日本有数の家具産地・福岡県大川市が誇る大川家具のPRが狙いです
福岡県大川市が発表した「ネコ家具」第一弾が、「ネコ用ベッド」と「ネコ用ソファ」です。

福岡県南西部の福岡県大川市は、福岡県と佐賀県の県境に位置します。大川市の西部には九州最大の一級河川「筑後川」が流れ、有明海へ向かう海上交通の要衝として重要な役割を果たしてきました。
その中心が大川家具発祥の地といわれる「榎津」で、筑後川上流に木材の産地である大分県日田市があったことから、川を下ってくる材木の集積地として発展し、船の製造や修理をする高度な木工技術を持つ船大工が多く集まりました。
そして、室町幕府十二代将軍・足利義晴の家臣だった榎津遠江守の弟として生まれた榎津 久米之介(えのきづ くめのすけ)が、天文5年(1536年)に船大工の技術を生かして家具を作らせたことが、「榎津指物(えのきづさしもの 指物とは板を組み合わせて作る家具のこと)」の始まりといわれています。
その後、釘を使わない「大川指物」や、細かな透彫りを施された「榎津箪笥」などが生まれ、大川市は日本有数の家具の産地として発展していきました。

福岡県大川市で作られる家具は「大川家具」と呼ばれ、インテリアショップのバイヤーや、インテリアが好きな人に知らぬ人はいないほど有名です。
「大川家具は全国に出荷されているにもかかわらず、バイヤー向けの販売が多いので、“大川家具”自体の認知度が低い状態でした。そこで、大川家具そのものをPRするため、“大川家具 by 大川市”というサイトを作ったのが2015年です」(大川市役所おおかわセールス課おおかわセールス係)。
そして、大川家具の制作に携わる家具職人たちのセンスとスキルの高さを広めるために特に小さな家具を作ることを考え、折からの猫ブームを意識して「ネコ家具」を立ち上げることになったといいます。
「金物がないので苦労しました」(立野木材工芸)
大川市役所おおかわセールス課は、ネコ用ベッドを立野木材工芸に、ネコ用ソファを広松木工に、それぞれ制作を依頼しました。
「大川市役所おおかわセールス課から、ネコ家具の製作に関する協力依頼があったとき、最初はピンと来なくて、“猫脚のテーブル”みたいな意味合いかと思いました(笑)。後日、ネコ用の家具を作ると説明を受けて、やっと意味を理解したほどです」(立野木材工芸株式会社)。
さっそく立野木材工芸はネコ用ベッドの制作を開始しましたが、ネコ用のベッド作りは私たちが想像するような「人間用のベッドに使う木材のサイズを小さくする」という単純なものではなかったといいます。
「人間のベッドには、それ用の金物(固定用の金物やビスなど)があります。でも、縮尺されたネコ用サイズのベッドではぴったり合う金物がなく、木で代用することになりました。金物をそのまま木で作るというわけではなく、木の加工を工夫して強度面の問題をクリアできるように、試行錯誤を重ねました」(同)。
苦労を重ねて発表した「ラフィネ ベッド ネコ用」には国内はもちろん、アメリカ、ベルギー、スペイン、フランス、香港、タイ、シンガポール、オーストラリアなどからも問い合わせが殺到。
11万円(税別・運賃別)という値段にもかかわらず、2018年3月末現在で実売が3件、商談中が3件あるそうです。
さらに、ネコ用ベッドを実際に製品化する際は、大川市のCM時に制作したバージョンとは仕様を変えたほどのこだわりです。
「実際にお使いいただく猫ちゃんの引っ掻きに耐えるため、シーツおよび枕カバーは、耐朽性のある素材(東レ・ウルトラスウェード)へ変更しております。また、フレームに細い溝加工が追加され、弊社が人間のお客様に使っていただいているベッドの仕様により近くなりました。さらに、シーツは脱着時の手間を考え、ボックス型に変更しております」(同)

立野木材工芸の家具作りへのこだわりが込められたのが「ラフィネ ベッド ネコ用」というわけですね。
立野木材工芸では、今後ネコ家具をシリーズ化する予定はあるのでしょうか?
「猫ちゃん用のお洋服を収納するためのキャビネットや、大型犬用のベッドをご所望のお客様から、様々なご要望をいただきました。オーダーメイドで無垢材を使った家具作りをしておりますので、製造できないものはほぼ、ありません。
弊社は、基本的にはご家族の皆様が使われる暮らしやお子様のご成長を考えた家具作りをしていきたいと考えております。ペットも家族、というご家族様の想いがあれば、なるべくオーダーもお受けしたいと存じます。ただし、今のところ、通常のラインアップに“ネコ家具”を追加する予定はございません」(同)。
オーダーメイドのワンちゃん、猫ちゃん用の家具……! ぜひ、オーダーしてみたいものですね。
「ソファ以外の家具も、小さなサイズで販売していきたいです」(広松木工)
大川市役所おおかわセールス課の依頼を受けて、ネコ用ソファ「SANTA FE ソファ189」(ネコ用)を作成したのが、「家族の風景となれる家具作り」をモットーとする広松木工株式会社です。

「SANTA FE ソファ189」は、もともと人間用に同じモデルがあり、使い込んだようなアンティーク仕上げが人気でした。これを42%に縮尺し、ネコ用ソファに仕上げたといいます。
こちらにも問い合わせが殺到し、2018年3月末現在、ネコ用で8本の受注があったとのこと。
「ネコ用だけではなく、お子様用、ほかの動物用と、家具のラインナップを増やせればと思います。また、ソファ以外の家具も、小さなサイズで販売していきたいです」(広松木工)。
今後、ラインナップが増えていきそうで、期待大です!
「大川市ふるさと納税」の返礼品に、2018年4月からネコ家具登場!
福岡県大川市では、2018年4月からネコ家具を「ふるさと納税」の返礼品として選択できるようになりました(大川市/ふるさとチョイス)。
大川市にふるさと納税44万円でネコ用ベッドとナイトテーブル、39万2500円でネコ用ベッド(専用スノコ、マットレス&枕付)、5万2500円でネコ用ナイトテーブルが返礼品としてもらえます。これはネコ好きとしては見逃せません!
また、大川市によると、新たな家具製作会社の協力もあおぎ、平成30年度はネコ家具の製作数や種類を増やしていくとのことです。ネコ家具(職人MADE 大川家具by 大川市)のサイトなどで発表していくそうなので、今後も要チェックです。
<写真提供>
大川市役所おおかわセールス課おおかわセールス係、立野木材工芸株式会社
<取材協力>
大川市役所おおかわセールス課おおかわセールス係、立野木材工芸株式会社、広松木工株式会社
※大川市役所おおかわセールス課おおかわセールス係は、組織変更のため、2018年4月1日から大川市役所インテリア課おおかわセールス係となりました。
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