うさぎは避妊手術が必要?リスクは?不安や疑問を解決します

2021.08.03

うさぎは避妊手術が必要?リスクは?不安や疑問を解決します

うさぎの避妊手術は「した方が良いと聞いたけど、不安だ…」と感じている飼い主さんもいるのではないでしょうか?うさぎの避妊手術はした方が良いのか、デメリットはないのか、どんなリスクがあるのか、費用はいくらかなど、疑問点を解説します。うさぎの避妊手術に対して、不安や疑問を感じている方は必見です。


うさぎは避妊手術が必要?

うさぎの避妊手術

なぜ、うさぎの避妊手術が必要と言われているのでしょうか?
「うさぎの繁殖の観点から」と「うさぎの病気の観点から」と、2つの観点から必要性を解説します。

◆うさぎの繁殖の観点から

うさぎは、オスに出会えば非常に高い確率で妊娠します。
その理由は、交尾排卵動物であることと、メスのうさぎの発情期が非常に長いからです。
メスのうさぎは、1~2日程度の発情休止期と1~2週間程度の交尾許容期を繰り返していて、ほぼ一年中繁殖可能な動物です。

また、うさぎの種類にもよりますが1回の出産で、4~6羽、多いと10羽ほど産むこともあります。
年に4~5回出産するので、一年で約15~30羽近くのうさぎが生まれ、あっという間に増えてしまいます。
不幸なうさぎさんを増やさないためにも、オスとメスの多頭飼いしている場合は、去勢手術、避妊手術は必要です。

「うちは、ケージでそれぞれ区切って飼っているから大丈夫」
と言う方もいるかもしれません。
しかし、うさぎの交尾は20~30秒ほどです。
なにかの拍子にケージを越えて交尾して妊娠してしまったという話もあります。

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◆うさぎの病気の観点から

メスのうさぎは、子宮疾患になりやすい動物です。
3~4歳以上の避妊手術をしていないメスのうさぎがかかりやすく、発症する確率は4歳以上で60%、5歳で80%の確率と言われています。
早い子ですと、1歳半で子宮疾患を発症した例もあります。

なぜ、うさぎは子宮疾患の発症率が高いのでしょうか?
それは、ホルモンバランスの異常が原因と考えられています。
繁殖に関係するホルモンには、妊娠の準備に関与するホルモン「エストロゲン」と、妊娠の維持に関与するホルモン「プロゲステロン」とあります。
通常、野生のうさぎは妊娠と出産を繰り返すことで、2つのホルモンバランスが保たれますが、ペットのうさぎは妊娠することなく過ごすためホルモンバランスが崩れてしまいます。
ホルモンバランスの乱れが子宮や乳腺に悪影響を与え、子宮疾患となるのです。

そして高い発症率に加えて、飼い主さんがご自身のうさぎさんの子宮疾患の発見が遅れ、手遅れになることが多いことも問題です。
うさぎの子宮疾患の初期症状は、無症状で静かに進行します。
子宮癌が進行して子宮が大きくなっても、うさぎさんは変わらず食欲もあるので飼い主さんは「最近、うちの子太ったな」と思うだけで、病気には気づかないことが多いです。
また、飼い主さんが病気に気づけるタイミングとして、血尿の症状があります。
しかし厄介なことに、血尿は1~2日で止まります。
飼い主さんが血尿に気づかない、または気づいても「治った」と軽視して動物病院へ連れて行かず、病気の発見が遅れるケースが多いのです。

さらに子宮癌になった場合は、個体差もありますが1~2年ほどで癌は肺や骨、腹腔内などほかの臓器に転移します。
もし他の臓器に転移していなければ、卵巣子宮全摘出すれば完治させることは可能です。
しかし癌がほかの臓器に転移していたり、手術に耐えられる体力がうさぎになかったりすると、治療する手立てない可能性があります。
治療ができなければ痛みや苦痛を内服薬などで和らげながら、うさぎさんを看取ることになるでしょう。


うさぎの避妊手術はいつ行うべき?

うさぎの避妊手術はいつ行う?

うさぎの避妊手術をするタイミングは、いつがいいのでしょうか?
うさぎの種類や個体差の違い、獣医師の考えにもよりますが、生後6カ月齢~1歳齢未満が避妊手術を受けるのにベストな年齢です。
早すぎると、うさぎの身体がまだしっかりと形成されておらず危険であり、1歳齢を越えると子宮に脂肪が付いて手術のリスクが上がります。
うさぎの子宮周辺には脂肪が付きやすい傾向があります。
肥満のうさぎの場合は、獣医師の指導の下、ダイエットをして標準体重にしてから手術に臨みます。
うさぎの手術において、脂肪は手術を難しくさせリスクを高めるのです。


避妊手術のデメリットは?

避妊手術のデメリットは、「太りやすい」こと「手術のリスク」があることです。
それぞれ詳しく解説します。

◆太りやすい

犬猫でも言われますが、うさぎも同様に去勢手術後、避妊手術後は太りやすくなります。
しかし、ペレットの量を調節して太らないようにすれば、飼い主さんの努力で防ぐことが可能です。
しっかりと管理してあげれば大丈夫です。

◆手術のリスク

うさぎの避妊手術をするにあたって、手術の麻酔のリスクが気になるところでしょう。
全身麻酔によって、そのまま目を覚まさずに手術で亡くなってしまったという話を聞くと怖くなりますよね。
うさぎの麻酔のリスクは、1%前後です。
中には、5%と説明する獣医もいます。
猫の麻酔のリスクが0.1%前後と言われていますので、猫のリスクに比べるとうさぎの麻酔のリスクが高いことは確かです。

うさぎの麻酔のリスクが高い理由はなぜでしょうか?

