猫が栗を食べたがって困る!与える際の注意点や分量が知りたい!

2021.09.06

猫が栗を食べたがって困る!与える際の注意点や分量が知りたい!

日本の秋は「食欲の秋」と言われるぐらい、旬の食べ物が市場に多く出回りますよね。 中でも代表的な秋の味覚として知られている「栗」は、夏の暑さが落ち着いた9~10月頃、旬を迎えます。 ご家庭で食べる機会が増えると、そのニオイに引き寄せられるように愛猫が群がってくる…。 そんな経験をされたことはありませんか? 猫が栗を欲しがった場合、与えても問題がないのかを考えてみました。

猫に栗を与えても良い?

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季節ごとに旬の食材は変わっていきますが、日本の秋は特に味わい深い食べ物が多く出回りますよね。

美味しいものがたくさん食べられて嬉しいことではありますが、見慣れないものを見ると興味津々で寄ってくるのが、猫という生き物です。

猫と一緒に暮らしている方であれば、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

旬の食べ物はそのときに必要な栄養素が豊富な上に、一番美味しく食せるので、その時期が訪れたら必ず口にするといった方も多いことでしょう。

しかし、これは私たち人間に対しての感覚でしかないので、猫にも同じように旬の食材を与えて良いものなのか悩んでしまいますよね。

基本的に人間用の食べ物は猫に与えるべきではないと言われていますが、栗は栄養価が高く、栗に興味を示す猫ちゃんは意外と多いので、与えても問題ないと考える方は少なくないはずです。

実際のところ、少量であれば栗を猫に与えても問題はありません。

まずは栗に含まれる主な成分として、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。

◆栗に含まれる主な成分

栗には以下のような栄養素が多く含まれています。

・ビタミンB1
・ビタミンC
・葉酸
・カリウム
・タンニン
・アミノ酸
・食物繊維

栗はブナ科クリ属の木の一種となり、栗の果実は種が発達したものとなるので、栗の実はナッツの一種(堅果類)として分類されることもあります。

ほかのナッツ類よりも脂質が少ない上に、でんぷん質が多いので、熱を加えても特定の栄養素が破壊されないといった特徴を持っているようです。

世界中にたくさんの品種がある栗ではありますが、大きく分けると日本・中国・ヨーロッパ・アメリカ栗といった品種に分類でき、日本人が口にする栗は、ほとんどが日本や中国産の栗となっています。

日本産の栗には上記のような様々な栄養素が含まれており、旬の季節にはその豊富な栄養素を摂取できるので、嬉しい食材であると言えるでしょう。

◆期待できる効果は?

嬉しい栄養素の多い栗ではありますが、猫が食べることによって、どのような効果が得られるのかも気になるところですよね。

ビタミンB1にはチアミンと呼ばれる酵素が多く、糖質やアミノ酸の代謝に関わっていることにより、疲労回復効果や皮膚や粘膜を健やかに保つ働きをしてくれます。

熱に弱いとされるビタミンCは栗のでんぷん質により保護されますので、加熱しても壊れにくく、解毒作用や免疫機能を促進する働きがあり、老化防止の手助けをしてくれるようです。

そして血を作る葉酸、ナトリウムの排出を促して高血圧予防の働きをするカリウム、ポリフェノールの一種となるタンニンは、コレステロールの酸化を防いで動脈硬化のリスクを下げる働きをします。

また、体内の代謝に有効なアミノ酸、便秘の解消といった整腸効果が期待できる食物繊維など、様々な成分が猫の健康を助長してくれることでしょう。

◆アレルギー

栗にもアレルゲン物質が含まれており、食品アレルギーを持っている猫ちゃんはアレルギー反応を起こす可能性があるので注意が必要です。

とくに天然ゴムの成分となる「ラテックス」アレルギーを患っている猫ちゃんであれば、その成分とよく似た栗は交差反応を示すことがあるということを覚えておくようにしましょう。

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◆猫に栗を与えるデメリット

栄養素が豊富な栗ではありますが、これらの栄養素はキャットフード以外から摂取したところで、猫にとって相乗効果が期待できるわけではなく、正直なところ敢えて与える必要がないとも言えます。

1日に摂取すべき給餌量を守り、総合栄養食のフードを与えているのであれば、猫は必要な栄養素をフードからしっかりと補っているので、とくに心配は要りません。

考えるべきは、栗を与えることによるデメリットなのではないでしょうか。

食物繊維が豊富なのは整腸作用を促してくれるので、喜ばしいことではありますが、過剰摂取してしまえば、下痢の原因になることもあるので注意が必要です。

また、栗にはマグネシウムが含まれていることもあり、上手に摂取すれば有効な栄養素ではありますが、猫がミネラル分をたくさん摂取すると、尿路結石といった病気のリスクが上がるのでおすすめできません。

