犬猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きる?ペットの事例から対策を学ぶ

2018.04.11

犬猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きる?ペットの事例から対策を学ぶ

ペットブームの中、「猫や犬の多頭飼育崩壊」が問題になっていることをご存知でしょうか?劣悪な環境で、頭数の増えた猫や犬を飼い主が飼育できなくなることを多頭飼育崩壊と言い、テレビやインターネットなどでも話題になっています。悲しい多頭飼育崩壊はなぜ起こるのでしょうか?そして多頭飼育崩壊を起こさないためには、どのような事ができるのでしょうか? 猫と犬の多頭飼育崩壊について、現状や起こってしまう原因、そして多頭飼育崩壊を起こさないためにどうしたら良いのか、ご紹介します。

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多頭飼育崩壊とは?

犬と猫

多頭飼育崩壊とは、猫や犬などのペットを飼育する際、避妊・去勢手術などをせずに無計画に飼っていたことで、繁殖して数が増えていき、環境的にも経済的にも破綻してしまった状態を言います。

多頭飼育崩壊してしまう飼い主は、猫や犬が異常な数に増えてしまった結果、劣悪な環境に陥り、それを改善する行動をせず、最終的には飼育を放棄してしまいます。

また、病的なほどに飼育しきれない数の猫や犬を集めて飼ってしまうことを、「アニマルホーディング(Animal Hoarding)」と言います。


多頭飼育崩壊が起こる流れ

たくさんの猫

多頭飼育崩壊は、まず猫や犬といったペットを複数飼い、避妊・去勢手術しない状態で自由に繁殖できる状態にすることから始まります。

生まれた猫や犬の貰い手をきちんと見つけて、譲る事が出来れば良いのですが、愛情があるがために、そのまま手元に置く事で飼育頭数が増えます。
そして、生まれてきた猫や犬にも避妊・去勢手術を行わないために、さらに繁殖して数が増えることになります。

猫や犬が増えたのに、衛生的な環境を整え、餌を十分に与え、異常があれば動物病院に連れて行くといったことをしなくなることで、動物にとって劣悪な環境が生まれます。

金銭的にも苦しくなり、改善する事が出来なくなった飼い主が、猫や犬を放置したり、引っ越して逃げてしまったりするのです。


多頭飼育崩壊が起きる原因は?

網からこちらを見る犬

猫や犬の多頭飼育崩壊の原因となる飼い主の3つのタイプについて、ご紹介します。

– タイプ①個人の過剰多頭飼育によるもの –

過剰多頭飼育する人=アニマルホーダーとも言います。ホーダーとは、生活が困難になるほど対象のものを集めてしまう人のことです。

◆基本的な世話が困難になっている

アニマルホーダーは、猫や犬などがかわいいからと、保護したり、避妊・去勢手術をしないことで繁殖させたまま飼い続けたりすることで、飼育頭数が増えていきます。
さらに、適切な広い場所を用意しない、病院に連れて行かない、きちんと餌をあげたりしない傾向があります。

里親を見つけたり、譲ったりするという対応を取らず、狭い場所のまま飼い続け、排泄物の処理を始めとした世話が出来ないため、猫や犬にとってとても劣悪な環境になっていきます。

◆多頭飼育崩壊を認識できていない場合が多い

多頭飼育崩壊が起きると、猫や犬による鳴き声や糞尿などによる悪臭で、近隣から苦情が出る事もあります。
しかし、残念ながら、多頭飼育をして崩壊している状態の人は、猫や犬を救っているつもりで、周りに迷惑をかけているとは思っていない場合が多くあるのです。

多頭飼育崩壊させてしまう人は、動物たちが劣悪な環境にあることを理解できていない、客観視できていない、という特徴もあります。
さらに自分は動物を愛しているんだ、という気持ちから、プライドが高くなり、ボランティアや地域の助けを素直に受け入れられない傾向があります。

そして動物が増えすぎて手に負えなくなると、飼育を放棄して過ごしていたり、動物を置いて引っ越していったりして、責任を取らないことも多くあるのです。

アメリカなどでは、アニマルホーダーを独立した精神疾患として認める必要性が指摘されています。

◆高齢化や災害などの事情で世話ができなくなることも

その他、飼い主が高齢であったり、認知症を患っていたりすることで、動物が増え、世話や掃除が行き届かなくなり、多頭飼育崩壊になってしまう場合もあります。

また、多頭飼いしていて普段は問題無く飼育できている人でも、地震などの災害が起きたり、火災などに合ったり、死亡してしまったりすることで、飼育が出来なくなる場合もあります。

– タイプ②ボランティアとして活動している人 –

悲しいことに、猫や犬を保護して里親を見つけている人が多頭飼育崩壊に陥ってしまうことがあります。

◆何らかのきっかけが原因に…

多頭飼育崩壊から動物を救って、一時預かりをしていたり、里親募集をしたりしている人が、何らかのトラブルにあって猫や犬のお世話をし続けられなくなることで起こってしまいます。

