猫の毛柄カタログ

2015.07.27

猫の毛柄カタログ

街で見かける猫ちゃんは、さまざまな色や毛柄をしています。色や柄を細かく分けると50種類以上にもなるといわれていますが、ここでは代表的な色と柄のみを紹介します。なお、ここでは猫ちゃんの色や毛柄から推測される性格を紹介しますが、獣医学的な研究や証明はされていません。あくまでも「占い」みたいなものです。私は、猫ちゃんの性格はその子によってまったく違い、毛色では判断できないと考えています。毛色にとらわれることなく、その猫ちゃんの本当の性格はペットオーナー様が見抜いてあげてくださいね。

古来よりあった猫ちゃんの毛柄

  • キジトラ
  • キジトラ_ira

    今ではさまざまな毛色や模様が見られる猫ちゃんですが、もともとは「キジトラ」の猫ちゃんしかいませんでした。古代エジプトでは猫ちゃんを崇拝し、その遺体をミイラとして保存していましたが、ミイラを調べたところすべてキジトラであることがわかったそうです(http://www.egyptianmaus.co.uk/Origins–and–history.php より)。これは、イエネコの祖先といわれ、中東の砂漠などに生息しているリビアヤマネコと同じ柄です。砂漠ではキジトラは保護色となり、敵に見つかりにくい色なので、この色の猫ちゃんが多かったのだと推測されています。
    ところが、今でも「~動物園で真っ白なトラが生まれました」というニュースを見るように、古来でもたまに突然変異で白や黒の単色の猫ちゃんが生まれることがありました。本来なら、このような毛色ですと目立ちすぎて獲物も狩れませんし、外敵からも狙われやすいので長生きはできません。しかし、猫ちゃんが人間と暮らすようになってからは、このような突然変異の猫ちゃんも人間に守られて長生きできるようになりました。こうして、さまざまな毛色の遺伝子をもつ猫ちゃんが増えていったのです。
    「猫ちゃんの元祖」ともいえるキジトラの猫ちゃんは、性格も野性味があって警戒心が強いといわれています。

  • アグーティタビー
  • アグーティタビー_ira

    アグーティとは、1本1本の毛にとても細かい縞模様(タビー)があることです。1本の毛が明るい部分と暗い部分から構成され、縞模様(タビー)になっている地色のことをアグーティタビーといいます。アビシニアンなどによく見られる毛色です。1本の毛に多くの縞があるため、全体的にはごましおのような模様に見えます。
    アグーティタビーも古来よりあった色なので、野性味が強く、活発でワイルドといわれています。

  • スポテッドタビー
  • スポテッドタビー_ira

    斑点形の縞模様です。例えば、ベンガルのようなヒョウ柄もスポテッドタビーですし、サバトラの縞が途切れて斑点のようになった猫ちゃんもスポテッドタビーに分類されます。特に、ベンガルはイエネコとヒョウ柄のヤマネコとの掛け合わせで生まれた猫ちゃんなので、かなり運動量が多く、ワイルドで遊び好きです。

  • サバトラ
  • サバトラ_ira

    黒とシルバーの縞模様です。黒と銀の色合いが魚の鯖に似ているところから、サバトラと呼ばれています。少しでも茶色やオレンジの色味があると茶トラになります。シルバーの色味が強い子は、アメリカンショートヘアによく見られ、人懐っこく明るい子が多いです。黒の色味が強い子は、ワイルドで人見知りする性格の子が多いといわれています。

  • 茶トラ
  • 茶トラ_ira

    オレンジの縞模様です。大柄の茶トラをよく見かける印象があるのは、オスの猫ちゃんが多いから。また、食いしん坊で甘えん坊の子が多いといわれています。

    人間に飼われるようになってから増えた毛色

  • クラシックタビー
  • クラシックタビー_ira

    トラ系よりも縞が太めで、横腹にうずまき模様(ターゲットマークもしくはブルズアイとも呼ばれます)が入ります。上から見ると、蝶が羽を広げたような模様(バタフライマーク)が肩に入り、首の縞模様がネックレスのようにも見えます。アメリカンショートヘアによく見られる毛柄で、人懐っこく活発で明るい子が多いといわれています。