AFFCO(米国飼料検査官協会)で定められた栄養基準によると、マグネシウムの最低摂取量は、子猫が0.08%以上、成猫は0.04%以上とされており、この数値よりも摂取量が下回ってしまう場合は、栄養不足となってしまいます。

そして0.15%以上のマグネシウム量を摂取してしまえば、尿路結石の発症率が一気に上がりますので、キャットフードを与える際には十分表記に注意しておくべき栄養素と言えるでしょう。

少なくても多すぎても猫の健康に影響してしまう厄介な栄養素ではありますが、成猫の理想的なマグネシウム含有量は0.08%前後が理想とされているようです。

例えば0.08%マグネシウムが含有されたフードを与えた場合、100gで80gのマグネシウム量を摂取していることになり、そのほかの食材でマグネシウムを過剰摂取してしまえば、一気に最高摂取量をオーバーしてしまいますので、マグネシウムの含有量の多い食材は猫に与えない方が無難であると言えますよね。

栗で言うと100g(4個程度)あたり、中国産のもので約71mg、日本産のもので約40gものマグネシウムが含有されているので、栗の栄養素を期待しすぎて大量に猫に与えることは控えた方が良いでしょう。


栗の与え方

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しかし、飼い主さんが栗を食べているときに、愛猫が横で興味を示し、横でニャーニャーと鳴かれた場合、少量であれば害がないという確証があるようならお試し程度に与えたいと思う飼い主さんは多いはずです。

猫に栗を与える際には、どのようにして与えるべきなのでしょうか。

◆皮は取り除く

栗の外側には鬼皮と呼ばれる硬い皮がついており、栗の実には薄い渋皮がついています。

食用ではない鬼皮を剥くことはもちろんですが、渋皮にはポリフェノールが豊富に含まれていることもあり、柔らかく煮れば食べられますが、消化が悪いので猫には不向きです。

猫に与える際には、皮の部分をすべて取り除き、実の部分だけを与えるようにしましょう。

◆加熱

栗を猫に食べさせたいのであれば、必ず生栗を水から茹で、できるだけ柔らかく煮てから与えるようにしてください。

栗はでんぷん質を多く含んでいるので、硬めに茹でてしまうと消化に時間がかかり、猫の臓器に負担をかけてしまうことがあります。

そして細かく刻むか潰すなどをして、猫が食べやすい工夫をしてから与えると安心です。


栗を与える時の注意点は?

少量であれば猫に栗を与えても問題はありませんが、栄養補給にも一躍買ってくれることもあり、1粒で約35kcalものエネルギー量があるので、肥満気味の子や糖尿病を患っている子には極力与えないようにしましょう。

また、黒蜜や砂糖を加えて焼いた甘栗や、ペースト状にした栗に砂糖やクリームを大量に混ぜて作ったモンブランなどは、猫にとって糖分の過剰摂取となるので安全とは言えません。

これらの栗を加工した食品はあくまで人間の食べ物であり、たとえ少量であっても猫に与えない方が良いと言えますよね。

愛猫がどうしても栗を使用したお菓子などに興味を持つようでしたら、そのときには猫用のおやつを与えるなどをして、意識を別の食べ物に向けるような工夫をしてみてはいかがでしょうか。


体調を崩した場合の対処方法は?

猫が栗を食べて体調を崩したのであれば、そのまま経過観測をするようなことはせず、早急に動物病院を受診するようにしてください。

栗にはアレルゲン物質も含まれているので、猫がアレルギー反応を起こしているのであれば、様々な症状が出てしまう上に、アナフィラキシーショックを起こせば命を落とす危険性も否めません。

栗をどれぐらいの分量を食べて反応が出たなどの詳細を獣医師さんにお伝えし、早急に処置をしてもらえるような行動を心掛けましょう。


まとめ

日本には4つの四季があり、それぞれの季節には自然の風景や旬の味覚など、一年を通して情緒を感じながら楽しめますよね。
中でも秋といった季節には、たくさんの旬の食材が食べ頃となり、様々な食材が食卓に並ぶことでしょう。

そして秋をもっとも感じる食べ物として挙げられることの多い栗は、おやつとして食べるも良し、料理のアクセントに加えても良しの万能食材となりますので、この時期を楽しみにしている方も多いはずです。

飼い主さんが楽しみにすればするほど、その気持ちに便乗してしまうのが、猫という生き物でないでしょうか。

なるべく人間の食べ物は、猫に与えたくないと考える方がほとんどだとは思いますが、栗は少量であれば猫に与えても問題ありません。
猫に栗を与える際にはこの記事にまとめた注意点をしっかりと守り、愛猫が嗜む程度に与えることを心掛けてみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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