1.オーストラリアンケルピーとは?
1-1.オーストラリアンケルピーの歴史
1-2.オーストラリアンケルピーの性格・特徴
1-3.オーストラリアンケルピーの毛色の種類
1-4.オーストラリアンケルピーの寿命・病気
オーストラリアンケルピーとは?
日本では登録数が少ないため、珍しいともいえるオーストラリアン・ケルピー(Australian Kelpie)ですが、原産国のオーストラリアでは10万頭以上が登録されている、高い人気を誇る犬種です。
国内では犬図鑑でも開かなければ頻繁に見る機会は中々得られませんが、海外では現役の牧羊犬として、ショードッグや家庭犬としてなど、幅広い理由から飼育されています。
利口で忠誠心があり、抜群の体力・スタミナに素晴らしい身体能力を持っているため、ドッグスポーツに向いているグループの犬種です。
愛犬と一緒にドッグスポーツやアクティブなことがしたいと考えている愛犬家さんにはぴったりのワンちゃんですよ。
オーストラリアンケルピーがもつ歴史や、性格・身体的特徴、飼い方などを紹介していきますので、しっかりチェックしてこの犬種の魅力を感じてください。
◆オーストラリアンケルピーの歴史
オーストラリアンケルピーの歴史は、1800年代まで遡ると考えられています。
19世紀頃、オーストラリアに入ったイギリス・スコットランド人などの移民が連れてきた、ボーダー・コリーなどのコリー犬と、野犬のディンゴ(犬科の野生動物)との交配によって生まれたと伝えられていますが、真偽のほどは分からず、作出された理由は定かではないようです。
コリーとディンゴの交配種としてはサイズがかなり小さい中型犬なのですが、並外れた運動能力・野性味を残した性格、筋肉質の素晴らしい体躯から、その様な理由が生まれたのかもしれませんね。
1872年にオーストラリアの牧羊犬競技会で優勝したことから、オーストラリアンケルピーの人気はどんどん高まっていきました。そして、オーストラリア国内で、数を増やしていったのです。
家庭犬・牧羊犬(牧畜犬)・ショードッグとしても愛されていくこととなったオーストラリアンケルピーは、なんと、ワーキングドッグの血統、ショードッグの血統、と明確に区別され、ワーキングドッグは独自の登録団体によって管理されることになります。
これは、ショードッグとしての外見・性質を目標として繁殖された個体が、ワーキングドッグの血統に入ることで作業能力が低下することを防ぐための対策でした。ちなみにこのアイデアは1955年頃から議論されており、1965年にスタートして既に50年が経過しています。
現在においても、ワーキング・ショーの両タイプでは、犬種としての基本条件を共有しつつ、タイプごとに標準とされている体型・毛質などが異なっているのです。
オーストラリアンケルピーは、イギリス・カナダ・日本では犬種として認定されているのですが、アメリカンケネルクラブでは犬種として認められていません。ワーキング・ショーとタイプが異なっていることで、両者を同犬種として認めがたい、という考えによるものだそうです。
ちなみにケルピーとは、ゲール語(スコットランドの方言)で、伝説の中に現れる水の精の名前だそうですよ。
◆オーストラリアンケルピーの性格・特徴
オーストラリアンケルピーは中型犬に分類される犬種です。
平均的とされるサイズは、オスが
体高約46~51cm、体重約11.5~14kg。メスが体高約43~48cm、体重約11.5~14kgといわれています。
短く艶のある毛並みに、筋肉質で引き締まったボディ、三角の立ち耳に、きりっとした顔立ちがとても特徴的です。脚はやや長めの体型をしており、尻尾は長く垂れ下がっています。
ちなみに、しっかりと立った三角の耳は、断耳なしで自然とドーベルマンのような立ち耳になるということで知られているのです。
そして、オーストラリアンケルピーは、ワーキングタイプとショータイプに分類されています。身体的な特徴には共通点が多いのですが、タイプによって毛質や毛色、サイズの詳細などが容姿に違いがあります。日本ではショータイプとして、オスの体高は46~51cm、メスの体高は43~48cmとされているようです。
基本的には、非常に賢く、大変エネルギッシュといった性格をしています。活発・敏捷・繊細な神経・判断力・服従心、などを持ち合わせた正に牧羊犬といったタイプです。与えられた仕事を、従順に喜んでこなしてくれるでしょう。
逞しい外見とは裏腹に、争いを好まず、他の犬と強調しようとする姿勢を見せる子が多いようです。しかし、家族・仲間など、自分が認めた相手以外には、警戒心をもち距離を置いて接する面もあるといわれています。
ちなみに、ワーキングタイプに比べると、ショータイプの方が、穏やかな性格で、行動が落ち着いているそうですよ。
◆オーストラリアンケルピーの毛色の種類
オーストラリアンケルピーの被毛は、スムース・ショート・ラフの三種類に分けられていますが、いずれも艶があり滑らかで、短いダブルコートです。
毛色のバリエーションは豊富で、どれも個性的であるというのも特徴の一つでしょう。
ブラック、ブラック&タン、レッド、レッド&タン、フォーン、チョコレート、スモーク・ブルーなどといったカラーの種類があります。
◆オーストラリアンケルピーの寿命・病気
