犬の怖がりは改善できる!怖がりになる原因は?怖がりの子の特徴と仕草

2021.04.26

犬の怖がりは改善できる!怖がりになる原因は?怖がりの子の特徴と仕草

愛犬が怖がりで困っている飼い主さんは、少なくありません。お散歩中に他の犬や人に吠えてしまうのは、怖がりの表れです。怖がりが高じて攻撃行動に出てしまうと、大変なことになることも。しかし、愛犬の怖がりは、原因を理解して、きちんとした対処をすれば、改善することができます。今回は、犬が怖がりになる原因や怖がりの子の特徴をご紹介するとともに、改善法も解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【目次】
1.犬が怖がりになる原因
 1-1.犬は本来怖がり
 1-2.社会化ができていない
 1-3.人に何か嫌なことをされた
 1-4.親犬と早期に離れた
 1-5.過保護、過干渉
 1-6.遺伝

2.怖がりな犬の特徴
 2-1.変化に対して異常な反応を示す
 2-2.知らない人や犬に対して異常に怖がる
 2-3.激しく吠える、自傷行為をする

3.犬が怖がるもの
 3-1.大きな音
 3-2.階段
 3-3.他の犬
 3-4.家族以外の人
 3-5.動物病院やトリミングサロン

4.犬が怖がっているときの仕草や行動
 4-1.しっぽが下がっている
 4-2.耳を寝かせている
 4-3.震える
 4-4.腰が引けている
 4-5.ハウスに逃げ込む
 4-6.唸る、吠える

5.犬の怖がりを改善する方法
 5-1.様々な体験をさせる
 5-2.安心できる場所を作る
 5-3.簡単なコマンドを教えておく
 5-4.専門家に相談する

6.まとめ

犬が怖がりになる原因

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初めに、犬が怖がりになる原因を理解しておきましょう。
怖がりになる原因を知っておけば、怖がりにならないように育てることもできます。

◆犬は本来怖がり

野生で暮らしていたころの犬は、非常に用心深く慎重に暮らしていました。
そうでなければ、敵から身を守って生き抜いていくことができなかったからです。

用心深く慎重な性格は、裏を返せば怖がりであるということでもあります。
しかし、人と暮らす現代の犬の場合、あまりにも怖がりだと、いろいろな問題が生じてしまうのです。

◆社会化ができていない

「社会化」とは、外的な刺激を受けて社会に適応していくことです。
特に、人間との社会生活に慣れていくことは、大切な社会化です。
犬の性格は、生後1年間でおおよそ決まります。

このうち、4週齢~13週齢ごろが、社会に適応していく非常に大切な時期で、「社会化期」と呼ばれます。
この時期には、外的な刺激に対して強い好奇心を持つ子が多く、様々なことを柔軟に受け入れることができます。
逆に、この社会化期に、人と触れ合う機会がないと人を怖がるようになり、他の犬と遊ぶ機会が少ないと犬を怖がるようになります。
一方、生後13週齢~12ヶ月齢ごろは、警戒心や恐怖心を覚える時期です。
それまで物おじしなかった子でも、「怖い」という恐怖心が、少しずつ芽生えてきます。
社会化期に十分な社会化をできなかった子は、新しい刺激に対してさらに恐怖心を覚えるようになります。

◆人に何か嫌なことをされた

虐待に限らず、犬自身が嫌がることを人から無理にされてしまっていると、トラウマになり、人やその物事に対して怖がりになってしまいます。
例えば、まだ慣れていないうちから無理やり抱っこをされたり、好奇心旺盛な子供たちに執拗に構われたりしたことが、犬にとっては怖い記憶として残ってしまうことがあります。
子犬の時期には、良いことも怖いことも吸収してしまうため、この時期に怖い経験をすると人や犬を怖がるようになるのです。

◆親犬と早期に離れた

犬は、生後12週齢~14週齢の時期に、いろいろな経験を通じてたくさんのことを学習します。
特に、母犬やきょうだい犬と一緒に過ごすことで、他の犬とのかかわり方を学んでいきます。
例えば、子犬がじゃれて噛んだとき、噛む力が強くて痛い場合には母犬が「嚙むと痛い」ということを教えますし、きょうだい犬同士が遊びの中で噛みあうことで力加減を学ぶのです。
このような経験の繰り返しによって、子犬は他の犬とのかかわり方を学んでいきます。
この時期までに母犬やきょうだい犬と離れてしまうと、これらの経験を積むことができません。
そのため、他の犬とのかかわり方を覚えられないので、慣れることができず、犬を怖がるようになります。

