ペット保険の加入を真剣に考えましょう<前編>

2015.05.08

ペット保険の加入を真剣に考えましょう<前編>

犬の医療は自由診療で、一律の料金を決めたり、基本料金を設定したりすることは独占禁止法により禁じられています。また、人間のような健康保険はありません。ドキドキしながら動物病院のお会計を待ち、その額が意外と高くて驚いたことがあるペットオーナー様も多いのではないでしょうか。 そんなペットオーナー様の不安をフォローするために、最近は様々なペット保険が販売されています。ペット保険に入れば診療費が安くなるかも、とペット保険に加入する前に、どんなペット保険が自分に向いているかを確認しておきましょう。 「ペット保険加入」を考える 前編・後編全2回の記事で紹介します。

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ペット保険加入時のチェックポイント

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ペット保険とは、動物病院などをペットが受診したときに、その治療費や手術代、入院費用などの一部、保険によっては全部を保険会社に負担してもらうことができるサービスです。
人間の医療保険と同じように、ペットの医療費が戻ってくることで飼い主の経済的な負担が軽減されるというメリットがあります。

後悔しないペット保険選びのためには、自分の考え方に合った保険を探すのが一番です。ペット保険への加入を検討するときは、必ずホームページやパンフレットに記載されている情報を確認してください。

◆ワンちゃんの健康をチェックしてください。

ペット保険へ加入する基本条件は「現在、健康体であること」です。また、既往歴や先天性疾患によっては、契約できない場合もあるので注意してください。

◆ワンちゃんが加入可能な年齢以下か、更新は何歳までかをチェックしてください。

ペット保険には、加入可能な年齢が決められています。犬が9歳になると加入できないペット保険もありますので、犬がシニアになったときの医療費が心配な場合は、8歳を迎えたら加入を検討し始めましょう。

また、保険を何歳まで更新できるかもチェックしてください。例えば、更新が満13歳までとなっている場合は、犬が14歳になったらそれまでいくら保険料を支払っていても更新できません。

◆保険の対象外となる疾患を必ずチェックしてください。

既往症や先天性の障害、不妊・去勢手術、歯科疾患、予防接種などは保険の対象外とする保険会社がほとんどです。自分の犬が将来どのような疾患にかかりそうで、その疾患には保険がきくのかをしっかりと見極めることが大切です。

保険会社によっては、保険始期日から一定期間中は保険金を支払わない「待機期間」を定めているところもありますので、待機期間が不当に長くないかもチェックしましょう。

◆ペット保険の初年度の料金だけではなく、契約更新後の料金もチェックしましょう。

ペット保険の契約期間は1年間で、満期になると契約を更新します。保険料が年齢とともに上がる保険と、年齢に関係なく加入時から定額の保険があります。

◆損害保険会社・少額短期保険業者の財務内容もチェックしましょう。

ペット保険会社のサイトでは、財務内容が公開されています。取扱件数が増えているか、資本金は多いかは、その会社の経営が安定しているかの判断につながります。保険金が実際にはいくら支払われるかを考えましょう。

◆保険の保障型をチェックしましょう。

保険には、以下の3タイプがあります。

①実費補償型
負担した治療費が、契約で定められた一定の範囲内で補償されるペット保険です。例えば、一日の支払い上限が5000円と決めて契約した場合は、5000円以内の治療費であれば支払いはゼロになるメリットがあります。ただし、5000円以上の治療費が必要なときは、残りは自己負担となります。

②定率補償型
負担した治療費の一定率が補償されるもので、現在のペット保険の主流です。治療費の50%か70%を保険で保障する商品が一般的で、50%プランなら半額、70%プランなら30%が飼い主の負担です。

③定額補償型
負担した医療費の金額にかかわらず、一定の金額が補償されるタイプの保険です。例えば、治療費の実費もしくは通院1日あたり2000円のペット保険に加入した場合は、負担した治療費が1000円であっても2万円であっても2000円が支払われます。

◆請求方法が「後日請求型」「対応病院型(窓口精算型)」のいずれかをチェックしましょう。

①後日請求型
ペットオーナー様が動物病院の会計でいったん診療費を全額支払った後、保険金請求書や領収書などの書類を保険会社に郵送して払い戻しを受けるものです。高額な診療費でもいったんは自分で支払わなければならず、保険料の払い戻しは1~2ヶ月先になる場合もあります。

②対応病院型(窓口精算型)
そのペット保険に対応している動物病院なら、保険プランに合わせた自己負担分だけを会計で支払えばいいというものです。治療を受けたその場で払い戻しが受けられるので、急な出費のときにも安心ですし、書類を揃えて郵送する手間も省けます。

ただし、窓口精算ができるのは、そのペット保険会社に対応する動物病院に限られます。そのほかの動物病院で治療費を支払った場合でも、後日請求型で払い戻しをする動物病院もあります。

◆「※」で書いてある部分にも必ず目を通しましょう。

パンフレットの「※」の後に小さく書かれている文字は読み飛ばしてしまいがちですが、「但し、~を除きます」など、大切なことが書かれている場合があります。ここも必ずチェックしましょう。


ペット保険は、月額いくらくらいが妥当でしょう?

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ペット保険の月々の保険料は、ワンちゃんの犬種、年齢、体重などによって決まります。また、ペット保険の契約期間はペット保険にいくらまでかけられるかは、各ご家庭の生活レベルや犬に対する考え方で大きく異なってきます。

ペット保険の多くは支払限度額と限度日数が定められていますので、実際にどれくらい保険料が支払われるかをシミュレーションするといいでしょう。

そして、自分はワンちゃんに対してフード代、トリミング代、ペットシーツ代、医療費、レジャー代なども含めて、毎月いくらまでならお金を出せるのかを家計全体から考えます。その範囲内で保険に入るのが一番のお薦めです。


支払限度額と限度日数(回数)に注意しましょう

多くのペット保険は、1 回1 万円まで、年間20 回までなどと支払限度額と限度日数(回数)が決められています。
例えば、1000 円の内服薬が処方された場合、半額補償されるペット保険なら保険申請すれば500 円戻ってきますが、20分の1回を使ってしまうのはもったいない場合もあるかもしれません。また、長期的な治療が必要な場合は、「ここぞ!」というときに使いたいものです。

かかりつけの動物病院に「限度回数が年間20回のペット保険に入りましたが、この治療においてはどのあたりで使うのがベストでしょう?」と相談すれば、獣医師が「3か月後に手術を考えていますから、そのときと、術後の治療にとっておいたらいかがでしょう?」などと提案してくださるでしょう。逆に、保険期間が残り1か月になったら、どんどん保険の適応を受けるべきです。

ペット保険を賢く使って、ワンちゃんの健康をケアしていきましょう。

●あわせて読みたい
ペット保険の加入を真剣に考えましょう<後編>

ワンちゃんの健康ケアをする上で大きな助けとなる「ペット保険」について、 前回の記事で詳しく紹介しました。
2回目の記事では、ペット保険を提供する保険会社に「少額短期保険」会社も含まれることから、少額短期保険 について補足します。

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石原 美紀子

石原 美紀子

青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。


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