オーストラリアンケルピーの平均寿命は約12年前後です。もちろん、個体差があるので一概にはいえませんが、健康的に長生きするためにも、気を付けるべき病気のことをしっかり知っておきましょう。
オーストラリアンケルピーがかかりやすいとされる病気を紹介しますので、チェックしてみてください。
進行性網膜萎縮症
眼の中の網膜が委縮し、視力を少しずつ失っていく病気。遺伝性疾患である。
股関節形成不全
肥満が原因で発症するケースがあるため、食事・運動管理が必要。
拡張型心筋症
失神して死に至るケースもある、大変危険で原因も不明とされている病気。
小脳変性症
小脳が正常に働かなくなり、歩様などに異常が見られる病気。
牧羊犬ということもあり、非常にタフな身体をもつオーストラリアンケルピーですが、遺伝性の病気や生活習慣によってリスクが高まる病気などを発症する可能性はあります。また、運動不足が原因となり、ストレスを溜めこむ場合もありますので、常日頃から愛犬の様子や状態を把握しておくことが重要です。
何か異変を感じたら、一度獣医さんに相談してみましょう。
オーストラリアンケルピーの飼い方
オーストラリアンケルピーを飼うために、事前に飼い方をチェックしておく必要があります。必要な散歩・運動量や食事量、しつけやお手入れの方法などをみていきましょう。
◆散歩
紹介してきたように、牧羊犬であるオーストラリアンケルピーには沢山の運動量が必要となります。
散歩は、朝・晩の1日2回で、1回あたり1~2時間程度を、最低限行うことが理想です。時々、一緒にランニングするなどの、激しい運動をする時間も散歩内に取り入れると良いでしょう。
それに加え、ドッグランなどの自由に走り回れる場所へ連れて行ってあげるのがベストだといえます。毎日は難しくとも、定期的に思い切り走らせてあげられるよう配慮しましょう。
前述したように、ドッグスポーツへの挑戦にもとても向いている犬種です。物覚えがよく、判断力もあり、スピード感も兼ね備えています。フライングディスク・アジリティなどの、あらゆるスポーツを楽しんで行うことができるでしょう。興味があれば、是非、挑戦してみてください。
◆食事
オーストラリアンケルピーは運動量の多い犬種のため、ドッグフードとして高たんぱくなタイプを選んであげることがおすすめです。
成犬の場合は約300gの量を1日2~3回に分けて与えるのが基本とされていますが、もちろんフードによっても必要量には差がありますし、個体によってもそれは変わってきます。
与えるドッグフードのパッケージを参考にしながら、愛犬にとっての適切な量を判断しましょう。
◆しつけ
オーストラリアンケルピーは、家族に対する仲間意識の強い犬種です。飼い主さん(リーダーと認めた相手)の要求を汲み取ろうと、真剣に向き合う姿勢をみせるでしょう。更に、非常に賢くて物覚えも良いため、しつけは難しくないといわれています。
子どもの扱いも上手なので家族と認めさえすれば、少々いたずらされてもあまり構わずにいられるでしょう。ただし防衛心もあるため、他人・見知らぬ相手に対してはこのようにいきませんので注意してくださいね。
子犬の頃から、しっかり飼い主さんとの主従関係を教えることができれば、良い関係性を築くことができるでしょう。
◆お手入れ
ダブルコートとはいえ短毛なので、比較的お手入れは楽な犬種です。週に一回程度、軽くブラッシングをして、毛並みを整えてあげましょう。
ただし、換毛期は下毛が多く抜けるため、定期的なブラッシング・シャンプーは必要ですよ。この時期には、こまめにブラッシングしてあげてくださいね。
オーストラリアンケルピーの値段
オーストラリアンケルピーは、ブリーダー自体も少なため、国内で子犬を入手したり、里親として迎えることがとても難しいです。ペットショップなどで見掛ける確率も低いでしょう。輸入するのが、主な入手方法だといえます。
値段は時期によっても大きく左右されますが、最低でも20万円前後でしょう。
海外では10万円以下で販売されている場合もありますが、手数料などが必要となります。それを含めると、大体30~40万円程度の費用がかかることを想定しておく必要があるといわれています。
もちろん、月齢・毛色・血縁関係によっても値段は左右されます。ブリーダーさんに問い合わせて、価格を確認するのが確実です。
また前述したように、オーストラリアンケルピーには遺伝性疾患を発症する可能性があります。その点についても併せて、親犬の情報を聞いておくことがすすめられます。
まとめ
国内では珍しいとはいえ、とても魅力的な犬種のオーストラリアンケルピー。
飼い主さんや家族にとって、人生の素敵なパートナーとなってくれること間違いなしです。
ただし、この犬種を迎え入れる上では、相当な運動量が必要だということを覚悟しなくてはいけません。実働するワーキングドッグとしてのオーストラリアンケルピーは、仕事中毒と呼ばれるほど活発で熱心に働く犬であり、例えショータイプであっても、疲れ知らずでかなりの運動が必要となりますよ。
国内でこの犬種を探すのは中々難しいので、海外からの輸入が一番の近道です。興味のある愛犬家さんは、是非、ブリーダーさんを探してみてくださいね。
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