好き嫌いは生後6か月間で決まる

猫にはネオフォビアと呼ばれる目新しいものを避ける現象がしばしば見られます。
これは生後6か月齢までに様々な食物を食べてこなかった場合、食物に対する認識が極めて限られたものとなり、数種類以外の食事以外は拒否することがあり、こうした環境で育った子猫は、後に新しい食事に対してネオフォビアを示し、食べ物を一切受け付けなくなることがあります。
このネオフォビアのおかげで食べなれない物を口にすることがなく、体を壊す心配もないので、野生の猫にとってはとても需要な防衛本能なのです。
猫の驚くべき食事調整能力

ペットの栄養や健康などを専門的に研究するイギリスのウォルサム研究所が、猫の驚くべき食性の研究結果を発表しました。
人間は偏食・好き嫌いがあり、摂取する栄養素が偏ってしまうことがあります。しかし猫は、自分の体に必要な栄養素を本能的にわかっていて、欲求に合わせて食事を選り好みすることができるのです。
タンパク質・脂質・炭水化物の配合量を調整した餌を3種類用意し、その中から猫に好きな餌を選ばせたところ、猫が摂取した栄養量はタンパク質が1日26g、脂質が1日9g、炭水化物が1日8gでした。
この結果から猫は人間が与える配合量には左右されることなく、自分の栄養摂取量を自然に守り、本能的にカロリー調整を行いながら食事をする習性を持っているのです。
但し、長年人間と暮らしている猫は、食事調整能力が低下していることもありますので、飼い主さんがきちんと食べている量など把握することが大切です。
猫のダラダラ食いは祖先と繋がっていた

好きなときに好きなだけエサを食べられる環境に猫をおいた場合、1日の食事を9~16回に渡って少量ずつ食事をします。
こうした「だらだら食い」をする理由としては、猫の祖先であるリビアヤマネコの食生活が大きく関わっているのです。野生のリビアヤマネコは、獲物が少ない砂漠地帯で暮らし、小型のげっ歯類などを主食とし捕食することを繰り返した結果、少量ずつ食べることが、DNAの中に刻まれて現代の猫の食生活に反映されているのです。
猫は完全肉食派

バランスの良い食事を与えようと、飼い主さんなら当然思うはず。
キャットフードのみでは、必要な栄養が足りているか不安になり、キャットフードに野菜をプラスしてみたり、海外からオーガニックのキャットフードを取り寄せたりと、極めればきりがない程豊富な商品がそろっているのが、今のペット事情です。
しかし、猫は完全な肉食動物なので、飼い主さんがバランスの良い食事を出したところで、猫は喜びません。
家でペットとして飼われている猫からは、肉食動物とは遠い生活をしているので、結びづらいかと思いますが、猫はれっきとした完全たる肉食なので、良かれと思って出したバランスの良い食事は猫にとっては喜ばしくないということです。
猫は味にうるさいこだわりの美食家

猫が食べなくなる理由は、人間の嗅覚では判別できない、微妙な空気の変化や、匂いなどが変わるだけで、一切食事をとらなくなる事もあります。こうなると、長期戦を覚悟した方が良いでしょう。猫はとても頑固な生き物ですので、飼い主さんの思惑通りには事は運びません。
多頭飼育の場合、食べないと他の猫に食べられてしまう危機感があるので、本意ではないけども、食べられるよりかはマシという意識が働きますので、単独飼育よりは食事の面では扱いやすいかもしれません。
いかがでしたが?猫の謎の行動も祖先をたどればおのずと答えがわかりますね。
食わず嫌いはDNAに刻まれた防衛本能なのだから、無理に食べさせることもできませんが、猫を飼う上で猫のメカニズムを理解することはとても大切なことなのです。
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