燃え盛る炎の中へと飛び込んだ母猫
その日、猫のスカーレットが暮らしていたガレージで、火災が起きました。

火が出た時、彼女はどうやらガレージにはいなかったようでしたが、住処が燃えているのを見ると、燃え盛る炎の中に迷わず飛び込んで行きました。
スカーレットには助けるべき相手がいたのです。それは、彼女の5匹の子猫たちでした。
子猫たちを一度に運ぶことはできず、彼女は一匹ずつくわえて、すべての子猫を無事に炎の中から救い出しました。
炎の中ガレージの内と外とを5往復し、全ての子猫を救い出した彼女は、当然ながら重い火傷を負っていました。

スカーレットのまぶたの皮膚は焼けただれ、顔の被毛も見る影もなく焦げており、それでも鼻先で子猫たちの無事を確かめると、そのまま力尽きて昏睡してしまったといいます。
生命も危ぶまれるほどの重度の火傷を負う…
スカーレットと子猫たちは、消防士のデイビッド・ジャネッリ氏によって獣医のもとに運ばれました。

彼女が救い出した子猫たちのうち、残念ながら1匹はウイルス感染により火事の1ヵ月後に亡くなってしまいましたが、残る4匹は獣医たちの手によって救われました。


皆、傷を負ってはいましたが、中でも母猫のスカーレットは重傷でした。
全身に重度の火傷を負い、肉球まで焼けただれた彼女は、生命も危ぶまれるほどの状態だったといいます。
炎の中から我が子を救い出した母猫の雄姿が報道されると、野良猫であった母子の治療費として、全国から寄付が寄せられました。
3か月にわたる治療を乗り越え回復!
生死の境をさまよっていたスカーレットは、しばらくの間子猫たちと離されて集中治療を受けました。


そして、傷だらけながらも、子猫たちに乳を与えるまでに回復しました。母子の治療は3か月にもわたったといいます。

その後、4匹の子猫たちはみるみるうちに回復し、彼らを保護した動物シェルターを通じて新しい飼い主に引き取られて行きました。
子猫の命を救った勇ましき母猫スカーレット
命こそ救われたものの、怪我の後遺症のため継続的なケアが必要な状態であったスカーレット。

彼女の里親の申し出は、なんと7000件も寄せられ、その中の一人だったカレン・ウォレンさんのもとに引き取られることになりました。
元野良猫の成猫が、里親に打ち解けるのは難しいものですが、カレンさんとスカーレットは打ち解け、信頼で結ばれるようになったようです。

炎の中、子猫たちを命がけで守ったスカーレットは、その後はカレンさんに守られ愛されて12年の歳月を共に過ごし、2008年にこの世を去りました。
彼らを保護した動物シェルターではその後、スカーレットの勇敢さを称え、彼女の名を冠した賞を創設し、他者のために勇敢に行動した動物や人物を表彰することにしたそうです。
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