ペット先進国とは?ランキング上位の取り組みについて解説します!

2022.01.05

ペット先進国とは?ランキング上位の取り組みについて解説します!

近年よく耳にするようになった「ペット先進国」という言葉ですが、どんな国を指しているのかご存知ですか? この記事では、ペット先進国ランキング上位の国を6ヵ国取り上げて、その取り組みについて解説していきます。 動物愛護に関心のある方はもちろん、他の国ではペットとどのように暮らしているのか気になる飼い主さんも、ぜひ参考にしてく

ペット先進国とはどんな国なのか

女の子と犬

ペット先進国とはそもそもどのような国を表した言葉なのか、実はよくわかっていないという方もいらっしゃるでしょう。
簡潔に表現するなら、ペット先進国とは動物を人間と同等に大切にして愛そうという「動物愛護」の環境が整った国のことです。
具体的には、動物を守るための法整備や、動物と一緒に快適に暮らすための生活様式の構築などがしっかりと行われている国を指しています。


ペット先進国6選

ここからはいよいよ、ランキング上位の常連であるペット先進国について解説します。
それぞれの国がどのような取り組みをしているのかご紹介していきますので、気になる国があったらぜひ訪れることを検討してみてくださいね!

◆イギリス

イギリスは動物の飼養や利用に関連する法令を70以上も定めており、動物愛護の先進国として知られています。
ペットに関する代表的な法律は次の通りです。

【飼育に関するルール】
・8週未満の子犬や子猫は絶対に購入してはならない。
・ペットの動物にしつけ以外で不必要な苦痛を与えてはならない。
・ 飼い主は適切かつ十分な食餌・水、運動の機会を与え、あらゆる合理的手段を用いて脱走防止に配慮しなければならない。
・ペットの動物を遺棄してはならない。

【ブリーダーおよび販売業者のルール】
・ペットショップで犬や猫を販売してはならない。
・子犬の売買は、犬の生活環境や状態について確認するために購入者がブリーダーの元へ足を運び、対面式で行わなければならない。
・ブリーダーは購入者に母犬と子犬を一緒に見せなければならない。

イギリスでは動物の命がビジネスの道具として搾取されないように、していることがわかります。

◆オーストリア

オーストリアは動物生理学者のコンラート・ローレンツの出身地として知られています。
ペット先進国と言われる理由は、つぎのような特徴を持っているからです。

①動物の殺処分施設がない
オーストリアには動物を殺処分する施設はありません。
何らかの事情で家族や家をなくしてしまった動物たちは「アニマルシェルター」と呼ばれる施設に収容されます。
そこではボランティアスタッフなどから食事やお散歩などの生活のケアを受けながら、期限なく新しい家族を待つことができます。

②動物の権利を守る法律がある
オーストリアには「動物の権利法」があり、ペットショップで犬や猫を販売することを禁止したり、ドーベルマンのしっぽを切ることを禁止したり、さらにはサーカスに野生動物を出演させることを禁止したりすることなどを定めています。
また、鶏を狭いケージで飼ってはいけない、牛をロープできつく縛ってはいけないなど、牧畜では当たり前とされていた動物環境へも言及しており、動物の権利法は非常にユニークな法律といえるでしょう。

これらの法律は議会の満場一致で可決されたと言われており、国民1人1人の動物愛護の意識が非常に高いことがわかります。

◆スウェーデン

スウェーデンもペット先進国として独自の動物保護法を持つ国です。
その特徴は「犬も猫も良好な環境で自然な行動をとることができるようにしなければならない」という理念をもとに法整備を進めたという点であり、犬猫の立場にたった内容が目立ちます。

たとえば、「犬も猫もケージの中で保管してはならない」「犬は6時間に1回は散歩させること」など、日本の生活様式では難しいと感じるようなことが法律として定められているのです。
ペットを迎お迎えするハードルが高いのもあり、ペット先進国とはいえスウェーデンのペット飼育率はそこまで高くありません。

また、スウェーデンでは家を借りる際にペット飼育の許可は必要ありません。
どの物件でもペットと一緒に暮らすことができます。
国全体でペットを家族の一員として認めていることがよく伝わってきますね。

さらに、公共交通機関にもリードのみでペットと一緒に乗車することができます。
動物アレルギーの方への配慮としてペットが乗れる車両は決められてはいるものの、移動中も飼い主さんと触れ合いたいというペットの立場に立った生活様式の構築には脱帽です。

◆デンマーク

デンマークもペットを保護する法律を持つペット先進国です。
犬を対象とした法律の1部を以下にご紹介します。

・子犬は最低8週間、母犬や兄弟のそばで過ごさなければならない
・新しい主は子犬が精神的にも肉体的にも健康的に成長できるように、快適な環境を維持しなければならない
・犬を外で飼育してはならない
・万一外で飼う必要のある場合は、悪天候や強い日差しを避けるための犬小屋を用意しなければならない
(犬小屋は犬が立ち上がったり、寝返りを打ったりできる十分な広さでなければならない)