◆過保護、過干渉

飼い主さんが、犬に対して過保護だったり過干渉だったりすると、怖がりが助長されてしまいます。
例えば、散歩中に他の犬を怖がり吠えてしまう子を抱っこしてしまうのは、過保護と言えます。
犬が飼い主さんに依存している場合も、怖がりの子になります。
飼い主さんが愛犬のことを気にしすぎて構いすぎると、犬は「私のことを守ってくれるんだ!」と感じて、自立できず、いろいろなものを怖がるようになってしまうのです。
依存体質になった犬は、お留守番もできなくなり、飼い主さんがいないだけで不安になる「分離不安」となることもあります。

◆遺伝

人間の性格も、環境だけでなく、親からの遺伝によって決まる部分があります。
犬も同様で、父犬か母犬のどちらかが怖がりの性格であった場合、親犬と似たような性格になる場合があります。
また、犬種としての遺伝的な要素もあります。
猟犬や作業犬は、嗅覚や聴覚が優れているため、雷や花火の音に非常に敏感です。


怖がりな犬の特徴

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次に、怖がりな犬の特徴を押さえておきましょう。
そのうえで、愛犬が他の子より怖がりなのかどうか、見極めてみてください。

◆変化に対して異常な反応を示す

怖がりの子は、変化に対して異常な反応を示します。
例えば、環境の変化に対する弱さがあります。
部屋の模様替えや、いつもと違う時間のお散歩など、飼い主さんからするとほんの些細なことであっても、不安になり怖がってしまうのです。

◆知らない人や犬に対して異常に怖がる

知らない人や犬に対して、異常に怖がる場合もあります。
知らない人や犬に遭遇した時、怖がりの子は、相手とコンタクトするのを避ける、その場で固まるなどの反応を見せます。
これらの仕草は不安の表れで、「怖いから、あっちへ行って!」ということを伝えようとしています。

◆激しく吠える、自傷行為をする

雷や花火の音、走ってくる車などを怖がる子は、激しく吠え続けたり、暴れたりします。
自分の足やしっぽを噛んだり舐め続けたりする「常同行動」を示し、ひどくなるとしっぽを噛みちぎってしまうような自傷行為をする場合もあります。


犬が怖がるもの

ここでは、犬が怖がりやすいものをご紹介します。

◆大きな音

雷や花火の音、大きなトラックなどのエンジン音といった大きな音を怖がる子は、少なくありません。
これは、犬の聴覚が非常に優れているためです。
犬の聴覚は、音が聞こえる範囲は人間の4倍、聞こえる音の大きさは6倍と言われています。
したがって、人にとってはあまり大きく感じない音でも、犬にとっては非常に大きな音に聞こえているのです。
また、花火やエンジン音は、自然界には存在しない音です。
犬には、何故そんな音がするのかが理解できないため、初めて聞くと恐怖を感じることがあります。

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◆階段

段差が大きい階段は、次の段の様子が見えにくいので、降りることを怖がる犬がいます。
また、犬は色覚が人とは異なると言われており、段の境界が見分けにくいとも考えられます。
そのため、特に小型犬の場合、降りる階段が崖のように迫って見えている可能性があります。

◆他の犬

社会化期に他の犬と触れ合う機会がないまま育った子は、他の犬を怖がるようになります。

◆家族以外の人

室内飼いをしている犬は、家族以外の人との接触の機会が少ないです。
このため、知らない人を怖がる傾向があります。
特に、家の中は犬にとっては自分のテリトリーであり、他の人や犬が入ってくることを警戒します。
そのため、来客を怖がり、吠えて追い返そうとするのです。

◆動物病院やトリミングサロン

動物病院やトリミングサロンでの診察や注射、シャンプーなどが苦手な子は、少なくありません。
特に日ごろ通うことが無く、行くと必ず注射をされたり、体調の悪いときに行ったりした経験があると、動物病院を怖がるようになります。
犬にとっては、獣医師さんやスタッフさんは「知らない人」なのも怖がる要因でしょう。