  • 黒_ira

    黒一色の猫ちゃんです。魔女狩りが行われた中世期のヨーロッパでは、魔女が飼う猫で不吉なものの象徴と考えられていましたが、江戸時代の日本では縁起がいい猫だと評判でした。建物の陰などでは黒は保護色になるためか警戒心がさほどなく、遊び好きで、猫ちゃんにも人にも友好的な飼いやすい猫ちゃんが多いといわれています。遊びに夢中になるあまり、高いところから落ちてしまうようなおっちょこちょいな事故を起こすこともあるので、ペットオーナー様は十分に気を付けてあげてください。

  • グレー
  • ロシアンブルー_ira

    灰色一色の猫ちゃんで、コラット、シャルトリュー、ロシアンブルーといった「純血種グレー御三家」に見られる色です。純血種だけではなく、最近はミックスの猫ちゃんにもよく見られます。めったに鳴かない猫ちゃんが多く、穏やかで内気。ペットオーナー様に一途な猫ちゃんが多いといわれています。

  • 白黒
  • 白黒_ira

    複数の単色が組み合わさった毛柄を「パーティカラー」といいますが、白黒はその代表的な毛柄です。白と黒、どちらの分量が多いかで性格が変わるといわれていて、白が多いと警戒心とプライドが高く、黒が多いと人懐っこくておっちょこちょいともいわれます。基本的には穏やか、かつマイペースで飼いやすい猫ちゃんです。

  • 三毛
  • 三毛_ira

    「白・黒・オレンジ」の三色が入った毛色です。遺伝学的には、三毛猫の性別はほとんどが「メス」で、オスの三毛猫が生まれる確率は、3万分の1といわれています。また、オスの三毛猫は生殖能力を持っていないことがほとんどです。猫ちゃんも人間と同じで、メスの染色体は「XX」で、オスは「XY」です。そして、毛色を黒にする遺伝子とオレンジにする遺伝子は性染色体「X」にしかありません。メスはオレンジと黒の両方の色をもつことができますが、オスは黒かオレンジ、どちらかの色しかもつことができないのです。
    ごくまれに生まれるオスの三毛猫は特殊な性染色体をもっているので珍重され、船の守り神として同船させることも多かったそうです。性格的には、頑固で気が強い子が多いといいます。

  • サビ
  • サビ_ira

    黒とオレンジが混ざった色です。鉄にできるサビのような色をしていることからこう呼ばれます。サビ猫も三毛猫と同様に、メスがほとんどです。黒が多いと黒サビ、オレンジが多いと赤サビと呼ばれます。性格的には、三毛猫と同様、頑固で気が強い子が多いといいます。

  • ポイント
  • ラグドール_ira

    足先、鼻先、しっぽの先など体の先端に色がついている猫ちゃんで、「シャム猫、ラグドール、ヒマラヤン」といった「純血種ポイント御三家」に見られる色柄です。純血種だけではなく、ミックスの猫ちゃんにもよく見られます。ポイントカラーには黒っぽい茶色(シール)やクリーム、ブルー、ライラックなどさまざまな色があり、ポイントの色によってシールポイント、ブルーポイント、チョコレートポイント、ライラックポイントなどと呼ばれることもあります。「純血種ポイント御三家」は猫ちゃんというより、ワンちゃんに近いフレンドリーな性格で、人見知りせず、よく鳴いてペットオーナー様に甘え、運動好きな子が多いです。その血を引くミックスでポイントの猫ちゃんも、それに近い性格の子が多いといわれています。

  • 白_ira

    頭の先からつま先まで真っ白の猫ちゃんです。野生にはもともとない色で、外敵から狙われやすい目立つ色なので、警戒心が強く繊細でプライドが高い猫ちゃんが多いといわれています。

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    石原美紀子

    石原美紀子

    青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。

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