手のひらサイズの小さな猫は、とても可愛らしい表情をしています。通常、生後間もなくから1年程度までを「子猫」と表わします。生まれて間もない時は、100~130グラムという小さな体も月齢を重ねるごとに体重が増加していきます。
猫種によって異なりますが、生後1年を過ぎると3キロ以上と「成猫」のサイズまで成長します。
ただ、成長するまでは1年もかかり、子猫時代は体が小さく、まだまだ未熟なことばかり。社会性を身につけることはもちろん、食事なども少しずつから始める時期で、気を配りながら育てていかなければなりません。
そして、未熟な体だからこそ病気のリスクは高めと言っていいでしょう。それに「新しい飼い主のもとで暮らす」のも子猫の時期。ストレスも大きく、それが原因で体力が弱まることも・・・。
子猫がかかりやすい病気について
病気は一生を通じてかかる可能性があるものですが、子猫時代にかかりやすい病気についていくつか紹介していきます。
– 猫風邪 –
「風邪」と聞いた時に人間のケースに置き換えて考えるのはNG。一般的に人間の風邪の場合、軽い症状のものだと経過観察で完治するものですよね。
しかし、その感覚で子猫の風邪を甘く見てはいけません。
実は、免疫が弱まる月齢3か月前後の子猫がかかりやすく重症化しやすい病気なのです。
猫の風邪はひとまとめにして「猫風邪」と言われていますが、次の3種類の感染症があります。
①猫ウイルス性鼻気管炎
②猫カリシウイルス感染症
③猫クラミジア感染症
◆猫風邪の症状とは?
風邪のウイルスが子猫に入り込む原因のうち大きなものが「免疫力の低下」です。
鼻水やくしゃみ、発熱といった人間の風邪に似た症状だけでなく、目ヤニの症状が見られるのも特徴的です。多くの場合、「目」の炎症を起こして目ヤニが出ます。目ヤニと一緒に鼻水が出ていたら、猫風邪を疑って獣医に相談することが重要です。
風邪が原因で食欲が落ちてしまうと、栄養不足になりますます衰弱し、重症化します。重いケースだと「死に至る」ということも考えられる感染症なのです。
◆猫風邪の予防法とは?
抵抗力の弱まった猫の猫風邪を予防するのが、ワクチン接種です。ただ、ワクチンを接種したからと100%防げる訳ではないのが残念なところ。
でも、軽症で済むのでカワイイ子猫を守ることに繋がります。また栄養不足でも猫風邪を引き起こすことがあります。
新しい環境に慣れていないことが原因でストレスを持つ子猫は、免疫が低くなっていることもあります。愛情をたくさん注ぎ、子猫が安心してストレスなく暮らせるように配慮したいものです。
また、栄養不足でも免疫が低下します。日ごろから子猫用の栄養たっぷりのフードを与えるようにしたいものです。
◆人間にうつるの?
抵抗力の弱い子猫がかかりやすい猫風邪は、人間や犬にうつってしまうことはありませんが、猫から猫へは感染します。
そのため、多頭飼いしている場合には猫風邪にかかってしまった子猫がいたら、他の猫から離すようにします。
また、猫風邪に感染している子猫の鼻水を触った手で他の猫ちゃんに触ってしまうと、それが感染経路となってしまいます。手を清潔にして防ぐようにしたいものです。
– 子猫衰弱症候群 –
生まれて間もない子猫だけがかかってしまう病気です。この世に生まれて、ほんの数日しか生きることができない悲しい病気です。
何の前触れもなく突然亡くなってしまうこともあり、症状を見逃してしまうことも多いです。
カワイイ子猫を守ってあげられるのは飼い主さんだけ。何か変わった様子があったら、すぐに動物病院での診察をすることが大切です。
この病気にかかる猫は、一般的に先天性の奇形が見られることが多いです。水頭症が原因となっていることもあるので、一緒に生まれた他の猫と見た目を比較してみるのもいいですね。
また、成長するスピードが明らかにおかしい場合は、子猫衰弱症候群の可能性もあります。
異変に気付いたならば、すぐに検査してもらうようにしましょう。経過観察をしているうちに最悪の事態になることも多いほど、悪化するスピードが早い病気と覚えておくといいですね。
– 回虫症 –
寄生虫による病気は子猫だけでなく成猫まで多々見られます。体の中で虫が成長するなんて、怖い気もしますよね。
寄生虫の病気の中でも、最も子猫がかかりやすいのが「回虫症」です。
◆回虫とは?
回虫は哺乳類の消化器官に寄生する白いミミズのような虫です。長さが10㎝前後と結構長い虫。回虫の卵を口から飲み込んでしまうと、少しずつ成長しながら小腸で「成虫」となります。成虫となった回虫は、便に混じって体外に排出され再び他の猫に感染し、回虫症の症状を表わします。
◆予防ってできるの?
子猫の主な感染経路はお母さん猫の母乳からです。つまり、予防をするのに効果的なのが母猫の寄生虫予防ということになります。
また、回虫症に感染している猫の糞便を食べてしまい、回虫の卵が体に入り込むこともあります。感染している母猫の便に入っている回虫を口にしてしまわないように、トイレは清潔にしましょう。そして、放し飼いにせずに、室内オンリーで飼うようにするのも予防法のひとつです。
検便を定期的にすることで、回虫が体内にいるかどうかの確認もできます。
◆諸症状から回虫症を疑うことができる
主な症状として下痢や嘔吐があります。また、お腹が膨らんだり、体重が減少したり、毛のツヤがなくなりパサパサするなど体に多くの症状が見られます。
これらは、回虫がお腹で増えてしまうことによるもの。子猫の場合は、増えてしまった回虫に栄養を吸収されてしまって栄養不足になり、それが原因で重症化してしまうこともあるのです・・・。すぐに病院に行って早期に解決したい病気です。
病気を予防するために大切なこと
成猫の場合それほど重症にならない病気でも、子猫の場合には重くなり命にかかわってしまうことがあります。免疫が低い子猫は、病気への抵抗力が少ないためです。
また、外で保護した野生の子猫の場合も、さまざまな感染症のリスクが考えられます。
子猫を守ってあげるために最も大事なのが予防をすることです。リスクを減らすためにはワクチン接種を受けることが望ましいです。
感染症はワクチン接種で防げるものも多いです。ワクチンには、3種、4種、5種、7種などと、いくつかの種類があります。内容が異なりますし、どのタイプを接種させるかは獣医師と相談して、飼い主自身が決めていくことになります。
基本的には免疫が低下しがちな子猫の時期には、体をさまざまな病気から守る抵抗力をつける目的で接種をするものです。
いつまでにワクチンを接種しなければならないという決まりはありませんが、体調を見ながら接種をしていくのが理想です。
何回するか?どのくらいの間隔でするか?など、飼い主さん自身が決めるべきことではありますが、命を守るためには重要な予防法となります。
また、子猫の命を守る予防法として、普段からの健康チェックをお勧めします。いつもと違った状態があった時には、病気にかかっている可能性があります。早めに見つけることができれば、病気が早く治ることにも繋がります。
愛猫を守るためには、普段から見守るという飼い主さんの愛情が何よりの予防策なのです。
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