【獣医師監修】猫がよだれを垂らしている!唾液の過剰分泌が病気なのか知りたい!

2021.08.23

【獣医師監修】猫がよだれを垂らしている!唾液の過剰分泌が病気なのか知りたい!

猫はとてもキレイ好きな動物なので、食事のあとはもちろん、時間さえあれば必死にグルーミングをして、体を清潔に保っていますよね。 しかしそんなキレイ好きの猫が、よだれを垂らしていた場合はどうでしょうか? 何かよっぽどの理由があるのでは、と疑わずにはいられませんよね。 猫がよだれを垂らしている場合は、体に何かしらのトラブルが起きていると考えられますが、一体どんな原因が隠されているのでしょうか?

猫のよだれの原因

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愛猫が突然よだれを垂らしていた場合、はっきりとした原因が分からないと対処もできないので、不安に感じてしまう飼い主さんは多いことでしょう。

そのため、猫がよだれを出さざるを得ない理由を事前に考え、突然の出来事にも臨機応変に対応できるような知識を蓄えておく必要があります。

よだれを垂らしている猫には、どのような異変が起こっているのでしょうか。

◆口内炎

「口が閉じられずよだれが出る」「分泌された唾液が飲み込めない」といった症状は、口腔内に何かしらのトラブルが起きているサインと言えますよね。

猫がよだれを垂らす原因として多いのが、口内炎といった症状です。

口腔内の粘膜に炎症や腫れ(腫瘍)が生じる口内炎は、水を飲んでも痛みを伴いますし、こんな症状が口の中に突然現れたら、猫ちゃんもビックリしてしまうことでしょう。

猫が患う口内炎の原因はさまざまではありますが、ウイルスや細菌による感染症や、免疫低下が根本的な原因となることが多いようです。

また、猫ちゃんが何かしらの疾患(猫白血病ウイルス・腎不全・糖尿病など)を患っている場合、二次的に口内炎が発症することが多々あります。

痛みを伴う上に、口に不快感があるのでよだれや口臭、食欲の低下といった症状が見られます。

◆歯周病

猫は口腔内がアルカリ性に保たれているため虫歯になり難いのですが、その反面歯垢が石化するスピードが早いので、歯垢や歯石が溜まると歯肉(歯茎)に炎症が起き、歯周炎へと悪化するといった歯周病を患うことは少なくありません。

猫が口腔トラブルで動物病院を受診した際、その半数以上の原因が歯周病と診断されるとも言われています。

歯の周辺に炎症が起きる病気となりますので、歯茎からの出血や口臭、口の周りがよだれで汚れるといった症状が見られた場合には、定期的な口腔内のチェックは怠らないようにしたいものですよね。

歯周病の怖いところは、口腔内のトラブルだけでなく、肝臓や心臓といった血液が豊富な臓器に影響をもたらすので、放置が危険な病気と言えるでしょう。

◆感染症

感染症を患った際にも免疫は低下しやすく、免役が下がるとウイルスや細菌に感染しやすくなるので、口内炎や歯周病といった口腔内の病気を併発しやすくなります。

とくに猫免疫不全ウイルス(FIV)猫白血病ウイルス(FeLV)、猫風邪とも呼ばれる猫カリシウイルス(FCV)といった感染症が、二次的に口内炎を併発させることで知られているようです。

また、感染症だけでなく神経症状が見られる脳の病気であるてんかんや、夏の季節に気を付けたい熱中症、すべての猫が注意すべき病気である腎臓の病気となる腎不全なども、よだれが出るといった症状が見られるので注意しなくてはいけません。

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◆誤飲や誤食

猫の中には興味を持った物をとりあえずかじってみる子も多く、飲み込める大きさの物だとあやまって誤飲してしまうことがよくあります。

飲み込んだ物がうまく胃まで運ばれず、喉や食道で詰まってしまえば、粘膜への刺激により過剰に唾液が分泌されて、よだれがたくさん出てしまうことがあるようです。

誤飲だけでなく、上顎や歯に物が挟まった際にも、猫は不快感を覚えて口が閉じられず、よだれを垂れ流してしまうこともあるようです。

ほかにも毒性の強い物を誤食して中毒症状を起こしたときや、目薬や錠剤を投薬した際にも、よだれが出ることが多々あります。

唾液の分泌が少ない猫は、慣れない物を誤食してしまえば、本能的に体が拒絶反応を起こしていることが考えられますよね。

そのような猫にとっての異物がうまく飲み込めなかった場合、食道炎を併発する可能性も高いので、誤飲や誤食でよだれを垂らしているときは、早急に原因を追究して適切な治療を受けるようにしましょう。


嬉しくてよだれが出てしまう子もいる

猫がよだれを出すという行為のほとんどは、何かしらの危険な原因が伴っていることがほとんどですが、中にはとても可愛らしい理由でよだれを垂らしてしまう子も居るようです。

