年明けとなると、初詣に訪れる方々が多いことだと思います。 猫のお寺があるのを、皆様はご存知でしょうか?
それは、東京の文京区にある護国寺です。
「生類哀れみの令」でおなじみの五代将軍徳川綱吉が創建したお寺です。綱吉様のご加護なのか、境内にはたくさんの猫が居て、都内でも有数の「猫スポット」として知られています。綱吉様は、犬公方と呼ばれたけれど、何故に猫?現在は、猫たちが我が物顔で闊歩しています。
境内は緑も多くて、ここが都心であることを感じさせないくらい。ビルが立ち並ぶ大通りに面しているのに、一歩中に入ると、静けさが漂っていて、憩いの空間が広がっています。

猫に餌を与える人もたくさんいて、猫も人を恐れないで人懐っこい。声をかけると、「にゃー」と返事をしてくれたり、触らせてくれたりします。猫の写真を撮りに、このお寺を訪れる人も多いとか。猫にレンズを向けても、怖がることもなく、写真をバシバシと撮らせてくれます。猫によっては、人間慣れしすぎた猫ちゃんもいて、レンズを向けて写真を撮ったら、寝がえりを打って、カメラ目線でポーズを撮ってくれることもあります。猫の写真を集めている方には絶好の場所です。
このお寺は、いわば「天然の猫カフェ」状態。猫にとっては大変住みやすい環境であるはず。
ちょっと調べてみましたが、この護国寺の猫たちにも、厳しい縄張り社会の掟があるそうです。「仁王門を入って、不老門を臨む正面玄関の上と下」が境界線。下の猫が階段を上って不老門を超えようとすると、上の猫から手痛い仕打ちを受けるとか。上の猫たちは古参の猫が多いのに比べて、下の猫は新参者か若い猫が多いそうです。上猫と下猫には、餌場が別々にあるらしい。は~、厳しい社会ですね~。

これだけ可愛い猫ちゃんたちを眺めるだけで、猫大好き人間としては、微笑みが沸いてきますが、同時に「どうして、これだけ猫が多いのだろう?」と考えてしまいます。猫がこれだけいるということは、その影に、無責任にも「猫を捨てる」人が多いことを示しているのです。悲しい&腹立たしい気持ちで一杯になります。「お家に迎えてあげた猫ちゃんたちは、一生責任を持ってあげる」というのが、ルールではないでしょうか。
護国寺の中にも「猫を捨てる行為は犯罪です」という警告が表示されていたはず。捨て猫が多いことが、護国寺にとっては、かなり深刻な問題になっているそうです。適正な猫の避妊去勢を行っていない、無責任な飼い主も多いのではないでしょうか。
2014年10月に、護国寺敷地内で「いぬねこ里親会」が開かれたと聞きました。非営利のボランティア団体が、行き場のない子たちに、暖かいお家を探してあげるために開かれた会。お寺で開かれたことで、素敵なご縁がたくさん結ばれたことを祈ります。こういうボランティアの方々の活動が、もっと増えていってほしいものです。

一度護国寺を訪れて、猫ちゃんたちの姿を眺めながら、猫ちゃんたちを本当に愛することとは、どういう意味なのかを考えてみませんか?
<注>東京メトロ護国寺駅から目と鼻の先。または、JR大塚駅から都電荒川駅に乗り換えて、池袋4丁目駅まで乗り、少し歩けば護国寺があります。(私はしばらく護国寺を訪れていないのですが、今でも、それで行けるはず)。 護国寺では、毎月第二土曜日に、骨董市&フリーマーケットも開かれているそうで、結構な掘り出し物も見つかるそうですが、その日は人出が多いため、猫ちゃんたちは隠れていることが多いそうです。