猫はもともと、群れを作らない動物で、表情で気持ちを表す必要があまりありませんでした。表情よりも、鳴き声やボディランゲージのほうで、色々な感情を表現していたのです。
また、表情をつくる顔の筋肉の動きがとぼしいと言われていて、普段から表情がわかりにくい動物だと思われています。
だからといって、全く無表情なわけではないのです。ちゃんと表情で、気持ちがわかります。
見るポイントは、「目(瞳孔)の大きさ」「ヒゲの位置」、さらに「耳の動き」です。
どのような表情の時にどんな気持ちなのか、見ていきましょう。
嬉しい時、興奮している時
ヒゲが立っている。目が大きくあいている。耳は前を向いている。
何か興味のあるものを見つけた時は、目もパッと開いて、耳も前に向けています。おもちゃで遊んであげている時には、意識を集中させておもちゃを見て、そのような表情をしています。瞳孔が開いて、目がまん丸になっています。口元が膨らんだようになり、ヒゲもピンと立っています。
満たされている時
ヒゲが顔(頬)についていて、力がはいっていない感じ。目は半分閉じたようにしている。うとうとと眠ってしまうような顔。
猫が満足している時は、目を細めて、微笑んでいるかのように見えます。目の周りや、口元などがこわばっていなくて、力の入っていない感じがわかるでしょう。猫には瞬膜といって、眼球の前に薄い膜があります。これが出てきて見えている時には、まどろんでいる時や眠い時です。瞳孔は、大きくなったり小さくなったりを繰り返しています。
落ち着いてリラックスしている時
耳は前を向いているか、力が抜けている。ヒゲが下がっていて、目を閉じたり、細めたりしている。
この時も満足しているのと同じような表情で、瞬膜が見えている場合もあります。微笑んでいるかのように見えます。
警戒している時
ヒゲが、情報を集めようとして顔の前の方に立っている。目は見開いている。耳も立てて、音のするほうに向けている。
何か知らない物音を聞いたり、知らない人、見慣れない人が家に来たりした時などに、こんな表情をします。警戒している時の猫は、みやみに動かないでじっとしている事が多いです。
考えている、迷っている時
耳をピクピクと動かしている。目は普段の大きさだが、ヒゲは顔の横に広がっている。
遊ぼうかな、飼い主に呼ばれたけどどうしようかな、など次にどう動こうかと考えている時です。尻尾をゆらゆらと揺らしている時もあります。
威嚇している時
耳が後ろを向いたり、平たく伏せたりしている。目を大きく開け、口もあけて威嚇の「シャーッ」「カッ」といった音を出す。ヒゲはピンと立っている。
背中の毛が逆立ち、体を独特の弓なりの状態にして大きく見せようとしています。鼻にもシワを寄せて、歯を見せて威嚇しています。普段、あまり顔の変化を見せない猫ですから、この表情を見せた時には、とても強く感情表現をしているということになります。
怖がっている時
耳を伏せて、目を見開いている。ヒゲはやや下向きでピンとしている。
瞳孔が開いて、怖いものに注意を向けています。怖さが増すと完全に耳を後ろに倒して、瞬きをし、つばを飲み込むような仕草をします。怖がって、緊張も増している時です。体は小さく丸くなり、尻尾を体に巻きつけたり体の下に入れたりしています。
ヒゲの表情だけでも猫の気持ちがわかります。大まかに気持ちを分けると、
・前を向いている時は、何か情報を読み取ろうとしたりしている時
・横に広がっている時は、警戒心がある時
・上向きに上がっているような時は、嬉しい時、興奮している時
・下方向に下がっている時は、リラックスしている時
このように読み取ることができます。
耳は、目と同時に表情を見るとわかりやすいです。
耳が前を向いている(穴が前)場合は、目を細めていれば、リラックスしている時であり、瞳孔が開いていれば、何かを警戒していたり、注意を払っていたりする時です。
耳を伏せている場合は、目を伏せたりゆっくり瞬きしていれば、リラックスしている時であり、瞳孔が開いていれば、なにかを怖がったり怒ったりしている時です。
このように、猫の表情は、目、耳の動き、ヒゲの状態を見れば気持ちを想像することができます。普段、よく接している猫ですから、その表情を見ていれば、すぐに気持ちを読み取れるようになってくるでしょう。表情で気持ちがわかると、もっと猫とのコミュケーションが取りやすくなりますよ!
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