【獣医師監修】夏場に気を付けたい犬の肉球の火傷

2021.09.09

【獣医師監修】夏場に気を付けたい犬の肉球の火傷

猛暑が続くことが多くなり、夏場は愛犬の散歩も大変になりました。夏場(7-9月)は、熱いアスファルトに触れたことなどによる犬の肉球の火傷の症例が増加します。普段から気を付けてあげられることは無いのでしょうか。本記事では、犬の肉球の火傷の原因、万が一火傷してしまったときの対処法を紹介します。


犬の肉球が火傷をする原因

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大切な家族である愛犬の健康のために、毎日のお散歩は欠かせませんよね。でも最近は夏場猛暑が多く、飼い主さんも大変なのではないでしょうか。
そんな季節に注意したいのが、犬の肉球の火傷です。
夏場(7-9月)の動物病院への犬の通院理由として、肉球の火傷の症例が増加します。

◆肉球の役割

はじめに、犬の肉球役割について学びましょう。犬の肉球は、身体を支える足への衝撃をやわらげたり、地面の熱や冷気から足を守ってくれる、靴の様な役割があります。
肉球の外側は角質化した非常に厚い組織で覆われており、内側は脂肪や繊維組織で構成される皮下組織から成ります。地面に直接触れる部分であることから、熱や冷感、衝撃や摩擦などの刺激に比較的強い構造になっています。
また、肉球にはたくさんの神経や血管が存在しており、ヒトの指先と同様に、様々な刺激を感じることが出来ます。つまり、肉球には地面の情報を感じ取るセンサーの様な役割があるのです。一方で肉球は犬にとっては欠かすことのできない大事な器官ですが、一度けがをしてしまうとなかなか治らず、完治までに時間がかかるため、注意してみていてあげたい部分でもあります。

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◆暑い日のアスファルト

では実際にどんな理由で犬は肉球を火傷するのでしょうか。犬の肉球の火傷の原因として最も多いのが、暑い日のアスファルトやマンホールに触れたことによる火傷です。
近年、夏場は日本も猛暑日の日が続くことが増えてきました。アスファルトやマンホールの温度は、外気温が30℃になると、60℃を超えると言われています。いくら犬の肉球が強くできているといえど、犬にとっても危険な熱さです。ヒトでも60℃に触れれば、熱いと感じるように、犬たちも熱いと感じます。
短時間の散歩でも、火傷をする危険性があります。また、犬たちはヒトよりも身長が低く、熱い地面の熱をダイレクトに身体で受けます。肉球の火傷だけではなく、温度による犬の身体のダメージにも気を付けてあげましょう。

◆暖房器具

夏場以外にも肉球の火傷の症例が増えるのが1-2月です。冬の寒さは、ヒトと同様に犬でも辛いものです。そんな季節に重宝するのが暖房器具ですが、ヒトだけでなくペットも、暖房器具には気を付けないといけません。
ストーブやヒーターなど、暖房器具は今やヒトの生活には欠かせないものです。暖を取るために、暖房器具の前がお気に入りの場所になる犬も多いのではないでしょうか。冬場は犬が暖房器具の前にいる時間が長くなることにより、肉球を低温火傷してしまうことがあります。

低温火傷とは、通常では火傷が起こることのない温度(約40-50℃)の熱源に、長時間触れていることで起きてしまう火傷です。通常の火傷とは異なり、なかなか気づきづらいのが特徴です。冬場は暖を取るために愛犬が暖房器具に長時間近づきすぎてしまっていることが無いか注意して見ていてあげましょう。対策として、直接熱の出る部分に触れないように、暖房器具をサークルで囲ったりするなどして、犬が暖房器具に近づきすぎないようにしてあげるのもいい方法です。

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火傷をした肉球の症状

気を付けていても、犬が肉球を火傷してしまっていることがあるかもしれません。愛犬が肉球を火傷してしまっていたら、どんな症状が現れるのでしょうか。事前に知識を知っておき、いざという時に対処できるようにしましょう。もしも下記の様な症状が見られたら、火傷をしてしまっているかもしれません。

◆足を引きずる

犬が足を引きずっている時は、身体に何らかのトラブルを抱えていることが多いです。もし足を引きずっていたり、片方の足をかばうような仕草を見せたら、肉球にトラブルが起きている可能性があります。
犬が足を引きずるような仕草を見せたら、落ち着いて確認できる場所に犬を移動させ、肉球の様子を観察しましょう。もし肉球を火傷していたら炎症が起きており、当然痛みが生じています。優しく肉球に触れてみて、痛がらないか確認しましょう。