猫や犬を放置したり、逃げたりするつもりはなくても、本人が災害にあったり、病気にあったり、経済的に破綻したりしてしまうことが原因です。

◆個人での活動は責任が大きい

ボランティアをしていることが周りに知られると、他に猫や犬を保護した人たちが保護してもらおうと連れてきて押し付けられて、一気に飼育頭数が増えることもあります。
このような活動を個人の能力だけでしていると、少しのトラブルで破綻してしまうことにつながってしまうのです。

このような場合を「二次崩壊」と言い、多頭飼育崩壊から救われた動物たちが、再び窮地に陥ってしまうこともあり得るのです。

– タイプ③ブリーダー –

個人とは別に、猫や犬のブリーダーさんが、多頭飼育崩壊に陥る場合もあります。

◆知識不足や経営難が原因となる

多くのブリーダーさんは適切な環境で飼育をしているのですが、管理能力が低い人が経営をしたり、トラブルが起こって経営が立ち行かなくなったりすることで、多頭飼育崩壊が起こってしまいます。

個人以外では、ペットショップや猫カフェといった企業でも、経営がうまくいかなかったり、店主が病気になったりすることによって、多頭飼育崩壊が起こり問題になっています。


猫と犬の多頭飼育崩壊の事例

実際にどんな状況で多頭飼育崩壊が起きてるのか、事例をご紹介します。

◆多頭飼育崩壊の事例①市営住宅で53匹の猫が放置(兵庫県)

2017年4月、神戸市東灘区の市営住宅で猫53匹を放置していた40代女性が、神戸地裁から強制退去処分を受けました。

“女性の部屋から腐ったような異臭が漂い始めた。住民らは女性を見かけるたびに問いただしたが、女性は「鼻が悪くて分からない」と意に介しない様子だった。”-引用:2018年1月5日付/産経WEST

“女性が残していった部屋は人間の膝の高さまで猫の糞尿(ふんにょう)が堆積。畳や家具などいたるところに汚物が染み込み、猫の死骸からは大量のハエやウジ虫がわくなど「地獄絵図」そのものだった。”-引用:2018年1月5日付/産経WEST

こちらの女性は、典型的なアニマルボーダーの一例です。
他人から見たら明らかに異常な状態でも「自分はしっかり世話をできている」と思い込み、動物たちを虐待に近い状態で飼育していることや、他人に迷惑をかけていることを認識できていません。

“保護された猫は市内のNPO法人などに引き取られたが、雌猫は半数近くが妊娠した状態だった。”-引用:2018年1月5日付/産経WEST

猫や犬は本能的に子孫を残そうとするため、去勢・避妊手術のしていない猫同士を一緒に飼育することが、多頭飼育崩壊の大きな原因となります。

“その後、市は11月8日に女性に宛てて畳や床板の交換などの修繕費約670万円や、消臭・消毒にかかる費用約260万円など計約1千万円を請求する文書を発送した。”-引用:2018年1月5日付/産経WEST

今回の事件の様に、多頭飼育崩壊に関するトラブルは、近隣住人や建物・環境自体に大きな被害を与えることが多く、強制退去や損害賠償金の請求につながる事例も珍しくありません。

◆多頭飼育崩壊の事例②88匹のトイプードルを救助(静岡県)

こちらはトイプードルの多頭飼育崩壊の事例です。

“富士宮市の住宅でトイプードルとみられる小型犬88匹を飼育する女性が自力での管理が難しくなったとして飼育を断念し、県と同市、動物愛護団体、静岡市獣医師会が22日、連携して、うち32匹を救出した。”-引用:2017年8月23日付/静岡新聞

“県衛生課によると、女性宅でペットとして飼われていた犬が繁殖した。富士宮市が近隣住民から異臭や騒音の苦情を受けて改善を指導したが、女性は管理ができないとして飼育を諦めた。”-引用:2017年8月23日付/静岡新聞

“頭数が多く行政の保護施設の収容数を超えるため、県は同獣医師会を通じてボランティアに協力を呼び掛けた。”-引用:2017年8月23日付/静岡新聞

こちらの女性の例は、飼っていた犬が繁殖してしまったのとことで、避妊や去勢といった対処を行っておらず、自分が世話出来る範疇を超えてしまった例です。

“22日に保護した32匹は静岡市駿河区のふくろう動物病院(鈴木淑剛院長)に運ばれた後、一時預かりを申し出た獣医師やボランティアら有志に引き取られた。”-引用:2017年8月23日付/静岡新聞

個人では飼育しきれなくなるまで犬を飼い続け、異臭や騒音などの苦情が来るまでになってしまうということは、状況を冷静に客観視できていないということでしょう。

◆多頭飼育崩壊の事例③19匹の犬を放し飼いで住民から苦情(沖縄県)

