症
心臓の働きが悪くなるため、症状が進むと咳をしたり、呼吸が荒くなったりします。症状が進むと、元気がなく食欲も低下してくるでしょう。
◆トキソプラズマ症
猫がトキソプラズマ(寄生虫)に感染して起こる病気です。軽ければ下痢が見られる程度で済みますが、免疫力が低い体の弱い猫が感染すると、下痢や嘔吐、咳、呼吸が苦しそうなどかなりの辛い症状が見られるようになります。
また、この病気は人間にも感染するので注意が必要です。
◆慢性腎不全
シニアに近い年齢になった猫によく見られる病気です。初期症状では、「水を飲んでばかりいる」「尿の回数が増えた」という様子が多々見られますが、これが進んでいくと下痢や嘔吐など消化器系の症状が目立ってきます。
フィラリアと同じように体重も減ってくるので似ているかもしれませんね。
◆胃腸炎
胃腸が荒れる胃腸炎は、吐いたり下痢をしたりの症状が目立ちます。炎症がひどいと「口に入れたものを吐く」ので、食欲そのものがなくなり、結果的に体重が減ってしまうでしょう。
基本的には、胃腸炎は「下痢」「嘔吐」がおもな症状で早めに病院に連れていくことで治療ができます。異変があらわれたら、なるべく早めに動物病院に行きましょう。
◆肺炎
猫の肺炎は、ウイルスや細菌の感染が原因で起こることが多いです。乾燥する季節には、そもそも気道の機能も弱く、さまざまな菌に感染しやすくなっています。
肺炎が起こると、呼吸器系に特に大きな異常が見られるでしょう。咳が出るのはもちろんですが、鼻水が出たり発熱したりと風邪のような症状も。肺炎が悪化すると命を落すリスクもゼロではありません…。
動かなくなったり、呼吸が荒く苦しそうだったりなど、見た目的にも「症状が重い」と気づく飼い主さんが多いようです。
◆子宮がん
メスの猫の子宮に腫瘍ができ子宮がんになると、下痢や嘔吐、食欲がない、寝てばかりいる…などの症状が出てきます。腫瘍が膨らむとお腹が大きくなったり、しこりに触れたりなど、お腹だけが太ってきたように見えたら、病院を受診した方がいいかもしれませんね。
◆毛球症
毛づくろいで飲み込んでしまった毛が、消化器のなかでボールのようになる症状です。嘔吐はするものの吐き出すことができない、便で出せないので便秘になる…と猫にとっては不快な症状が続きます。
◆症状が重なったら早めの受診を…
咳、嘔吐、食欲不振、体重減少、元気がないなど、フィラリアの症状と似た病気をいくつか紹介しました。似た症状なので「どの病気か」は飼い主さんで簡単に判断することは難しいでしょう。それに、フィラリアにかかっても進行するまで症状があまり出ない猫ちゃんもいます。
フィラリアにかぎらず、すべての病気に言えることですが、早期発見早期治療で愛猫を守ることができます。「いつもと違った様子」「いくつかの症状が重なっている」など、異変が起こったときにはまずは動物病院に行くようにしたいものです。
フィラリアの駆除
猫の場合は、体内の成虫や幼虫の駆除は、猫が本来持っている免疫力にまかせて、人間の側では再感染の予防に努めるという方法が基本となっています。
動物病院での検査でフィラリアかどうかがわかる?

基本的には犬と同じ方法で検査します。フィラリアは猫の体内では生存しにくいということもあり、寄生していても、少数ということがほとんどです。そのため、どの検査法でも検出しにくい、という問題があります。
数滴の血液で検査し、免疫反応を利用します。メスのフィラリア成虫に反応するので、オスのみの寄生や幼虫のみの寄生だった場合は陰性(感染なし)という検査結果となることがあります。
レントゲンでフィラリアそのものは見えません。肺や気管支の見え方、特に、肺動脈の太さで判断することになります。
エコーで心臓内を直接見てみることで、心臓内のフィラリアを確認します。ただ、心臓内にいるフィラリアしか発見できません。猫の場合、肺などにいるフィラリアが症状を起こす事が多いので、心臓以外にいた場合にはわからないという事になります。
これらの検査から、総合的に判断します。このように、猫では犬に比べてフィラリア症の診断が難しいため、何より予防が大切なのです。
予防の仕方は?
獣医師によっては、予防は必要ないという意見や、室内飼いの猫でも予防をするべき、という意見があり、様々なのが現状です。
–薬を使用する–
フィラリアの予防薬には、皮膚に付けるスポットタイプと、経口タイプの薬があります。必ず、獣医師による検査の後、処方されたものを使用するようにしてください。
蚊が活発に動くのは4月下旬から11月半ば頃なので、体内に入った蚊を駆除するために5月上旬から12月中旬の予防が効果的です。フィラリア症の専門学会は、1年を通しての予防をすすめています。
–蚊を駆除する–

蚊を通して感染しますので、蚊を駆除するという予防法があります。生活環境からできるだけ蚊を駆除するよう努めましょう。
外に出さないことは、蚊に刺されにくくなるとは言えますが、完全室内飼いなら大丈夫かというと、室内でも蚊はいますので、そのようなことはありません。
蚊のさなぎや卵は、水を必要としますので、水たまりなどが家のまわりにないように、心がけましょう。成虫の蚊に対しては、市販されている殺虫剤で駆除してください。ペットにも安全となっているものを選んで、体には噴霧しない、餌をあげている場所では使用しないなど、猫の体に影響のないようにして、フィラリアを予防しましょう。
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