2015年9月、100匹以上のラガマフィンの多頭飼育崩壊が起きた札幌の一軒家。その片隅で寒さに震えていた小さな子猫は「ノエル」と名付けられ、お母さん猫と妹猫「ルナ」と一緒に温かいお家に保護されてきました。
告げられた治療不可能な病気
ノエルの体が揺れてうまく歩けない事に気づいた飼い主さんは、脳神経専門の獣医のいる病院にノエルを連れて行き詳しく検査してもらいました。そして先生から告げられた病名は「近親交配による脳の奇形」。専門の先生でも見たことがない状態の脳だったのです。
治療法どころか、この先何が起こるかわからない、一年も生きられないかもしれない…。そんな厳しい診断がノエルに下されました。
ですが、飼い主さんご夫妻にとってノエルはすでに他の猫と変わらない、大切な命。あらゆる方法を使ってでも、この先ノエルとずっと一緒に過ごして行こうと心に決めていたのです。
できていたことができなくなっていく…
成長するにつれ、だんだん思うように体が動かなくなっていくノエル…。脚に力が入らなくなってからは必死に這っていましたが、それも難しくなりついに起き上がれなくなってしまいました。
ノエルの骨はまだ成長しているのですが筋肉が伸びず、飼い主のご夫婦が毎日マッサージしてあげています。痛みで辛いはずのマッサージ、それでも辛抱強くノエルは耐えています。
舌の筋肉も衰えてきてご飯をうまく食べられなくなってきたり、呼吸が止まりそうになることもしばしば。妹のルナよりも先に覚えたトイレも、もう自分では行けなくなってしまいました。
ノエルと妹ルナの強い絆
生まれた時からずっとノエルと一緒に過ごしてきた妹猫のルナ。じつはルナにも生まれつき心雑音や虚弱体質など、決して油断のできない症状があるのです。
そんなルナは、とってもお兄ちゃん思いの優しい子。ノエルが歩くことが困難になりハイハイするようになると、真似して横になって遊んだり、ご飯を上手く食べられなくて飼い主さんの手から食べさせてもらっているノエルを見て、ルナも手からもらいたがるようになりました。
そしてノエルが大好きなハンモックに乗れなくなると、ルナもハンモックに乗るのをやめてしまったのです。
いつでもルナはノエルを気遣い、そっと寄り添います。ルナがノエルを毛づくろいしてあげると、ノエルも不自由な舌で一生懸命ルナを毛づくろいしてあげるのです。
ノエルに届いた素敵なプレゼント
そんなある日、ノエルに素敵なプレゼント「歩行器」が届きました!飛行機と同じ材料で作られたというその歩行器は、まるで最新のロボットのよう。
ノエルは初めて乗せてもらったにも関わらず、瞳をキラキラと輝かせて大喜び!今はまだ押してもらう必要があるものの、これで他の猫達と同じ目線でいろんなところへ移動できるようになったのです。
ノエル、店長になる!
1年生きられないとお医者様に言われたノエルですが、2016年10月、ついに1歳の誕生日を迎えました!
ノエルとルナの元には二匹を応援する人達からのたくさんのプレゼントが届きました。
そしてノエルは今、飼い主さんご夫妻が札幌で経営するカフェの「店長」さんとして毎日出勤しています。もちろん片時も目を離したくないご夫妻の思いもありますが、カフェに訪れたお客様に「笑顔と感動」というサービスをしっかり提供しているのです。
ラガマフィン多頭飼育崩壊という悲しい現場から生まれた小さな命。たとえその姿が他の猫と違っていても、命の重さ、素晴らしさに違いはありません。
名前の通り、聖夜に輝く星のような瞳でみんなの心に希望を灯すノエル。これからもずっと元気でお客様を迎えてほしいですね。
<参考サイト>
felice caffe~保護っ子日和~
NPO法人ニャン友ねっとわーく北海道
有限会社 ONE OFF PRO
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