アメリカと日本での浸透の違い―【サービスドッグは飲食店でも同伴は当たり前?】

2015.11.12

アメリカと日本での浸透の違い―【サービスドッグは飲食店でも同伴は当たり前?】

同じ事件でも、日本では注意のみ。アメリカではなんと解雇されてしまうほどの差があるのです。さて、その騒動とは一体なんだったのでしょうか。

「【聴導犬の入店を拒否】大阪にある阪急百貨店梅田本店内の飲食店2店が10月3日、聴覚障害者の女性(46)が聴導犬と一緒に入店することを拒否していたことが判明」。
先日、日本のニュースに目を通していたら、こんな記事に目が留まりました。
記事によれば、その日は飲食店がある同じフロアーにて、聴導犬や盲導犬・介助犬といった「補助犬」について啓発する厚生労働省主催のイベントがあったとのこと。
入店拒否に遭った女性はそのイベントに参加していたそうで、そのイベント直後にすぐそばにあった同じフロアの飲食店2つに、「犬は入れない」と立て続けに聴導犬の入店拒否をされてしまったということでした。きちんとイベントの資料を提示して補助犬は入店可能であることを説明したにも関わらず、「店長不在のため判断できない」との断られ方だったようです。
その後、「デパートの方針としてはもちろん補助犬は入店可能だったが、スタッフに周知が徹底出来ておらずこのような事態に至った、今後は周知を徹底する」とデパート側は謝罪のコメントを発表しました。被害者である女性は、
「飲食店の入店拒否は何回も経験したことはあるが、啓発イベント直後だったので驚いた」とコメントしたとのこと。
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この飲食店2店のスタッフの対応はアメリカでは考えられない…。ひどいな、という印象でした。
もっとも、犬に寛容なイメージがあるアメリカですが、無論すべての飲食店で犬が入店可能なわけではありません。ですが、犬連れでお客さんが入店してきたならば、まず通常は「もしかしてサービスドッグかな?」と何か理由があるはずだとスタッフも機転を利かせます。
いきなり「犬は入店できません」や、ましてや補助犬であることを説明したにもかかわらず拒否することはまずありえません。

…のですが、今回アメリカで起きてしまったこんな騒動。
対応したスタッフは注意や周知徹底なんて生ぬるいものではなく、即刻解雇されました。

オハイオ州にあるDick’sベーカリーに入店しようとしたガブリエラ(19)。ガブリエラは視覚障害があり、盲導犬のフリージアを連れていました。ところが、従業員のキャロル(74)が「犬を連れて入らないで」、と入店を断ります。
ガブリエラが自分は視覚障碍者であること、フリージアは盲導犬であり法的にも拒否される理由はないことを説明しますが、なんと従業員キャロルはその事実を信じようとしなかったそうです。
「こんなことが起きたのは生まれて初めてで、とてもショックを受けました。あまりにも驚いてしまい、どう対応したらいいのかわからなかった。ただ色々な感情ばかりがわいてきて…。本当にどうしたらよいのか見当もつかなかった。」と振り返るガブリエラ。

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その後、この騒動を知ったガブリエラの母がFacebookに書き込んだことで、瞬く間に一連の騒動が世間に知れ渡ることになり、新聞やオンラインニュースに載るまでに騒ぎは広まりました。そして自身の対応が原因で、従業員キャロルは、なんと60年間も務めていたDick’sベーカリーを即刻解雇されたのです。

しかしキャロルは涙ながらに言います。
「私はあの犬が盲導犬だなんて知らなかった。あの女性が視覚障碍者だということもわからなかった。わたしは、ただ大きな犬が入ってきたから”犬は入れないの。私がボスに叱られるからダメ”と言っただけです。ごめんなさい。」
ニュースには盲導犬フリージアとガブリエラさんの画像も出ていましたが、フリージアは白い特殊なハーネスを装着しているし、明らかにサービスドッグだとわかると思うのですが。。
。なのでキャロルの発言には謎が残ります。

ベーカリーのオーナーは、即座に謝罪コメントをFacebookに記載。対応した従業員の即解雇と、その従業員の対応は私たちの掲げるビジネスイメージとは全く違ったものである、との旨を明記。この事件はひどいし、とても恥ずかしい思いであるとのコメントを寄せました。

今回の日本とアメリカでの2つの騒動、ほぼ従業員の対応は同じだったのおもうのですが、結果は雲泥の差。「周知します」、と「即刻解雇」。ここに、2つの国のサービスドッグに対する意識の差が明確に表れているような気がします。今回のキャロルのような対応は、アメリカでは非常に意識が低くディスリスペクトな態度であるとかなり強い非難を受けるのです。

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参考サイト:http://www.nydailynews.com/news/national/womanr-fired-refusing-guide-dog-bakery-article-1.2415853
画像:日本聴導犬教会 http://www.hearingdog.or.jp/tyoudouken.htm

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ラブレス 富士子

ラブレス 富士子

米国在住。ピアニスト、音楽家の通訳として活動しています。小さい頃から犬、猫、ひよこ、うさぎ…色々な動物と暮らしてきました。愛犬たちとの暮らしは、毎日が彩り豊かでほっこりシアワセ。趣味はハープ。動物と、文章を書くこと、絵を描くこと、音楽をこよなく愛する犬飼いです。

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