◆飼い主さんやお気に入りのおもちゃなど

猫はもともと唾液の分泌が少ない動物なので、よだれが出ているときは体に何かしらの異常が出ていることが大半となります。

唾液の分泌は自律神経によって調整されますので、意識して唾液を出す出さないといったことは、人間はもちろん猫にも自由自在にできることではありません。

しかし、この自律神経は感情によって左右されていますので、緊張時には唾液の量は減り、リラックス時には唾液の量が増えることをご存知でしょうか。

そのため猫は「嬉しい」といった感情や、おもいっきりリラックスした状態のときに、よだれを垂らしてしまうことがあるようです。

飼い主さんと目が合ったり撫でられたりしたときに、口元からよだれが出ているときは、飼い主さんが大好きすぎて唾液を過剰に分泌されている証拠となります。

また、お気に入りのおもちゃがある猫ちゃんは、遊ぶ際に楽しい気持ちがいっぱいになって、おもちゃがビチャビチャになるほどよだれが出てしまうことも。

◆特に心配しなくても大丈夫

上記のような理由からのよだれは危険性がまったくないので、普段から愛猫の気持ちを汲み取ってあげることも大切と言えますよね。

このように心配の要らないよだれもありますので、さらに猫ちゃんとの絆を深めて、リラックスができる環境を整えてあげるように意識しておきましょう。


猫のよだれの対処法

基本的に猫はよだれを垂らすイメージがないように、よっぽどのことが無い限り、よだれを出すことはありません。

明らかに嬉しい感情でよだれが出ている場合以外は、危険が伴っていることがほとんどですので、早急に何かしらの対処法を用いて、正常な状態に戻してあげたいと思いますよね。

愛猫が何かしらの原因によりよだれを出しているとき、飼い主さんはまず何をしてあげれば良いのでしょうか。

◆動物病院で一度診てもらおう

素人判断でよだれの原因を探るのはとても難しく、少しでも不安要素が残ってしまうようであれば、経過観測をするよりも動物病院で獣医師さんに診てもらった方が安心です。

原因が分からなければ飼い主さんは何もしてあげられませんし、時間をかけて様子をみるということは、愛猫に長く辛い思いをさせることと同義ですよね。

愛猫の体調の回復を願うのであれば、早急に動物病院を受診して、適切な治療を行ってもらうようにしましょう。

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猫のよだれの予防法

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猫からよだれが出ていた際に飼い主さんができる対処法はありませんが、猫がよだれを出すような病気を患わせないような予防はしてあげられるはずです。

どのような予防法を用いて、猫の健康を維持するべきなのでしょうか。

◆オーラルケアをする

猫がよだれを出す原因として、口腔内のトラブルはとても多いので、歯磨きなどのオーラルケアは有効と言えるでしょう。

毎日の歯磨きが望ましいですが、子猫のころからそのような習慣がないと、なかなか口を開いて歯ブラシを入れさせてくれる猫ちゃんは少ないです。

そのような場合はデンタルケアに特化したフードや、おやつなども販売されていますので、そのようなもので日頃からケアを試みてみるのもおすすめです。

オーラルケアは猫がよだれを出していなければしなくて良いわけではなく、猫も高齢になればなるほど健康な歯の維持が難しくなるので、どの猫ちゃんにも日常的なケアが必要と言えますよね。

口腔内にトラブルが起きてしまえば、猫は食欲不振に陥ってしまう上に、症状が悪化すれば麻酔をかけて抜歯する必要性なども出てきます。

猫ちゃんの寿命を延ばす意味合いでも、オーラルケアはとても大切なので、まだケアをしたことのない飼い主さんは、この機会に始めてみてはいかがでしょうか。

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◆家を清潔に保つ

ウイルスや細菌の感染によって、何かしらの感染症を患う危険性があるのであれば、猫ちゃんが過ごす家の中を清潔に保つことも大切ですよね。

そして室内の温度を一年中一定に保つことにより、熱中症などの病気も防ぐことが可能となります。

また、誤飲や誤食を防ぐ目的でも、猫が興味を示しそうな物は片付け、猫が口にすると危険な物なども猫の行動範囲に置いておかないようにしましょう。


まとめ

猫は唾液の分泌量も少なく、キレイ好きな動物なので、めったによだれを垂らすといった行為はしないはずです。

自分の意思とは関係なくよだれが出ているのであれば、猫ちゃんの体に何かしらのトラブルが起きていると思って良いでしょう。

よだれが出ているということは、すでに症状が悪化している証拠でもありますので、早急に動物病院を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

そして普段から嬉しいといった気持ちが溢れたときに、よだれを出す子も居ますので、心配の要らないよだれとの見分け方も普段から養っておくと安心です。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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