避妊去勢手術を行うことで防げる可能性がある病気

2016.05.23

避妊去勢手術を行うことで防げる可能性がある病気

避妊去勢手術を勧める理由として、「病気の予防」も大きいと言われている最近です。 しかし、ではどんな病気が防げるのかと聞かれたときに皆さんは答えられますか? ここでは防ぐことのできると言われる病気としてもっとも有名なものをいくつか挙げさせて頂けたらと思います。

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乳腺腫瘍

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女の子に起こる病気で、お乳の部分に腫瘍ができる病気です。
腫瘍ができると言っても、悪性のいわゆる癌の場合と、良性であるただのできものの場合があります。
悪性の場合、短期間に大きくなることが挙げられます。
悪性の場合転移の可能性も疑われ、命の危険につながる可能性も出てきます。

子宮蓄膿症

女の子に起こる病気で、子宮の中に膿がたまってしまう病気です。
始まりはホルモンバランスの崩れなどにより、子宮粘膜症を起こすことからだとも言われています。
膿が排出され、発症してもすぐに致命的にならない場合もありますが、膿がパンパンにたまり、子宮破裂が起こったり、敗血症に至って死につながる可能性もあります。

前立腺疾患

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前立腺炎が一般的でしょうか。
一見腹痛ともとれる症状で、消化不良と間違う場合もあるのですが、下痢は起こらず、逆に前立腺が腫れることにより、物理的に便通を悪くしてしまい便秘が起こることがあります。
腹痛は起こすために、腹部が固くなることがあります。
前立腺炎は致命的にはなりませんが同様に前立腺に起こる腫瘍の前立腺がんの場合は命の危険に関わる可能性が高くなります。

精巣の腫瘍

男の子に起こります。
腹腔内に精巣が停留してしまった場合は腫瘍化する可能性が高まりますが、正常に睾丸内に下降していても腫瘍化する可能性はあります。
精巣から発するホルモン量が増える等バランスが崩れるため、脱毛等の全身症状が出てくることがあります。

会陰ヘルニア

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男の子に起こる病気です。
会陰部と呼ばれる肛門の下のお尻の部分の筋肉の接合部分に隙間ができてきて、その隙間に腸や膀胱が入り込んでしまう病気です。
それが原因で便秘や排尿困難などが生じます。
生殖器と全く関係ないように感じる病気ですが、この筋肉のゆるみが起こる原因に性ホルモンが関わっており、若齢のうちは良いのですが、高齢になるとともに起こる可能性も高まってきます。
さらにこの疾患が判明した場合、完治させるには外科手術が必要であり、高齢にもなっていると麻酔のリスクも同時に上がってきます。

以上が有名な避妊去勢手術と関連する病気となります。
致命的なものから、命の危険にはつながらないものの体に負担のかかるものまで様々です。
特に女の子の場合ですが、初めての発情を迎えるまでに避妊手術をすると、性ホルモンが関連する病気の予防率はぐんと上がると言われています。


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しかし、この子の子供が見てみたいと思うことも悪いことではありません。
メリットとしては前述の通りですが、デメリットとして、女の子も男の子も太りやすくなることなどが挙げられていますし、手術では精巣や卵巣、卵巣と子宮の両方などいずれかを取り払ってしまうため、今後その子の子供はもちろん望めません。
もし子供を少しでもほしいという気持ちがある場合、あとから後悔する可能性もあり、それはデメリットとも言えるでしょう。

飼い主さんが望む、その子との将来を考えたうえで、メリットとデメリットのどちらが自分とワンちゃんや猫ちゃんとの生活で大きくなるのか、また、「手術」である以上、麻酔をかけることは必要になりますし、体への負担やリスクは、どうしても生じてしまいます。
その部分の不安などがもしある場合、その不安はしっかり解消できるのかなども動物病院で獣医さんに相談したりして、きちんと納得したうえで避妊去勢手術を決断できると良いのかなと思います。

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りなぎ

りなぎ

動物病院での勤務の傍ら、家では6匹の犬(ダックスフント5匹、パピヨン1匹)と一緒に生活しています。 もちろん猫も大好き!です。 私生活では犬だけでなく、子供もいるため、常にいろいろな世代の人と動物が仲良く、よりよい生活をできるようにするためにはどんな知識があるといいのか、どんな生活が理想か、考えることがよくあります。 少しでも皆さんのお役に立てる知識や情報を発信できたらと思います。

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