デンマークもスウェーデンと同様に、犬の立場にたった法整備がなされていることがわかりますね。

◆ニュージーランド

ニュージーランドは国全体の70%の家庭が犬を飼っていると言われるくらい、ペット先進国の中でもペット飼育率が高い国です。
そのため、定められているペットに関する法律には「ペットの健康的な暮らしを守るためのもの」だけでなく、「人間とペットが共存して暮らしていくために守る必要があるもの」という視点が含まれています。

地域差もありますが、ニュージーランドの一般的なペットに関する法律は以下の通りです。

・飼い主は自治体に犬を登録し、引っ越した場合は引越し先で再度申請する
・ペットにはマイクロチップを装着する
・ペットには十分な食事、水、住まいを与え、常に監視下に置く
・ペットに必要なだけの運動をさせる
・歩道や子供の遊び場などでは犬をリードに繋ぐ
・犬の排泄物は飼い主が必ず処理をすること

周囲への配慮に関してもきちんと定めることで、人と犬が気持ちよく過ごせる環境が明確になっていますね。
街中にペットがたくさんいる中でも周囲の人が快適に過ごせたら、動物への印象も良くなり、国全体で動物愛護の精神が高まることにつながるでしょう。

◆スイス

スイスはペット先進国の中でも厳しい動物保護法を定めている国です。
動物の福祉を守るために規制を強化しようと、様々な議論が交わされ、今日でも繰り返し国民投票が行われています。

スイスの動物に関する法律の中でも特徴的なものは以下の4つです。

①全ての犬はマイクロチップを埋め込まなければならない
他の国でもペットにマイクロチップを装着し、情報登録をはかるルールを設けているところはありますが、スイスでは義務としてもっと厳格に定めています。
マイクロチップを埋め込むことで中央データベースへの登録が完了するというしくみをとっているのです。

②犬を販売する際は販売者の名前や住所、犬の血統などの詳細を明記しなければならない
これは犬の違法取引を抑制するための法律です。
犬の販売に関する紙媒体、インターネット広告など全てで適用されています。

③モルモットやウサギ、インコなどは2匹・羽以上で飼わなければならない
社会性のある動物は単体で飼育することがストレスになると考えられており、複数飼育することでコミュニケーションが取れる環境を整えるように定められています。

④猫を1匹で飼う場合は、毎日人と接したり他の猫が目に入ったりするようにしなければならない
猫を飼う人の多くは猫が自由に動けるように、家に猫用窓を設置しています。
また、アパートなどで高いところに住んでいる場合は、猫はしごを設置している光景もよくみられます。

繰り返し見直されていることもあり、スイスはペット先進国の中でも独自性のある法律が目立ち、興味深いですね。


日本の動物愛護は世界でどのくらいなのか

柴犬

日本では現在ペットを飼育している人が2000万人を超えるといわれており、この数字は少子化が進む昨今、15歳の子どもの人口を大きく上回ります。
それほどペットが身近になった日本の動物愛護は、世界と比較してどの程度なのでしょうか。

現状のマイクロチップの普及率は5%以下

2019年6月に改正動物愛護法が成立し、2022年6月より犬や猫を販売する業者を対象にマイクロチップの装着を義務化、すでにペットを飼っている一般の飼い主に対しては努力義務とすることが定められました。
販売業者は生後90日を経過した犬猫を取得してから30日以内に環境省で定める基準と適合したマイクロチップを装着する必要があります。
また、マイクロチップの装着後には所有者情報を登録しなければならず、飼い主となった人には登録内容の変更を届け出ることが義務とされています。

マイクロチップを活用した情報管理の徹底には、災害時にペットたちを家族の元へ返すことができたり、飼い主さんと連絡が取れないままに動物愛護センターで保護した脱走犬を殺処分することがないようにしたりといった利点があります。
法改正により今後更なる普及率の増加が見込まれていますが、現在のところ罰則の規制はなく、どこまで浸透し機能するのか注目されています。

飼育管理基準の具体化

2019年6月の法改正では、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮する「生育管理基準の具体化」も進められました。
これにより、生後8週未満の子犬や子猫の販売禁止が日本でも実施すると認められたほか、従業員一人当たりの飼育数として、繁殖犬15頭、販売犬等20頭、繁殖猫25頭、販売猫等30頭までとすることや、ケージの大きさの基準などが設定されました。

改正法で定められたことは、すでに多くのペット先進国には存在した規制であり、動物愛護の有識者の中には遅すぎるとの声もあったことは事実です。
しかし、この改正法は日本の動物愛護への関心が着実に広がっていることを感じさせます。
日本がペット先進国の仲間入りをする日はそう遠くないかもしれませんね。


まとめ

いかがでしたでしょうか。
この記事では、ペット先進国の取り組みについて解説しました。
ペットとの暮らしが欠かせないものになった現代では、動物愛護の精神の広まりが重要な課題とされています。
この記事が「人と動物の共生のあり方」について考えるきっかけになれば幸いです。
ぜひ参考にして、人にも動物にもフレンドリーな暮らしを実現しましょう!



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ゆうな

ゆうな

赤ちゃんの頃から犬、猫、フェレット、ハムスター、インコと一緒に暮らしてきました。 とにかく動物が大好きで、日課は動画の動画を観ることです。 私自身も更に知識を深めながら、動物の為になる記事をご提供します!

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