【獣医師監修】猫の下部尿路疾患って何?どんな病気なのか詳しく知りたい!

2020.07.31

【獣医師監修】猫の下部尿路疾患って何?どんな病気なのか詳しく知りたい!

大切な家族である愛猫の健康を管理することは、飼い主さんの責任であり宿命でもありますよね。 ですがどんなに食事に気を遣い、心身共にケアをしていたとしても、絶対に病気にならないとは言い切ることはできません。 中でも猫は、腎臓をフル活用する動物ですので、泌尿器にまつわる病気を患うことが多いです。 とくに下部尿路疾患は、猫が患いやすい病気としても知られています。 具体的に下部尿路疾患とは、どのような病気のことを指すのでしょうか。

猫の下部尿路疾患とは

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よく耳にする猫の病気である「下部尿路(FLUTD)」疾患ですが、この言葉を初めて聞いた方は、いまいちどんな症状の病気か分からない方もいらっしゃることでしょう。

下部尿路(かぶにょうろ)とは膀胱から尿道までのことを言い、下部尿路疾患とはこの下部尿路に起こる、さまざまな病気や症状をもたらす総称となっています。

哺乳類である猫は、腎臓の働きによって作られたおしっこが尿管を通って膀胱に溜まり、膀胱から尿道を通じて体の外におしっこを排出させる仕組みです。

ちなみに猫の体の腎臓から尿管までを「上部尿路」と呼び、下部尿路と併せておしっこを作って排出させる器官の総称を「泌尿器」と呼びます。

猫は、祖先が砂漠で暮らしていたこともあり、水が少なくても生きられるように進化してきた動物ですので、その分おしっこに関する病気が宿命になってしまったとも言えるでしょう。

おしっこは体内の血液が腎臓で濾過された際に出る老廃物がほとんどなので、泌尿器に何かしらのトラブルがあっては、上手に排尿することができませんよね。

とくに下部尿路が原因で起こる疾患は、おしっこにまつわる症状がほとんどですので、飼い主さんが異常に気付いたときには症状が悪化している場合も多いです。

普段から愛猫のトイレをチェックすることも大切ですが、下部尿路に置きやすい疾患の知識を蓄えておくことも大切ですよね。

下部尿路疾患の中で、どんな病気に気を付けておくべきなのでしょうか。


猫の下部尿路疾患①ストルバイト結石

猫の下部尿路疾患で多く見られるのが、「尿路結石」とも呼ばれる疾患です。

猫の病気として発症の多い病気としても知られていますが、おしっこの中のミネラル成分と気質が凝集することにより、結石化してしまう疾患のことを尿路結石と呼びます。

この尿路結石には大きく分けて2つの種類がありますが、おしっこがマグネシウム過多によりアルカリ性に傾くと、「ストルバイト結石」と動物病院で診断されます。

ストルバイト結石の原因は、以下の通りです。

◆原因

猫が毎日口にしている総合栄養食は、健康な生活が送れるように、バランスのとれた成分内容となっています。

総合栄養食にも含まれている成分であるミネラルには、マグネシウムやカルシウムが含まれていますが、これらの成分を過剰摂取してしまうと、当然マグネシウム過多となり、結石化しやすくなります。

そして猫は凝縮された濃いおしっこを出しますので、常に結晶や結石化しやすい体内環境ではありますが、食事や飲水から水分を摂取できていれば、結石化する前に体外へ排出することが可能です。

しかし、猫は水分をあまり摂取しなくても生きられるように進化してきたので、これらの要因が重なって悪影響をもたらせば、尿路結石を患ってしまうことに繋がってしまうのです。

また、尿道が細くカーブしているオス猫や、成長期(6歳ぐらいまでの猫)はストルバイト結石を患いやすいとも言われているので、注意が必要です。

◆治療

猫のストルバイト結石は、重症化していなければ、食事療法で治療を行うことが可能です。

アルカリ性に傾いてしまった尿pH(ペーハー)を正常に戻すためにも、ミネラル成分を調整した食事を心掛けなくてはいけません。

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また、結石が大きくなりすぎて、食事療法で溶解できないと獣医師さんが判断した場合、手術になることもあるので、普段から下部尿路疾患にならないように予防しておくことも大切です。

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猫の下部尿路疾患②シュウ酸カルシウム結石

尿路結石の2つめと言われているのが、「シュウ酸カルシウム結石」と呼ばれる下部尿路疾患です。

シュウ酸カルシウム結石はストルバイト結石と異なり、おしっこがカルシウム過多により酸性に傾くことによって発症します。

シュウ酸カルシウム結石は、以下のような特徴が見られます。

◆原因

基本的にはストルバイト結石と同じ原因が考えられますが、異なる点は前述した通り、おしっこが酸性に傾くことによって結石を作ります。

成長期の猫にできやすいストルバイト結石と違い、シュウ酸カルシウム結石は7歳以上の高齢の猫ほど結石ができやすいと言われています。

高齢になるにつれて体のさまざまな機能も低下してきますので、それらの要因も重なってシュウ酸カルシウム結石となる可能性も否めません。

そして高齢の猫だけでなく、血統種の猫(ヒマラヤン・ペルシャ・アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールドなど)‫もシュウ酸カルシウム結石ができやすいとの報告もあるので、常に尿pH値を意識しておく必要があります。‬

