7月5日に行われた「猫の繁殖と疾病の予防管理」に関するセミナーで、
国際小動物医学部研究所所長 日本獣医生命科学大学名誉教授
筒井敏彦先生が「猫の繁殖の特徴」についてお話された中からピックアップし、紹介していきたいと思います。
光によってコントロールされる?
猫は光に当たる時間により繁殖周期をコントロールされる生き物と知っていますか?
多くの動物たちは繁殖期と呼ばれる時期があり、一年に何度か繁殖が可能な期間があります。
ちなみに、私たちにとても身近な動物である犬は「周年繁殖」と呼ばれる季節に影響を受けない動物です。
この周年繁殖動物は、他にも牛・豚・モルモットなどがいます。
繁殖時期は動物によってさまざまであり、猫の場合、春の少し温かくなり始める時期から始まります。
つまり、日照時間が長い時期が繁殖期ということです。
こうした光に左右される動物は「季節繁殖動物」と呼ばれる種類になり、さらに、猫のように
春から夏にかけての日照時間が長い時期に繁殖を行う動物を「長日繁殖動物」と分けられます。
猫の他にも、長日繁殖動物には馬・熊・オオカミ・タヌキなどがいます。
どうやって判断ができるの?
日照時間に左右されるということですが、猫はどうやって光の当たる時間を判断することが
できるのでしょうか。もちろん、時間を計って計算しているとは思えませんよね(笑)
実は、脳の中にある松果体(しょうかたい)という器官が大きく関わっているそうです。
この松果体での光の認識により、メラトニンと呼ばれる物質が分泌されます。
そして、このメラトニンにより、猫の繁殖はコントロールされているのです。
光はどれくらい必要なのか?
筒井敏彦先生によると、猫は1日8時間以下の照明であった場合、発情はせず、
1日12時間以上の照明であった場合、発情をするという調査結果を発表した。
そのため、日照時間の比較的短い9~12月は全く発情をしません。
また、冬の期間雪に覆われ、日の光が少ない日本海側は発情が遅いという
調査結果も出ています。
猫の性周期って知ってる?
人の赤ちゃんの誕生は10月10日と言いますよね。
では、猫の妊娠から赤ちゃんが誕生し、離乳するまでの流れはどのようなものでしょうか。
妊娠から出産までが平均67日、2ヶ月ちょっとで生まれるんです、早いですよね。
そこから、猫の子育ては始まります。
ですが、子育て中に繁殖期に突入した場合、どうなると思いますか?
実は、ミルクを与えている間は発情をしないからだになっているんです。
また、子宮の修復が早いため、残念ながら産まれた赤ちゃんが少なかったり、死んでしまった場合
すぐにまた子供を産む準備ができるのだそうです。
まとめ
①季節繁殖は、日照時間によってコントロールされている
②1日8時間以下の照明では発情は発現しないが12時間では可能になる
③日照関係と繁殖の関係は、脳に存在する松果体から分泌されるメラトニンに
よってコントロールされている
少し難しいお話になってしまいましたが、猫のからだの秘密や光との関係について
知っていただけたでしょうか。子孫を残す為に猫のからだには多くの機能が備わっているんです。
お家の猫ちゃんにも、もちろんその機能は備わっています。
愛玩動物としてお家で暮らしていく場合には
避妊・去勢手術をすることで、こうした発情などが抑えられることもあります。
上記の3点を理解し、猫ちゃんへの理解をさらに深めていきましょう。
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