【うさぎの避妊は必要か?】避妊手術のリスク、メリット、実施すべき時期、避妊手術を行うための条件など獣医師が詳しく解説
コメント欄の動画主のコメントより引用

”犬や猫の全身麻酔では気管チューブというものを肺の手前まで挿入し、肺に直接酸素とガス麻酔を流します。これによって全身麻酔をかけて手術をしている最中に若し呼吸が止まっても、機械がこれを察知し自動で強制呼吸が開始されます(機械が酸素を送り込み強制的に呼吸を継続させます)。
全身麻酔はおなかを開いても目が覚めないくらい体を麻痺させる行為なので、呼吸をつかさどる横隔膜という筋肉も止まることは珍しくなく、肺自身には収縮能力がないので、横隔膜が止まれば呼吸もできなくなってしまうのです。
しかし気管チューブさえ入っていれば、手術中に呼吸が止まってしまっても機械が呼吸を継続し、手術が終わってガス麻酔を流すことを止めれば、自然と自力で呼吸が復活します。
うさぎはこの「気管チューブを肺の手前まで挿入する」ということが困難であり、使っているガス麻酔は犬や猫と同じものですが、万一手術中に呼吸が止まっても復活の手段がないのです。
かといって麻酔が浅すぎればお腹を開いている最中に走り出してしまう可能性もあるわけで、「目が覚めないくらい深い麻酔で、かつ呼吸が止まらないくらいの浅い麻酔」という状況を維持しなければいけないわけです。”
【うさぎの避妊は必要か?】避妊手術のリスク、メリット、実施すべき時期、避妊手術を行うための条件など獣医師が詳しく解説:うさぎの飼い方Vol.11

最近は「うさぎ専用の気管チューブ」を使用することで、以前より安定してうさぎに麻酔をかけられると説明する獣医師もいます。
避妊手術をする際には、獣医師に確認すると良いでしょう。


避妊手術で予防できる病気

うさぎの避妊手術で予防できる病気は、子宮癌、子宮筋腫、子宮内膜過形成、子宮水腫、卵巣腫瘍など、子宮の病気全般を予防することができます。
また、乳腺腫瘍、乳腺嚢胞など乳腺の病気も予防できます。


病気以外の予防、メリット

ホルモン異常による偽妊娠を予防することもできます。
ホルモンバランスの崩れによって頻繁に偽妊娠すると、過剰に被毛をむしり脱毛症や毛球症などになることがあります。
また、偽妊娠すると縄張り意識が強くなることによって攻撃的になったり、精神的に不安定になったりしますが、避妊手術することによって偽妊娠によるうさぎの扱いづらさが解消されます。


うさぎの避妊手術のスケジュール

◆検査にかかる時間

術前検査には、触診、血液検査、レントゲンなどを行います。
検査自体は10~15分程度で終了します。

◆手術にかかる時間、日数

手術にかかる時間は、20~30分ほどです。
動物病院によっては、手術当日に帰宅できる病院と、一泊入院する病院とあります。
さらに術後の経過によっては、数日~1週間入院となる場合もあります。

◆安静に過ごす日数

安静に過ごす日数は、抜糸ができる1週間~10日ほどです。
因みに動物病院によっては、抜糸が不要な糸と縫合法で手術を行うところもあります。
避妊手術をする際は、動物病院に確認すると良いでしょう。

◆術後の注意点

術後に食欲が落ちる、または食べなくなるうさぎも時々います。
うさぎは24時間以上食事をとらないと脂肪肝になりますので注意が必要です。
全く食べない場合は入院、うさぎの状態によっては通院となることもあります。

手術の傷を気にして、過剰に傷口を舐めてしまううさぎもいます。
傷口を執拗に舐めるうさぎには、エリザベスカラー装着が必要になることもあります。
しかし、エリザベスカラーを着けたことによって、食欲が落ちるうさぎもいるので更に注意が必要です。


避妊手術の費用

動物病院によって異なりますが、避妊手術の費用は3~5万円程度です。
それ以外に、術後の経過によっては薬や点滴が必要になることや数日入院する場合もあります。
10万円近くになることもあり、手術費以外にも費用が発生する可能性も考えておきましょう。


まとめ

うさぎの平均寿命は7~8歳です。
最近は10歳を超えるうさぎも多くなりました。
しかし平均寿命を越えられるのは、男の子のうさぎさん、もしくは避妊手術済みの女の子のうさぎさんです。

誰しも自分のうさぎさんには健康で長生きしてほしいと、願っているはずです。
女の子のうさぎさんが子宮疾患から逃れるには、卵巣子宮を摘出するしか方法はありません。

病気でもないのに、ご自身のうさぎさんにメスを入れる事に対して、抵抗を感じる方もいるかと思います。
飼い主さんによっては「子宮疾患になってから摘出術をする」と考える方もいらっしゃいますが、その時には手遅れになっている可能性が高いのです。
摘出手術ができるとしても、病状やうさぎさん本人の体力や状態などによって、避妊手術の適正な時期に行うよりも手術のリスクは確実に高まります。
リスクが高い時に手術を行うよりも、可能な限りリスクが低いうちに摘出手術をした方が、あなたの大切なうさぎさんの為には良いのではないでしょうか。



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