犬が怖がっているときの仕草や行動

犬が怖がっている時の仕草や行動を知っておくと、犬の気持ちを知ることができるでしょう。

◆しっぽが下がっている

尻尾が下がっているのは、怖がっている証拠です。
できれば近寄ってほしくない、関わりたくないという気持ちの表れです。

◆耳を寝かせている

耳をぺたりと寝かせているのも、怖がっている印です。
レーダーの役割を果たす大切な耳を守ろうとしています。

◆震える

強い恐怖を感じると、無意識に震えてしまいます。
また、足がすくんで、その場で固まってしまうこともあります。

◆腰が引けている

立った姿勢で、頭を残して腰を後ろに引くようにしている場合は、興味を少し抱いているものの、身の危険を感じて、何か起きたらすぐ逃げられるよう身構えています。

◆ハウスに逃げ込む

普段からハウスが好きな子がハウスに逃げ込むのは、そこに安心を求めているからです。

◆唸る、吠える

対象に向かって唸ったり吠えたりする場合は、相手と距離を取りたがっていて、威嚇することで相手を遠ざけようとしています。


犬の怖がりを改善する方法

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怖がりは、改善することができます。
ここでは、怖がりに対する対処法をご紹介します。
社会化期を過ぎてしまった子の場合は、克服するというより、苦手な刺激に無関心でいられるようになることを目標としましょう。

◆様々な体験をさせる

いろいろな場所に連れて行って、音や人、他の犬に慣れさせてあげましょう。
たくさんの刺激を一度に与えるとトラウマになりがちなので、気をつけてください。
犬が受け入れられるよう、ゆっくりとその子のペースに合わせて進めていきましょう。
無理強いは、禁物です。
外に出たがらない子なら、玄関を開けっぱなしにして自分から出られるようにしたり、おもちゃやオヤツを玄関のそばに置いてみたりして、玄関や外は怖くないと覚えてもらいます。

◆安心できる場所を作る

不安になってしまう子には、安心できる居心地のいい場所がないのかもしれません。
ひとりで落ち着ける、居心地のいい場所を用意してあげましょう。
ケージや犬用のベッドなど、自由に出入りできる自分だけの場所を作ってあげます。
そこで寝ている時には、そっとしておいてあげましょう。

◆簡単なコマンドを教えておく

怖がっている子に優しい言葉をかけるのは、よくありません。
「怖がると優しくしてくれる」と覚えてしまうため、飼い主さんが怖がりを強化したことになります。
落ち着いていられるときに、「お座り」「おいで」など簡単なコマンドを覚えさせておきましょう。
そして、怖がりの対象(例えば、他の人や犬)が近づいた時、「お座り」などのコマンドを出します。
上手にできれば、たくさん褒めてあげましょう。
コマンドを出すタイミングが重要で、あくまで犬が怖がる前にやらなければなりません。
怖がってからでは、怖がりを強化することになるので、気をつけましょう。

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◆専門家に相談する

飼い主さんだけでは、なかなか改善できない場合には、ドッグトレーナーなどの専門家に相談することも一つの方法です。
専門的なトレーニングを受けることで、怖がりを改善していくことができます。
また、トレーナーさんに一定期間預けたり、「犬の学校」的な場に行かせたりすると、他の犬とのかかわり方を学習することもできます。


まとめ

犬は、本来「怖がり」なものです。
特に、社会化期に他の人や犬など様々なことに触れる機会がないまま育った子は、怖がりになりやすいです。
怖がりを克服することは難しいですが、改善することはできます。
筆者自身がドッグトレーナーさんから言われたことなのですが、犬は「強いリーダーについていく自分ってステキ」と思えることが幸せなのだそうです。
逆に言えば、飼い主さんが頼りないリーダーだと、犬は「自分で何とかしなければ」と、逃げたり攻撃行動をしたりするということです。
愛犬が怖がりなら、なおのこと、飼い主さんは落ち着いて動じない、強いリーダーになってあげましょう。
愛犬の恐怖心を和らげてあげることができるでしょう。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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