分離不安症という症状をご存知でしょうか。一般的には、「犬」の分離不安症はよくあることで、飼い主さんが外出した時に大きな声で吠えたり、家の中のものを壊したりという問題行動があると知れられています。
ペットとして飼われているワンちゃんに多い心の病としてイメージされている方も多いかもしれませんが、実は最近では猫の分離不安症に悩む方も多くなってきています。
近年、猫ブームが加速化してきていて、猫がペットとして飼われることが多くなってきましたね。猫の立場にたって考えると、食事の準備、オシッコやウンチの後始末、寝床の手入れなどあらゆるお世話を飼い主さんからしてもらうことができ、野生猫とは違った安心感を得られることでしょう。
また、運動不足にならないように人間が一緒に遊んでくれるので、愛情たっぷりに育つことができるのではないでしょうか。たくさんの愛情の中暮らすことは、猫にとってもとても幸せなことです。
– ずっと鳴き続ける –
犬の分離不安症で「吠え続ける」という行動があります。犬の場合、外に聞こえて近所にも聞こえてしまう可能性があります。
一方、猫は「吠える」よりも「鳴く」ですから、周囲への迷惑はあまりならないのかもしれません。
しかし、ずっと鳴き続けることは、猫にとって大きなストレス。喉を使うので、可愛そうですよね。
– 家のあちこちでオシッコやウンチをする –
トイレ以外の場所で粗相をされるとついつい怒ってしまう飼い主さんも多いでしょう。帰宅時にそんな様子を目にすると困り果ててしまいますよね。
しかし、飼い主さんへの悪意があってやっている行動ではありません。すべては「不安」によるものがさせることです。帰宅と同時に猫を怒るのは避けるべきでしょう。
– 食べ物をわざと食べない、嘔吐をする –
飼い主さんと離れることがとても不安。緊張からかストレスがピークになると、食事ものどを通りません。
また、仮に食べても嘔吐をしてしまうことがあります。帰宅した時に、嘔吐の跡が家のあちこちにある猫の場合、分離不安症ではないかと考えましょう。
– 自分の体を舐めてばかりいる –
精神的に落ち着かないために、自分の足や体を舐めてしまう子もいます。
– 家にあるものを破壊する –
一人になった時に、家の中のものを破壊してしまうことがあります。これは、やんちゃで元気だからやっている訳ではありません。
不安によるストレスが溜まり過ぎての行動なのです。
分離不安症が起きる原因と起こりやすい猫
愛する猫が前述のような行動をとったら、分離不安症ではないかと考えた方がいいかもしれませんね。
分離不安症は「飼い主さんの留守中」、つまり飼い主さんと離れた時に起こります。
飼い主さんが一緒にいれば不安を感じることがないので、分離不安症と呼ばれる行動も起きないのが普通です。
ではどんな猫が抱える症状なのでしょうか?
◆留守に慣れていない猫に多い
いつも人間と一緒で留守番に慣れていない猫は、単独になると大きな不安を持ちます。
特に、生まれた時から飼い主さんと一緒に過ごしていた場合は、飼い主さんの存在は「母親」そのもの。いつも一緒にいる母親がいないと不安なのは、人間の子供も一緒ですよね。今までお母さんだけに保育してもらった子供が急に保育園に預けられると、分離不安からパニックを起こしてしまうこともあるのと似ている感じもします。
留守番に慣れていない猫は分離不安症が起きやすく、特にシングル世帯の方が猫を飼っているケースでは注意が必要です。
留守にすることで家の中には誰もいなくなり孤独からの不安がつのってしまいます。
飼い主さんは何時に帰ってくると分かって外出するでしょうが、猫は一切理解できません。
「この状態がいつまで続くのだろう」「どうして飼い主さんはいなくなったのだろう」という大きな不安が分離不安症の問題行動をさらに悪化させるでしょう。
◆家庭のライフスタイルが一変した場合にも起きやすい
世帯人数が多ければ、猫が孤独になることもなく分離不安症の心配がないのかもしれません。
しかし、一度飼ったら長い間一緒に暮らす猫。猫種や個体差にもよりますが、長い場合には20年近くも生きる猫も多いですよね。
その間、飼い主家族のライフスタイルが変化することも多いはず。
例えば、面倒をたくさん見てくれた人が病気で入院してしまった、結婚して家からいなくなった、今まで専業主婦だったお母さんが働きに出るようになった、新たに子供が生まれた・・・など、考えられるケースはさまざまですが、今まで何ともなかった猫が飼い主一家のライフスタイルの一新で分離不安症を起こすこともあります。
◆飼い主が可愛がり過ぎてしまうと不安感が増すことも・・・
ペットとしてよりも自分の子供のように、愛情表現を過多に注いでしまうと留守中に分離不安症が強くなることもあります。
猫に大きな愛情を注ぐことはとても大事なことです。ただ、生まれて間もなくやってきた場合には、可愛がられ過ぎることで、飼い主さんに対しての依存心がかなり大きくなります。
分離不安症になったらどうすべき?その対策について
分離不安症の時に起こす行動は、一緒に暮らしている飼い主さんが留守をする時に起こす行動。外出から帰ってきた時に家の中が荒らされていたら、とてもびっくりするのではないでしょうか。
また、問題行動を起こした時に、やみくもに怒るのではなく、原因や対策を知ることで愛する猫との今後の関係を良好に保つことができるのです。
– 留守に慣れさせる –
留守を全くしたことがない猫に、いきなり長時間の留守番をさせると不安からパニックを起こしてしまいます。
何らかの状況で留守をさせることもあるでしょうから、普段から短時間からでいいので留守番を練習させると良いでしょう。
– 外出する時と帰宅の時に刺激し過ぎない –
動物は言葉に表さなくても人間の行動で外出する気配を感じとります。外出する時や帰宅時に声掛けをすると、
不安感が増します。特に「ただいま~!」「寂しかった~?」などとオーバーアクションで帰宅時に声掛けをしすぎてしまうと、
飼い主への依存心がさらに高まり留守中の不安が一層強めに出てしまうものです。
– トイレ以外の場所に粗相をした時の対応には要注意 –
帰宅した途端、家の中を見てびっくりすることもあるでしょう。その時に注意したいのが、粗相をしたことに対して猫を怒らないということです。
猫が分離不安症から粗相をすることは、飼い主に対して嫌がらせをしている訳ではありません。不安からの行動なのです。
それに、粗相に対して時間差で怒っても、猫には全く理解ができません。飼い主さんが帰宅と同時に怒った様子を見ることで、
さらに不安やストレスが増してしまいます。猫が粗相をしてしまった場合には無言で片づけるようにしましょう。
– 猫が落ち着く場所を準備する –
広い家に一人きりになると不安が強まることもあります。そこでケージを準備してあげることもおススメです。
ケージは飼い主さんがいる時にも猫のパーソナルスペースとして過ごさせます。「このスペースにいると安心できる」と知ることで、
留守中もケージに入って落ち着いて過ごせることもあります。
まとめ
分離不安症は心の病です。ストレスを抱えても、猫達は人間に言葉で訴えることができません。
分離不安症の症状や原因を知り、留守中に猫が孤独を感じて寂しい思いをすることがないような工夫をしてあげることが何よりの愛情です。
また、愛情の注ぎ過ぎが分離不安症を引き起こすことを避ける意味でも、適度な距離を保ちつつ、猫との暮らしを考えてみることも大切かもしれませんね。
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