ヒマラヤンは尿石症になりやすい?なってしまった場合の飼い主さんができるケアを紹介

2020.09.03

ヒマラヤンは尿石症になりやすい?なってしまった場合の飼い主さんができるケアを紹介

太く短い足に丸めな身体、ペルシャの美しい毛並みや、シャム猫の毛の模様、「月のダイヤモンド」の由来になったサファイヤブルーの瞳を引き継いでいます。 そんなヒマラヤンは実は「尿石症」という病気になりやすいです。いったい「尿石症」とはどんな病気なのか?なぜかかりやすいのか?愛猫のヒマラヤンに辛い思いはさせたくないですよね。そこで!飼い主さんでもできる対策やケアなどをご紹介していきます!

尿石症とは

「尿石症」とは正式名称で「尿路結石症」と呼ばれている病気で、読んで字の通りにおしっこが作られて体外に排泄されるまでの尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に石ができてしまう病気です。人間で例えると「尿路結石」と同じです。目では見えない大きさの結石から、膀胱と同じぐらい大きいクルミぐらいの結石まであります。

結石が作られる部位によって腎結石、尿道結石、膀胱結石、尿道結石と分けられます。特に危険なのが尿道結石で、尿道に結石が詰まってしまうと、おしっこが出せなくなります。そうすると体の中の毒素が外に出せなくなり命に関わる事態になります。

◆なぜヒマラヤンが尿石症になりやすいのか(原因)

なぜヒマラヤンが「尿石症」になりやすいのかというと、まず、「尿石症」になる原因は、アンバランスな食事、水分不足、体質などがあります。そこからおしっこがアルカリ性に傾くとできやすく、若いネコちゃんに多い「ストルバイト」という結石と、中~高齢のネコちゃんに多い「シュウ酸カルシウム」という結石に分かれます。ヒマラヤンは「シュウ酸カルシウム」が純血種の中で4倍、雑種と比べると16倍もできやすいのです。

麻布大学附属動物病院における猫の尿管結石の好発品種に関する検討

◆ヒマラヤンが尿石症になると(症状)

発熱、血尿、食欲不振、頻尿などが起こります。上記でも説明した通り、尿道に結石がつまってしまうと、おしっこが全く出せない状態になり、血液の中におしっこの老廃物が増加してしまう「尿毒症」を引き起こしたり、膀胱破裂を起こしてしまう可能性もあります。


飼い主さんでもできる尿石症になってしまったヒマラヤンのケアや注意点

「尿石症」になってしまった場合は、どうすれば愛猫のヒマラヤンに最適なケアをすることができるのか、注意点も入れてご紹介していきます。

◆ヒマラヤンが飲むお水の水分量を増やす

お水をたくさん飲んでおしっこを多くだすことで、おしっこの中にある結石や細菌などを出すようにさせましょう。膀胱の中におしっこが長時間溜まらないことがベストです。「尿石症」とわかったら、十分に水分補給をさせて、「尿石症」を管理するようにしましょう。

では、いつもよりヒマラヤンに多く水を飲ませるにはどうするのか?コツをご紹介します。

自分の愛猫(ヒマラヤン)が好きな水を用意

蛇口から流れるお水を直接飲むのが好きな子、新鮮なお水が好きな子、汲み置きされているお水が好きな子、冷たい・暖かいお水が好きな子など、ヒマラヤンによってはどのタイプのお水が好きなのかを見極めて用意してあげましょう。様々な種類のお水を並べてみるのも良いかもしれません。

お水を置く場所にも注意が必要です。1人静かにお水を飲むのが好きな子や家族の近くで安心しながらお水を飲むのが好きな子、外の風景を見ながらお水を飲むのが好きな子もいます。ご自宅の色々な場所においてどこで一番お水を飲んでいるのか観察してみると良いです。ただ、お気に入りの場所だけにお水を置くのではなく、数か所にお水を置いておくと、飲水量が増えるでしょう。

それでもなかなかお水を飲んでくれなかったら、脂身の少ないお魚や鶏肉のささみなどを煮て、脂を取り除いて作ったスープなどを飲ませたり、ネコちゃんには無害な野菜を煮て作ったスープなどを飲ませてみましょう。猫缶やドライフードを少し溶かしたお水も飲んでくれるかもしれません。ただ、尿石に合わない食材もあるので、必ず獣医の先生にご相談してから実行するようにしましょう。
1つ注意しなければならない点があります。お水を与える時に使うミネラルウォーターには注意しなければなりません。ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムの濃度が高い「硬水」と、反対にそれが低い「軟水」があります。「硬水」の場合は、逆に結石を作ってしまう原因になってしまいます。水道水を嫌い飲まないネコちゃんは、塩素のにおいを嫌っている可能性が多いので、一度沸騰させることで塩素の臭いを消したり、ぬるま湯にしてあげると飲んでくれたりします。

◆ヒマラヤンの食事内容を飼える

今まで食べてきた食事の内容を変更することでも、「尿石症」を早期改善できる可能性があります。

乾燥しているドライフードからウェットフードに変える

ドライフードよりもウェットフードの方が、摂取できる水分量が増加します。ドライフードを水でふやかし与えるだけでも水分量を増やすことができます。ヒマラヤンがふやかした状態のドライフードを好んで食べていたら、与えるようにしましょう。

食事を変える際に1つ注意しなければならない点があり、「尿石症」になったからといって、急に食事を変更すると、ストレスの原因となります。そうならないために、焦らず今まで与えてきた食事に、少しずつ新しく作った食事を加えていきます。数日かけて変えていくのが良いでしょう。いつもの食事と、新しく作った食事を二つ並べてみるのも良い工夫です。

