地域猫(TNR)活動とは
TNRとは、猫のご飯やトイレ掃除、避妊去勢手術をすることによって猫の繁殖を抑えることや、これ以上不幸な猫を増やさないという目的のために始められた活動です。「地域猫活動」ともいわれています。
『T』Trap(トラップ):捕獲すること
地域猫を捕獲する際にいろいろと注意が必要です。猫と人、お互いの安全のためにも捕まえる時は捕獲器を使います。捕獲器は動物病院や保護団体などから借りることができる場合もあります。
・猫がケガをしないように気をつける
・捕獲器を仕掛けている間、その場所から離れない
・猫が捕獲器に入った場合は速やかに布などで捕獲器全体を包み込む
以上のようなことに注意して、捕獲を行っています。
捕獲器に入った猫は何が起こったかわからなくなり、暴れてしまうことがあります。捕獲器を布で包むことで外の景色が見えなくなり猫は落ち着くことができます。
『N』Neuter(ニューター):不妊手術
避妊・去勢手術することで、地域猫の数を減らしていくことが可能になります。
オス猫の場合は見た目で判断できますが、メス猫の場合は見た目で判断するのは大変難しいです。不妊手術したかどうか見た目ですぐに判断できるように耳先をカットすることが決まりです。
『R』Return(リターン):元の場所に戻す
不妊手術をしたあとは術後の経過観察をします。経過良好ならば、元の場所に猫を放します。地域猫を放置するのではなく、ご飯をあげたり、健康管理も継続して見守ることになっています。ご飯は置きエサをせずに食べ終わるのを待ち、後片付けや掃除をします。
地域猫の取り組みは徐々に広がっています。ご飯の時間や場所を決めたり、トイレの掃除をしたり…飼い主はいないけれども、地域住民やボランティア団体によって管理することで地域猫の安全が守られます。
全ての人が猫好きとは限りません。地域猫の理解を得るためにも、住民同士のコミュニケーションもとても大切です。
地域猫の避妊・去勢手術
地域猫活動では必ず避妊・去勢手術をします。地域猫には飼い主さんはいません。自由気ままに暮らしている地域猫を捕まえて、避妊・不妊手術をするなんてかわいそうと思う人は多いでしょう。
でも、かわいそうだからといって、ただご飯をあげ続けることは逆にかわいそうな地域猫を増やすことになってしまいます。
猫は繁殖力が高く、1匹のメス猫で1年に2回~3回、1回の出産に3匹~5匹の子猫を産みます。さらに子猫は生後4ヶ月~5ヶ月で生殖能力を持ちます。そこで産まれた子猫からまたすぐに子猫が産まれ、猫の数がどんどん増えていきます。
日本で殺処分がされている猫は約8割といわれています。地域猫の数を減らさなければ、殺処分がなくなることはありません。
地域猫(TNR)活動は殺処分の数を減らすのに最も有効な手段と考えられています。さらに避妊・去勢手術することで猫の性格が大人しくなるといわれています。発情期の鳴き声や闘争心が抑えられることにより、オス猫同士のケンカも少なくなります。
猫好きには殺処分というのは大変悲しいです。1匹のメス猫からたくさんの子猫が産まれますが、子猫がみんな成猫になるまで生きるとは限りません。病気になったり、事故にあったり、それだけ厳しい環境の中で地域猫は毎日暮らしています。
避妊・不妊手術の費用は、市区町村によっては必要な費用として、助成金が出る地域もあります。
地域猫(TNR)活動はムダ?必要?
地域には、猫好きの人もいれば、猫嫌いの人もいます。世の中には、いろいろな考えをもった人がいるのは事実です。
地域猫活動に疑問を持つ人もいます。猫を捕まえて、避妊・去勢手術をして、元の場所に戻すという行動は無意味ではないかという思いの人もいます。家の周辺で猫が糞尿をされたら掃除するのが大変という人もいます。地域猫のご飯、避妊・去勢手術の助成金のムダ遣いという人もいます。
まずは、なぜ地域猫が増えたのかを考えてもらいたいです。どう考えても元凶は無責任な飼い主さんです。無責任な飼い主さんがいなければ、地域猫は増えることはありません。
地域は人間のためだけにあるものではありません。猫や他の動物のものでもあります。地域猫を増やさないためには、地域猫活動をすること、飼い主さんがいない猫を増やさないことです。そのためにも地域猫(TNR)活動は必要なことだといえるでしょう。
最後に…
昔と今はいろいろと環境が違います。今、この環境で猫と人との共生を考えると、地域猫(TNR)活動はとても大切なことだとわかりました。
年間約9万9千匹(平成25年度)の猫が殺処分されています。「命を処分する」ことはとても心が痛みます。殺処分0ゼロを目指して、地域猫(TNR)活動は行われています。地域猫(TNR)活動の取り組みは広がっています。少しでも地域猫(TNR)活動を理解してくれる人が増えることを願います。
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