ネズミ捕獲長の歴史を調べよう

イギリス首相官邸のあるダウニング街では、昔からネズミが多く住みつき、その対策として猫を「ネズミ取り兼ペット」として雇う習慣が1500年代初期からありました。1924年からは「首相官邸ネズミ捕獲長」として正式に雇用されています。
1929年当時、大蔵省のAE・バンハムは「有能な猫の生活費として雑費から1日あたりペニーを支出する」ということを事務員に認めていますし、1932年には手当が週当たり1シリング6ペンスまで増えました。
1924年初代のネズミ捕獲長の「トレジャリー・ビル」から始まり、現在のラリーまで、なんと12匹もの猫が就任し活躍しているのです。
首相官邸ネズミ捕獲長 ラリー氏とは
With Dave gone, guess who's in charge for the next hour or so: pic.twitter.com/SeJXJcxzMy
— Larry the Cat (@Number10cat) 2016年7月13日
ラリーは2011年2月にアニマルシェルターから引き取られ、日に日に増加する首相官邸のネズミ駆除の為、近隣住民の期待を一身に背負い任務に抜擢されました。
就任当初は「狩猟意識が旺盛」「社交的で海外からの要人への対応も堂々としている」と絶賛だったのですが、本来のネズミ駆除の成績が不振で、就任から半年における公式の確認戦果はなんとわずか1匹でした。

ラリーはマスコミからも絶好のターゲットとなり、ネズミを取り逃がしてしまったところを写真に撮られたり、勤務時間中にサボっているところを警備中の警官に起こされるという記事までマスコミに書かれてしまいました。
このためキャメロン首相は内閣改造の一環としてラリーの更迭を決定し、後任にジョージ・オズボーン財務相の飼い猫であるフレーヤを「国家ネズミ捕獲員」に充てることにしました。
尚、ラリーは現在「ネズミ捕獲員」として留任しているとのことですのでご安心ください。
外務省「ネズミ捕り長官」としてパーマストンが就任
首相官邸以外の省庁でも、2016年4月に保護施設から引き取られ、「パーマストン」と名付けられたオス猫が、外務省のネズミ取り長官として就任しています。
#HappyBirthdayYourMajesty I hope you have a lovely day @BritishMonarchy pic.twitter.com/Qkgrdrnsgo
— Palmerston (@DiploMog) 2016年4月21日
ネズミ捕り長官になったのは、2歳のパーマストンで、元々野良猫だった猫を動物保護団体「Battersea Dogs&Cats Home」に保護され、大抜擢されたのです。
パーマストンはまさにシンデレラストーリとして話題になりました。
彼は、ロンドンの街中をウロウロ、食べる餌もなく、やせ細り、マイクロチップなしの猫だったので飼い主の追跡も無理でした。
保護されただけでも幸せだったのですが、彼は運よく外務省のネズミ捕り長官という肩書きまでもらいました。
同団体からは、以前にも首相官邸のネズミ捕獲長としてラリーが引き取られています。
パーマストンの仕事はネズミの捕獲だけではなく、各国からの来客へのあいさつや、近所の首相官邸に住むラリーとの交流なども仕事の一環なのです。
ちなみにパーマストンという名前の由来は1850年代の首相を務めた、第3代パーマストン子爵からとったそうです。
イギリスの2代公務員猫は度々取り上げられ市民の関心の的。
Say my name, Palmerston… pic.twitter.com/YeAjIekAcu
— Larry the Cat (@Number10cat) 2016年8月1日
首相官邸ネズミ捕獲長のラリーと外務および英連邦省ネズミ捕り長官のパーマストンの関係が緊迫しているとメディアの注目を集めています。
首相官邸と英連邦省は隣接しており、2つの建物をつなぐ通路で2匹は最悪のタイミングで遭遇してしまい、その緊迫した現場をBBC記者に激写されたのが発端。
パーマストンは仲良しだとツイートし火消しに回っているそうですが、二人の関係の修復は難しいそうです。
その他、BBCのニュースはこの2代公務員猫の様々な記事を載せ続けているそうです。
最後に。
いかがでしたか?遠く離れたイギリスの話題でしたが、野良猫だった子達が首相官邸や英連邦省で大切に飼われていること、しかもその歴史が1500年代から脈々と受け継がれていることが、猫好きにはたまらなくうれしいことですね。
日本も猫の駅長さんなどがいて話題となり、観光客を招いていますが、日本も国レベルでもっと猫を保護し話題になるような形にし、保護猫にもっと光が当たるようになってもらいたいですね。
BBC、mailonline(英語)
Wikipedia
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