私たち夫婦と共に暮らした猫は、今までに4匹。長男猫は結婚前に夫が拾ってきていたので、私が実際に拾って育てた猫は3匹。それぞれ違う状況で出会った野良猫でした。
連れてきたその日から3匹ともトイレは猫砂できちんと用を足してくれたものの、それぞれ別の問題への対処が必要でした。
まずは長女猫がやってきた時のお話です。
ピグモン現る
週末によく夫婦で散歩に行っていた公園には、たくさんの野良猫がいました。今は禁止されているのかもしれませんが、当時は近所の人が食べる物を持ち寄り世話をしていました。ある日突然現れた長女猫は、そんな猫たちの中でも歴史的に汚い猫でした。
「可愛い猫に『汚い』なんて!」と叱られてしまうかもしれませんが、本当に凄かったんです。全身はガビガビ、目も吊り上がり、猫なのかどうかも疑わしいくらいの存在。「なんか、ピグモンみたい…」と思ったことから「ぴぐ」と名付けたほどです。どこから来たのか親はおらず、体も小さく、他の猫たちからいじめられているようでした。
バリバリと全身を掻いているのを見て、最初は「うわー、すごいのがいる!」と思いましたが、トコトコ歩いている姿はとても切ない。どうしても気になって連日様子を見に行っているうちに「こんなブサイクな猫、誰も拾ってくれないだろうから不憫だ」「このままでは死んでしまうかもしれない」という気持ちが強くなり、5日後に保護しました。お風呂に入れた途端、お湯が真っ黒になったのは言うまでもありません。謎の黒い物質がポロポロ落ちてきました。
救いを求めて動物病院へ
すぐに連れて行ったらご迷惑かも…ということで、数日後に動物病院へ。「すごいのが来たなあ」と苦笑いしつつ見せてもらったのは、ダニだらけの皮膚の顕微鏡写真。ひどい疥癬(ダニ)でした。ここからが治療の始まり。「この子、本当はこんな顔じゃないからね」という先生の言葉を半信半疑で聞きつつ、血液中のダニの卵を駆除する注射をしてもらいました。すると、2日後にはバリバリ体を掻くことがなくなり、目も少し大きくなってきました。これでも喜んでいたら、そこから5日ほどでさらに劇的に変身!すっかり猫の姿に戻りました。
医学の力って凄いな~と思いつつ、2回目の注射に連れて行くと、病院の先生も「あれーっ、こんな顔だったんだ!」と驚きつつも喜んでくれました。
疥癬:猫ヒゼンダニが寄生し、炎症反応による激しいかゆみを引き起こした状態。耳から顔、まぶた、首、さらには四肢や背中、腹部まで症状が広がる場合がある。
主な症状は、フケ、かゆみ、発疹、かさぶた
もうひとつの問題・栄養失調
うちに来て10日ほどで猫らしくなった長女猫は、その後も順調に回復していきます。3週間経った頃にはガビガビになっていた足もきれいになり、体の模様もはっきり見えてきました。
この頃言われたのが、「もっと太らせなさい」ということ。拾った時の体重は1.7Kgで生後3~4ヶ月くらいかと思っていたのですが、「もう大人の歯だから生後6ヶ月は経っていて、栄養失調」との診断でした。生後6ヶ月での平均体重は2~2.5Kgということなので、2.5Kgを目標にご飯をたくさん食べさせた結果、1年で平均体重以上の猫となりました。
反省していること
こうして長女猫は無事に我が家の猫となり、元気に育って現在に至りますが、残念に思っていることがふたつあります。
ひとつはスキンシップが不足していたこと。
疥癬がうつらないように、長女猫は最初の1ヶ月間はケージの中で暮らしました。おかげで先住猫VS新入り猫のトラブルはありませんでしたが、環境が変わったばかりの不安な時期にもっと抱っこしたり触ってあげたりしていたら、もう少し性格も変わっていたのかなあ…と思います。長女猫は結構きつい性格に育ち、自ら近づき触らせてくれるようになるまで1年半くらいかかりましたので。
もうひとつは長男猫への感染です。
1ヶ月経ってダニ終結宣言が出て、ようやく長女猫はケージを出て家の中を走り回れるようになりました。ケージから出て一直線に長男猫の元へ走っていったのには驚きましたが、すでに長女猫の存在を認めてくれていたためか長男猫は至って大人の対応。たとえ飛びかかられ、上に乗られてもしばらくは遊ばせおいて、最後は一喝して追い払う、ということを繰り返すうちに長女猫の乱暴な行為もなくなっていったのですが、次第に長男猫の人相が変わっていきました。気をつけてはいたつもりでしたが、まだダニがしぶとく残っていたようでした。幸い軽症で注射1回で治りましたが、長男猫には申し訳ないことをしました。こまめな掃除・消毒で繁殖を抑えるとともに、たとえ症状が出ていなくても同居猫の早めの検査をお勧めします。
後編は次女猫(猫エイズ)と三女猫(大食い)のお話です。
野良猫育てには何が待っているかわかりません。
– 続編はこちら –
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