◆治療

シュウ酸カルシウム結石はストルバイト結石と異なり、一度体内で結石化してしまうと溶解することができません。

設備の整っている動物病院で、腹腔鏡手術を行う治療法が推奨されています。

ですので愛猫のトイレ周辺の異変に素早く気付くことが大切となり、結石化前であれば食事療法で結晶を体外に排出することが可能になりますので、普段から尿pH値を意識しておくようにしましょう。

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猫の下部尿路疾患③膀胱炎

下部尿路疾患で、もう一つ注意しておかなくてはいけない病気が「膀胱炎」です。

膀胱炎は私たち人間でも発症することの多い病気ですが、猫の場合は痛みを言葉で飼い主さんに伝えることができないので、早期発見こそが鍵となります。

そして下部尿路疾患のうち、約半数を占める病気でもあるので、とくに注意しておきたい病気と言えるでしょう。

◆原因

猫の膀胱炎には、細菌(ブドウ球菌や大腸菌など)が原因となる「細菌性膀胱炎」と、検査をしても明確な原因が見つからないにもかかわらず、膀胱炎の症状が出る「特発性膀胱炎」に分けられます。

猫には細菌性膀胱炎よりも、特発性膀胱炎を患う症例が多く、はっきりとした原因が分からない上に、再発を繰り返すこともあるので注意が必要です。

特発性膀胱炎は原因が明らかになっていないこともあり、ストレスなどによる免疫力の低下などが関係しているとも言われています。

また、細菌性膀胱炎は尿道が短く太いメス猫の発症例が多いので、少しでも異変を感じた際には、動物病院に連れていくようにしましょう。

◆治療

細菌性膀胱炎を患っている場合は、抗生剤を投薬し細菌を減らす治療が行われます。

特発性膀胱炎の場合は原因が分からないこともあり、明確な治療法がありません。

症状に合わせた対症療法を行うしかなく、ストレスを溜めやすい猫ちゃんには抗不安薬などの薬やサプリが処方されることもあります。

あとは根本的な生活環境と生活習慣の見直しを行い、経過観測していくことが多いです。

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猫を下部尿路疾患にさせないために

猫の下部尿路疾患は、猫の年齢に関係なく発症する可能性の高い病気ですので、普段からの予防が何よりも大切になってきます。

下部尿路疾患をはじめとした泌尿器の病気を一度でも発症すると、腎不全のリスクが高まりますので、7歳を過ぎたころから愛猫のトイレチェックを、怠らないようにしなくてはいけません。

辛い症状が出てしまう下部尿路疾患を発症させないためにも、普段から適切な予防を行うようにしましょう。

◆水を飲む工夫をしよう

水分摂取量の少ない猫のために、水を飲む機会を増やしてあげるのも飼い主さんの大切な仕事となります。

あまり水を飲まないのなら、飲水の設置数を増やし、常に新鮮なお水を用意してあげてください。

普段ドライのキャットフードを食べているのなら、お湯でふやかしてみたり、ウェットのフードを与えてみるのもおすすめです。

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◆食事内容に気をつけよう

下部尿路疾患は、猫が口にする普段の食事にも気を遣ってあげなくてはいけません。

とくにミネラルやアミノ酸のバランス、そしてミネラル含有量が適切であるかの管理が大事になってきます。

マグネシウムやカルシウムを過剰に摂取してしまうと、おしっこの中で結晶化しますので、尿pH値に合わせて食事のケアを行っていくようにしましょう。

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◆トイレを清潔に保とう

猫のトイレがとてもプライベートな場所になるので、少しでも汚れていたり、落ち着けない環境だったりすると、それだけでストレスが溜まってしまいます。

必ず人通りの少ない落ち着いた場所に設置し、最低でも1日に1回は掃除をするようにしてあげてください。

落ち着いて排泄することができれば、心も体もスッキリするはずですので、トイレは常に清潔を心掛けてあげるようにしましょう。

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まとめ

猫の下部尿路疾患は、普段から予防をしていれば防ぐことのできる病気であるとも言えます。

発症してしまえば辛い症状ばかりですので、できることならこのような病気とは無縁でいてほしいものですよね。

病気になってから対策をするのではなく、普段からケアをしてあげることを心掛けることこそが健康維持に繋がっていくのです。

食事や飲水量、そしてストレスを溜めない生活環境を整え、大切な愛猫の健康を守ってあげてくださいね!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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