穏やかに、安らかに ~老猫との過ごし方~

2016.03.03

穏やかに、安らかに ~老猫との過ごし方~

ソファか机の上へと軽々と飛び移っていた長男猫がある日、距離が足りずに落下。 愛猫の「老い」を目の当たりにして悲しくなった瞬間でした。その長男猫がいつもヒーターの前を独占しているのを不思議そうに眺めていた長女猫も、今はヒーターの前から離れられません。猫は人間の何倍ものスピードでその生涯を駆け抜けていきます。猫たちが幸せな老後を送るために、私たちは何をしてあげられるでしょうか。

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何歳からが老猫?

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獣医師広報板によると、猫の年齢を人間の年齢に換算すると生後1年の猫で人間の17歳、2年で23歳、それ以降は1年で4歳ずつ加算していくそうです(個体差あり)。
可愛かった子猫がたった5年で人間の30代半ばに相当する、というと何となく違和感を覚えます。「いつの間に追い越されちゃったの?」と驚いた経験を持つ方も少なくないでしょう。

ですが、一般的に猫の平均寿命といわれる12歳~16歳が、人間の64歳~80歳に相当する、と聞けば納得がいきます。
7歳以上で「シニア」、10歳以上で「老猫」と呼ばれていますが、それぞれ人間では44歳以上、56歳以上に当たりますね。

老化のサイン

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猫の老化の兆候としては、以下のようなことが挙げられています。

  • 毛づやが悪くなり、フケが増える。肉球が固くなる
  • 歯周病にかかることが増え、歯が抜けたり口臭がきつくなる
  • 視力、聴力が衰える
  • 筋力が衰え、運動能力が低下する
  • 関節炎を起こすなどして足腰が弱くなる
  • 内臓が弱くなる
  • 食べる量が減る
  • 睡眠時間が増える
  • 寒がりになる
  • トイレに行く回数が減る/腎臓が悪くなった場合は増える

    我が家の長男猫(18歳で没)、次女猫(10歳で没)の晩年を振り返ってみます。

    運動能力の低下

    筋力の衰えは猫の行動範囲を確実に狭めます。

    長男猫は腎不全などの病気もあって最終的には体重が2キロを割り、よろけながら歩き、ベッドはもちろんソファーにすら登れなくなっていました。それでも一緒にいようと足元まで来た時には、ソファーへの乗り降りを抱き上げて行いました。
    また、次女猫は階段が昇りづらくなったため、寝床を2階から下の階に移しました。
    より出入りしやすい形状のトイレに変え、リビングに置いても違和感がないように壁紙を貼った段ボール箱でトイレを覆ったりもしました。
    家の中の段差には、スロープやステップを1段設けてあげることで猫は動きやすくなります。
    食事、水を飲む、トイレに行くといった基本的な日常動作が少しでも楽に行えるよう工夫してあげたいですね。

    食事

    顎が弱ったり歯周病になったりすることによって噛む力や飲み込む力も落ちてきます。

  • 水分補給も兼ねて、ドライフードからウェットフードに切り替える
  • 細かくほぐしてやわらかく、食べやすくする
  • 数秒だけレンジで温め、食べ物のにおいを強めてから出して食欲をそそる
  • などの配慮も必要でしょう。

    そうはいっても、いよいよ食欲がなくなり残された日々が少ないと感じた場合には、「猫の好きなようにさせてやる」という選択もあります。長男猫はウェットフードや猫用チーズも受け付けなくなり、最後はペースト状のフードと猫用牛乳のみとなりましたが、不思議とバウムクーヘンと生クリームは少し食べました。
    身体に良くないとは知りつつも、もう「食べたいものを食べさせてあげよう」と思いました。
    長男猫の生前最後の写真は、鼻の頭に生クリームをつけた姿で残っています。
    ほとんど骨と皮みたいになりながらも、目は光り輝いていました。

    トイレ

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    腎臓の機能が低下した猫は水を飲む量が増え、においのない薄い尿をたくさん出すといわれています(多飲多尿)。
    逆に、水を飲みに行くのが億劫になった結果、脱水症状になってしまう猫もいます。
    オシッコは健康のバロメーター。新鮮な水を複数個所に置いてあげることはもちろん、水の量、オシッコの出方もしっかりチェックしましょう。
    また、全身の筋肉の衰えから便秘になりやすくなる猫もいます。私は一度、長男猫がトイレでいきんで「きーっ」という小さな声を出すのを聞いたことがあります。
    自分から不調を訴えることができない猫のつらさを思い、胸が苦しくなりました。
    便秘が続いた場合はすぐ病院へ。猫にはかわいそうでしたが、ウンチを指で掻き出してもらうことで楽になれたようでした。

    闘病

    長男猫、次女猫とも腎臓を悪くして亡くなりました。
    次女猫の場合は猫エイズのキャリアーだったこともありますが、若い頃に太らせてしまったことも病因のひとつだったのだろうな…と申し訳なく思います。
    年老いた猫の闘病には、「いつまで治療を続けるか」という問題が伴います。
    病院に行くこと、治療を受けることが猫にとってストレスであることはわかっていますが、それで楽になれるのであれば…という思いもあります。「もしかしたら人間のエゴで無理やり命を引き延ばしているだけなのではないか?」と悩んだこともありましたが、後悔もしたくありませんでした。
    獣医さんと相談しながらできる範囲の手は尽くし、「もう無理はさせずに自然に任せよう」というところまでは猫にもがんばってもらい、最後は穏やかな旅立ちを見送りました。
    猫との別れは辛いことですが、精いっぱい生きて、たくさんの幸せな思い出を残してくれた猫への感謝は語り尽くせません。
    いつかは必ずやってきてしまうその日まで、愛情と責任をもって猫とともに生きていきたいものです。

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    focebookシャアツイート


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    North Cat

    North Cat

    「お子さんは?」と聞かれたら「いますよ!4本足ですけど」と答えます。  子ども代わりに育てた猫は4匹(ぜんぶ野良)。通院、闘病、引っ越し、悲しい別れなどを経て、現在は2匹の猫と夫とお義母さんと暮らしています。  猫たちとのより幸せな暮らしをめざし、勉強したことをお伝えしてまいります!


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