次は沖縄での多頭飼育崩壊の例です。

“本島中部の牛舎から同会などによって19匹の犬が救出された。飼い主の70代男性も一緒に暮らしていたという室内は、犬の排せつ物まみれ。放し飼いで不妊治療もせず増え続け、周辺住民から苦情が上がっていた。”-引用:2017年12月7日付/沖縄タイムス+プラス

避妊・去勢や避妊手術をしないことでの繁殖や、考えのない安易な保護などで、犬猫が限度を超えた数になり、さらに飼い主が高齢化して世話ができず、飼育がままならなくなるといったことが増えています。

“多頭飼育現場での保護活動は続いているが、きりがない状態だ。現在も同会などに市町村から救助依頼があるが、追い付かない。センターに日々収容される犬にも殺処分の期限が迫る中、限られた人員や資金に限りがあり、どの命を優先するかの「選択」せざるを得ない時もある。”-引用:2017年12月7日付/沖縄タイムス+プラス

多頭飼育崩壊から、保護された動物の殺処分ゼロを目指すことがさらに難しくなっているということです。

面倒を見られないならば飼わないということも大切ですが、個人だけの問題と考えず、親族や地域が気づいてあげて、解決策を考える必要もあると言えるでしょう。

◆多頭飼育崩壊の事例④23匹の猫を不衛生な状態で飼育 虐待で逮捕(神奈川県)

次は猫の多頭飼育崩壊から、虐待で逮捕された例です。

“「3階の端の部屋の前から1階のエントランスまで、飼い主が踏んだ猫の糞の足跡だらけですよ。1階までにおうし、マンションの周りには一年中ハエがたかっています。夏は特ににおいが強烈で、窓は開けられませんでした」”-引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

“同マンションの3階の一室で猫23匹を不衛生な環境で飼育し、虐待したとして、自称デザイナーの堀口妙子容疑者(62才)が動物愛護法違反の疑いで逮捕された。”-引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

“マンションはペット飼育不可にもかかわらず、堀口容疑者は捨て猫を拾っては持ち帰り、ケージに閉じ込めて放置。あまりの異臭に住人から苦情が殺到していた。” -引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

猫を保護しているという思いだけで、すでに多頭飼育崩壊しているのにもかかわらず、虐待をしていることを認識していないという例です。

“管理会社は再三にわたって堀口容疑者に猫の飼育をやめるよう訴えたが、聞く耳を持たなかったため、昨年10月、裁判所に立ち退きを要請。12月に行政による強制退去が執行された。” -引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

“強制退去処分を受けた堀口容疑者は、その後2度にわたり、猫が引き取られた動物愛護センターに出向き、猫の返還を申し出たという。”-引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

“警察の取り調べに対し、「虐待はしていない」と供述しているという。”-引用:2018年3月3日付/NEWSポストセブン

動物を捨てたり、虐待したりすることは犯罪であり、違反すれば罰金や懲役に処せられます。
また、生きるのに必要な餌や水を与えず、トイレや掃除などの世話をしなかったり、病気や怪我などの治療をしないで放置したりすることも、虐待に含まれます。


多頭飼育崩壊を起こさないために…

ケージからこちらを見る白黒猫

ペットたちにとって不幸で、周りの人々に迷惑をかける恐れもある多頭飼育崩壊を起こさないために、どういったことに気をつければいいのでしょうか。

◆避妊・去勢手術をする

犬、猫ともに、避妊や去勢手術をしなければ、オスメスそれぞれがいれば、どんどん繁殖していきます。
かわいそうだという理由で手術をしない飼い主は、その後にもっと猫や犬がかわいそうな状態になる可能性があることを理解しなければいけません。

多頭飼育崩壊を起こさないためには、予防として、避妊や去勢手術を適切な時期に行うことが一番だと言えるでしょう。

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◆ペットを飼うことそのものをよく考える

猫や犬を飼う時には、暮らす場所が必要なことはもちろん、費用もかかります。
猫や犬と暮らしたい、すでにペットがいるけどさらに飼いたいという場合には、まずシミュレーションしてみることをおすすめします。

毎日の餌代や、トイレにかかわるシーツや猫砂などの費用、定期的なワクチン費用、病気や怪我をした時の病院代金など、どのくらいかかるのかを計算してみましょう。

猫や犬が増えればそれだけの場所も、餌代も、治療費もさらに必要となってきます。


猫や犬の多頭飼育崩壊まとめ

猫や犬などのペットを飼う場合、人間の家族が暮らすだけでなく、猫も犬も不自由なく暮らしていけるのかどうかを把握する必要があります。

止むを得ず猫や犬を保護する場合、動物病院、ボランティアなど、頼れるところを見つけて、個人で抱え込むことのないようにした方が良いでしょう。



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ねこちん

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ひろった猫たち、トータル5匹と暮らしています。猫の写真を撮り、猫のイラストを描くのが好きです。

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