◆歩きたがらない

散歩の好きな愛犬が、いつもは軽快に歩いているのに、突然歩きたがらなくなってしまったら、夏場は肉球の火傷をしている可能性があります。足に火傷による炎症が出来ていれば、痛みにより歩くのが難しくなるため、歩くのを急に嫌がるようになります。犬は、痛がったり、大きな反応をしない場合もあるので、しっかりと原因を探してあげましょう。

◆肉球をなめたり、足を噛む

犬は日常的に、足のケアなどのために自分の肉球を舐めます。一方で、肉球に炎症があったり、とげが刺さっていたりなどして痛む時も、犬は治そうとして舐める習性があります。
もし過度に舐めている様であれば注意が必要です。舐めた傷口からばい菌が入り、雑菌が指の間で繁殖して、症状が悪化してしまう可能性があります。

◆肉球が赤い、腫れる

火傷をしてしまった肉球は、酷いときは真っ赤に腫れ、肉球の皮がむける、水ぶくれができるなどの見た目の変化があります。肉球の表面を観察して異常がないか確認しましょう。


暑い日の散歩時の対策法

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連日のように猛暑が続くことが多くなりました。それでも毎日のストレス解消や、運動不足の解消のためにもお散歩は行かせてあげたいのが飼い主さんの気持ちだと思います。猛暑の日でも火傷の心配なくお散歩をするために、愛犬にしてあげられる対策を紹介します。

◆靴を履かせる

夏場の散歩時の犬の肉球の火傷対策として、靴を履かせる方法があります。犬に靴を履かせることにより、肉球を直接アスファルトに接触させないことにより、アスファルトの熱から守れるだけでなく、ガラスなどのゴミにより肉球を傷つける心配も無くなります。また、高齢の犬にとっては、滑り止めとなることで、足への負担を減らすことも出来ます。また最近は、様々なデザインの犬用の靴が販売されています。ファッションとしても楽しめるのではないでしょうか。

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◆アスファルトを避けて歩く

どうしても暑い時期や時間にお散歩をしなければいけない時もあると思います。その時は、出来るだけアスファルトを避けて歩く、日陰のある場所を歩くなどを心がけましょう。日ごろのお散歩コースの中に、日陰や芝生の多いルートを事前に見つけておけると、いざという時に安心です。

◆散歩の時間帯

一日のうち、最も気温が高い時間帯はお昼過ぎ(12-14時)位だと言われています。また、最も気温が低い時間帯は朝の5-6時前後で、愛犬のお散歩にお勧めの時間帯です。
夕方も気温は下がってきてはいますが、日中の熱をため込んで、夕方でもアスファルトが熱を持っている時があります。気温自体が下がってきているからと油断しないようにしましょう。

◆地面の温度確認をする

お散歩前に、愛犬の肉球が触れるアスファルト面を、直接飼い主さんが手で触れることを習慣づけましょう。もし、熱いと感じたら、散歩の時間をずらしましょう。また散歩の後にも、足を拭く時などに、犬の肉球をチェックすることを習慣づけましょう。毎日の変化を観察することで、異常に気づきやすくなります。

◆その他の対策

その他に出来る対策として、応急処置のグッズを持ち歩くなどがあります。普段から用意しておくといざという時に安心です。


犬が火傷をしてしまった時の応急処置

◆冷やしてすぐに病院に行く

もしも犬が肉球を火傷してしまったら、すぐに患部を冷やしましょう。火傷は早急に応急処置を行うことで、症状の悪化を防ぐことが出来ます。また、可能であれば、冷水で洗ってあげると、雑菌を洗い流してあげることが出来ます。

一方で、冷やしすぎるのも良くありません。冷やしすぎると犬の体温が奪われ、かえって衰弱してしまう可能性があるので長くとも10分程度にしておきましょう。
また、消毒をしてあげたくなるかもしれませんが、ヒト様の消毒液は、かえって炎症を悪化させてしまう可能性があります。応急処置が終わったら、火傷をした肉球をガーゼや柔らかいタオルなどで保護し、速やかに動物病院へ連れていきましょう。火傷の治療も早急に行うことで、感染症などのリスクを軽減することが出来ます。

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まとめ

肉球は犬の身体を支える大事な器官です。愛犬は、飼い主さんとの散歩を楽しみにしています。肉球の火傷を放置してしまうと、その楽しみが奪われてしまうことになり、飼い主さんも悲しい思いをすると思います。犬は自分の身体に異変が起きていることを言葉で伝えることが出来ません。愛犬の日ごろの体調チェックを怠らず、異変があった時にはすぐに気づいてあげられる努力をしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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