具合が悪い場合、呼吸が速くお腹の上下動が速かったり、一定のリズムが刻めていないことが多いです。また、呼吸が荒い場合も体調が良くないと思って良いでしょう。このあたりは人間と何ら変わりません。
反対に、猫は寒さに弱く、風邪を引くとくしゃみや鼻水を出したり、具合が悪そうにうずくまってしまいます。この場合、飼い始めて間もない飼い主さんでも分かりやすいでしょう。
飼い猫・野生に限らず、子育てするメス猫以外は、決まった寝床を確保するということはありません。そのため、日中でも暗い場所でずっとうずくまるように寝ていると、具合が悪い証拠です。
大抵呼吸が荒く、毛並みも逆立っていて、具合が悪そうにしていることが多いので、よく注意して見てあげるとわかりやすいと思います。体温が下がっていたり、同じ場所からほとんど移動しようとしない場合は、まず何かしらの病気を疑いましょう。
特に「猫のエイズ」とも呼ばれている「後天性免疫不全」の場合、まず兆候として真夏でも同じ場所から動かずに寝ていることが多くなります。通常の体調不良と見分けがつきにくく、潜伏期間も長いため気付きにくいです。
よく、街中でいつも同じ場所にやってくる習慣のある野良猫が、ある日突然姿を見せなくなり、数週間後にフラッと帰って来た場合は偶然体調が回復した証、戻ってこなかった場合はどこかでひっそり息を引き取っている、という傾向があるように、なかなか人間に気付かれるようなそぶりを見せてくれません。
睡眠時間が前より増えだしたら危険信号
猫は睡眠時間が長い生き物ですが、それでも普段よりも寝ている時間が圧倒的に増えた、と感じる場合は危険信号です。成猫で14時間〜16時間、子猫だと8時間から最大で20時間寝ていることも。
しかし、あまりに睡眠時間が長い場合は、要注意。注意すべき病気がたくさんあります。
◆水頭症
比較的発症率が低いと言われていますが、寝てばかりいる・歩行時にフラフラしている、といった症状が見られた場合、「水頭症」の疑いがあります。
脳脊髄液によってさまざまな症状を引き起こす病気であり、グルグルと回転しながら歩いたり、凶暴になったり、頭部が球体状に膨らむといった症状が見られたらよりその疑いが強くなります。
◆認知症
次に、こちらも寝姿というよりも睡眠時間で判断する事例ですが、日中の睡眠時間が増える他に、夜間に徘徊したり大声で鳴いたり、鳴き止まないといった異常な行動が増えた場合は「認知症」の可能性があります。加齢に伴って脳神経細胞が減少することにより発症してしまいます。
初期症状としてはトイレが上手くできなくなるなど、平均10歳を超えたあたりから見られる症例なので、長生きしている猫を飼っているご家庭は注意して見ておく必要があります。
退屈な生活を送っている、刺激から離れた生活を送っていると起こりやすいと言われており、予防方法として、外界に触れさせたり、新しい場所・物を与えるということを定期的に行ってあげましょう。
◆肝リピドーシス(脂肪肝)
睡眠時間が長くなった症例で、エサを食べずに寝る時間が増えた、という症例の場合は「肝リピドーシス(脂肪肝)」になっている可能性があります。この場合、肥満気味の猫によく見られる症状・症例です。
肝リピドーシスとは、細胞が脂肪に置き換えられてしまい、肝臓が思うように機能しなくなってしまう病気です。重症になると、嘔吐・下痢・意識障害などの症状があらわれ、どんどん体調が悪くなっていき、最悪の場合命の危険になります。
これらの疑いがある場合はできるだけ早めに病院に行くことをおすすめします。
肥満が原因の症状であるため、一番の予防方法としては食事管理が大切になります。運動・食事を動物病院の管理のもと、正しく行ってあげてください。
こういった症状を見分けるためには、普段の生活習慣や細かいしぐさ、睡眠時間や寝る場所など細かく観察しておいてあげてください。
他にも寝姿から分かる異常・症状
◆甲状腺機能亢進症
反対に、あまり寝なくなった場合も不安があります。鳴き声が大きくなったり、動きが活発になって食欲が異様に増えた場合、「甲状腺機能亢進症」の疑いがあります。
甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、ごく稀に甲状腺がんが絡んでいる可能性があるため要注意です。
◆外傷や膀胱炎、回虫などの感染
先述の、うずくまって寝ている場合は症状が軽ければ風邪・下痢などで済みますが、ひどい外傷や膀胱炎、回虫などの感染の可能性もあります。
外傷の場合は触って嫌がる箇所がないかを確認、膀胱炎の場合は、腰やお腹の辺りを触ると痛がったり尿の量が減っていたりします。呼吸が浅く、平熱の38〜39℃を一度でも上回ったら発熱、下痢・嘔吐・体重の減少が見られたら回虫の可能性が高いです。
◆口内炎や風邪、熱中症
寝ている間や普段もそうですが、よだれを出している場合も体調不良を疑った方が良いでしょう。猫は犬と違い、食べ物を前にしてよだれをダラダラと流したりしません。あまりにも大量なよだれが出た場合、身体のどこかしらに不調を抱えています。
軽いものでは口内炎や歯石がたまっている状態、重くなれば風邪や熱中症の疑いがあります。熱中症も症状によっては命に関わるので放置せず、きちんと対処してあげてください。
◆てんかん
寝ている時にピクピクと数秒間痙攣を起こすことがありますが、ほんの2〜3秒であれば大丈夫です。人間でもよく見られる現象で、レム睡眠とノンレム睡眠の境目に起きる現象であり、よく階段を踏み外したような、ガクンとなる感覚と変わりません。
深刻なのは1分間ほど痙攣しているとき。よく見ると口から泡を吹いていたりすると確実です。
また、この症状が出る場合は、起きている時でも見られるので分かりやすいです。トイレを覚えているのに別の場所で排泄してしまったりといった意識障害が見られるようにもなります。
この原因は脳の傷から発生した生まれつき先天的な「てんかん」を発症している場合と、後天的に事故などで頭を強く打った際の傷から引き起こす後天的なてんかんのどちらかです。
てんかんによる痙攣は、ある程度は仕方のないことではありますが、ストレスによって引き起こされることが多いため、できるだけ猫にストレスをかけない環境作りをしてあげることが大切です。大きな物音を立てる小さなお子さんから隔離したり、掃除機をかける時は別室に移してあげるなど、細かく配慮してあげてください。
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