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置きエサはやめる

ネコちゃんの多くは、時間を置きながら1回の食事を数回に分けてムラ食いしています。実はこの行為が「尿石症」の原因に繋がる可能性があります。ネコちゃんのおしっこは、食後、アルカリ性に傾く特徴があります。そのため、置きエサをしておくと、アルカリ性に傾く回数が増え、「尿石症」になる可能性が増えてしまいます。

人間の食べ物を与えない

「尿石症」の時以外でもそうですが、基本的に人間の食べ物を与えてはいけません。人間の食べ物は、ネコちゃんにとってはとても味付けが濃くなっていて、塩分の量がとても多いです。人間の食べ物をネコちゃんに与え続けていたら、「尿石症」が悪化する原因にもなります。悪化だけではなく、ネコちゃんの命を脅かす可能性がある食べ物もあるので、ネコちゃん用の食べ物やおやつを与えるようにしましょう。

◆おしっこがしやすいような環境を作ろう

「尿石症」のケアのためには、まずおしっこを我慢させない事が大切です。水分をたくさん摂取し、頻繁におしっこをさせる事で膀胱が常に洗い流され、溜まった結石が早く排出されます。これは「尿石症」を未然に防ぐ対策にもなります。

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◆ヒマラヤンがおしっこをしやすい環境

ヒマラヤンに限らずネコちゃんは、神経質な子が多いです。様々な環境を試し、愛猫のヒマラヤンが好む、トイレの環境を見つけるようにしましょう。

トイレの数

ネコちゃんに必要なトイレの数は、ネコちゃんの数+1個のトイレだと言われています。お留守番をさせる時はトイレの数を増やすようにしましょう。

トイレの広さ

ヒマラヤンの体長の約1.5倍の大きさのトイレが、一番おしっこなどの排泄をしやすい大きさです。

トイレの種類

閉鎖的な空間(扉、屋根)がない開放的なトイレを好むネコちゃんが多いです。

トイレの砂の種類

ネコちゃんのトイレの砂には様々な種類があります。木の砂、紙の砂、鉱物系の砂、シリカゲルなどたくさんあります。様々な種類の砂を用意してあげて、ネコちゃんの好みの砂を見つけてあげましょう。

ヒマラヤンがおしっこをしやすいトイレの場所

一度排泄された汚いトイレを嫌がって、おしっこなどを我慢してしまうネコちゃんもいるので、おしっこなどの排泄をしたらすぐに片づけてあげるのがベストです。それが難しい状況であるのなら、トイレを複数用意してあげるのが良いでしょう。トイレの砂は一週間に一度は取り換えて、容器も洗うようにして清潔感を保ちましょう。

トイレの容器を洗う時は、中性洗剤やペット用のアルコールなどを使用するようにしましょう。また、熱湯消毒も有効的です。

結石を排泄する際の痛みを思い出してしまい、今までのトイレでおしっこをしたがらない事もあります。その場合は、別の場所にそのネコちゃんが好きなタイプのトイレを設置してあげて、気分を変えていただきましょう。

動物病院でおしっこを出す際のやり方

ヒマラヤンのおしっこを動物病院で検査してもらうためにも、おしっこの採取のやり方を知っておきましょう。

1. 尿を溜める
トイレの容器の引き出しの部分にシートなどの吸収体を敷かずに使用して、おしっこを溜めます。
2. 尿をチェックしながら採取
色や臭い、量などを見て、容器に入れて動物病院に持っていくようにしましょう。

この他にもお玉でおしっこを取ったり、猫砂の上にビニールシートを引いて、おしっこをしてもらい、スポイトで回収するなどもできます。

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ヒマラヤンの尿石症に気付こう

「尿石症」は早期発見できなければネコちゃんの命に関わる事態になります。「尿石症」になってしまったネコちゃんの特徴とご紹介していきます。

1. トイレに何度も行く
2. トイレにいる時間が長い
3. トイレでうずくまっている
4. おしっこをするときに痛そうな鳴き声を上げる
5. トイレ以外のところでおしっこをする
6. おしっこができても少ししか出ていない
7. おしっこに血が混じっている
8. 陰茎をしきりに舐める
9. 落ち着きがなくそわそわしている
10. おしっこをしていない

7番のおしっこに血が混じっているのは、結石がネコちゃんの内部を傷つけてしまっているためです。そこから細菌が入り炎症が起きてしまうと大変な事態になるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。おしっこの中にきらきらと光る結晶のようなものが見える時があります。それは結石なのですぐに病院に連れて行きましょう。ネコのトイレシートや猫砂などの表面がキラキラしているのでわかりやすいです。

10番のおしっこをしていないのが一番危険です。2日以上出ていないのはさらに危険な状態なので、1日でおしっこをしていないのを確認したらすぐに動物病院に連れて行きましょう。

その他に背中を触った時に痛がったり、おなかを触った時に硬い物があった時なども「尿石症」の疑いがあります。ご自分で判断をせずに異変を感じたらすぐに、動物病院に駆け込みましょう。


まとめ

今回は、なぜヒマラヤンが「尿石症」になりやすいのか、「尿石症」になった際のケアのやり方などをご紹介してきました。人間でも「尿路結石」は痛みを感じる病気ですが、ネコちゃんでもとても辛いと思います。そんな辛い思いをさせないためにも、飼い主さんがしっかりとケアをしてあげることが大切です。ストレスを溜めさせることでも「尿石症」の原因になると言われています。毎日、愛猫の様子を観察し、おしっこの管理もきちんと行うようにしましょう。

ヒマラヤンとの幸せな日々を願っています。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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