犬との生活で重要な“信頼関係”
さまざまな危険が潜んでいる人間社会で暮らす犬たちにとって、ルールを教えるリーダー役の飼い主さんは大切な存在です。
ただ、犬たちは主従関係が築けていない飼い主さんのしつけにはなかなか従いません…。
主従関係とは、読んで字のごとく、「主(あるじ)に従う」という意味。
“従う”という言葉のイメージ的には、“飼い主の威厳”が感じられます。
「指示する方が威張る」「従う方が常に緊張している」という構図になると、ワンちゃんのストレスにならないかが心配ですよね。
そこで、主従関係の根底に欲しいのは、“信頼関係”と考えられています。
単に「従わせる」だけでなく、愛情をはぐくみながら良きリーダーになることが大事です。
犬たちは、信頼できる飼い主さんにこそ、「従う」という行動を見せてくれます。
私達人間にも同じことが言えますが、信頼できない人に指示されたことは「従いたくない」「なんであなたの言うことを聞かなきゃならないの?」と反発心さえ覚えるもの。
犬も、信頼できない飼い主さんには、「従う必要はない」と思ってしまうようです。
つまり、まずは「信頼関係を築くこと」が、ワンちゃんをペットとして迎えるうえで重要性が高いのですね。
愛犬からのサイン♪こんな行動パターンがあったら信頼されている!
愛犬と信頼関係が築ければ、しつけもスムーズにできます。
そこには“愛情”も存在するので、飼い主さんも犬もお互いに平穏な気持ちで暮らせます。
そこで、気になるのは「自分は信頼されているのか?」という点。
実は、犬たちは信頼している相手にこそ、こんなサインを送っているのです…!
◆信頼サイン①:名前に反応してくれる
犬は、基本的に興味を持ったことはとことん追求したくなる性質があります。
ドッグランに行けば「楽しい~」と走り回って興奮しますし、新しいおもちゃを買ってもらえば「嬉しい~」と遊びに超夢中。
玄関のチャイムが鳴ったら、「誰か来た~!」と教えるように吠え続けることもあるでしょう。
このように興奮状態になっているときは、基本的に自分の世界に入ってしまいます。
そんなときに、飼い主さんの口から発せられた自分の名前に反応ができれば、信頼しているサイン。
「え?呼んだ?」とこちらを振り向いてくれるようなら、信頼されていると思って良さそうです。
◆信頼サイン②:お腹を見せてくる
犬が見せる服従サインのなかでも有名なのが、「お腹を見せる」というもの。
犬の体で急所といえば、お腹です。
犬の被毛を見ても分かるかと思いますが、お腹まわりの毛は薄く、お肉も柔らかです。
そんな弱点を飼い主さんに見せるのは「安心していますよ」という表われ。
愛犬が飼い主さんの前で仰向けになっていれば、信頼しているというサインと考えてもOKです。
◆信頼サイン③:じっと見つめてくる
見知らぬ犬同士や野生界では、相手の目をじっと見つめるのは敵意の表れ。
「おまえは誰だ!」「敵なのか?!」と、ケンカ勃発の前段階と考えられます。
でも、いつも一緒にいる飼い主さんの目を見つめてくるなら、信頼している相手に何かを伝えているサインです。
「ごはんが欲しいな」「こっちに来て遊んでよ」など、構ってアピールであることが多いのですが、信頼しているからこそのアイコンタクト。
できるかぎり応えてあげたいものですね。
◆信頼サイン④:オモチャで遊んで欲しいとねだる
愛犬のために、いくつかのオモチャを用意している飼い主さんも多いかと思います。
犬にとっては、自分のお気に入りのオモチャは、宝物のような存在。
「誰にも取られたくない」と思っている大事なものです。
そんなお気に入りのオモチャを飼い主さんに持ってきて、「一緒に遊ぼう!」とねだってくるなら信頼の証と言えるでしょう。
「このオモチャは自分のだけど、飼い主さんなら触ってもいいよ」「一緒に使おうね」という仲間意識が働いているのかもしれませんね。
こんなときには、愛犬の気持ちに応えて一緒に遊んであげてくださいね。
◆信頼サイン⑤:帰宅時のお出迎えをする
飼い主さんがいなくてもきちんと留守番できる犬たちは、とてもお利口さんですよね。
冷静を装って留守番の任務を果たしているお利口な犬でも、信頼できる飼い主さんが帰ってくるとかなり嬉しい感情が溢れてきます。
窓から飼い主さんの姿を見つけて玄関に走り寄ったり、ドアを開けた瞬間抱きついたりなど、信頼していると見られる行動です。
◆信頼サイン⑥:寝るときに体を密着させてくる
犬は、基本的に寝ているときは無防備です。
敵が来てもいつでも行動を起こせるようにするため、信頼していない人に近い場所では眠ることはないでしょう。
つまり、体をぴたっとくっつけて眠っているようなら、「この人の近くは安心」と認識している心理なのです。
高い信頼を得ているサインなので、飼い主としては嬉しいですね。
コレってやばい…?犬から信頼されなくなる飼い主さんの行動パターン
ペットとして飼われる犬と人間との出会いは、生まれてから少しばかり成長してからですよね。
一般的には、生後数か月程度で飼い主さんの家にやってくるかと思いますが、そのときに「この人は危険なの?大丈夫かな?」「リーダーとして思ってもいいのかな?」など、信頼できるかどうかを見極めると言われています。
愛犬たちは、飼い主さんが何気なく行っている行動について、じっくり観察しているのです。
知らず知らずのうちにジャッジされているんですね。
でも、もし信頼されていないのなら、信頼を取り戻したいところ。
それでは、愛犬からの信頼を失う行動について、いくつか解説していきます。
◆怒るときに大声で名前を呼ぶ
しつけとして、愛犬がいけない行動をすれば、大きな声を出す飼い主さんも多いかと思います。
ついつい大きな声を出すものですが、ワンちゃんの名前を叫んでいませんか…?
「飼い主さんから呼ばれた自分の名前」、そして怒っている飼い主さんがぴったりイメージとして結びつき、名前を呼ばれたら怖い思いをするとマイナスイメージに繋がってしまうようです。
怒るときには「ダメ」「イケナイ」など指示の言葉を用意して、愛犬の名前で大声を出さないように注意しましょう。
◆犬が嫌がることを無理やりやろうとする
犬を飼うなら、ブラッシングや歯磨き、爪切り、シャンプーなど、身だしなみのお手入れは欠かせません。
ただ、これらのお手入れを苦手とするワンちゃん達も多いでしょう。
そもそも、苦手になったのにはきっかけがあるのですが、「苦手かもしれないけど、やらなきゃいけないのよ」と無理強いすると、犬の反発心を生むだけです。
「この人はイヤなことをする人」という意識が芽生えるので、無理にやるのはよくありません。
「どうして苦手になったのか」「どうすれば克服できるか」を考えて、少しずつ慣らして苦手意識をなくすようにしましょう。
信頼を取り戻すには、愛犬の負担にならない方法を工夫していくことが大事です。
◆コミュニケーションが極端に少ない
犬にとって、一緒に暮らしている飼い主さんのことは仲間や家族という位置づけです。
犬は、「自分に対して愛情があるか」を飼い主さんからのスキンシップやコミュニケーションの多さで感じ、少しずつ信頼を高めていきます。
でも、「留守番する時間が長い」「犬の居場所が家族と離れている」など、顔を合わせる機会が少なく犬が孤独を感じると、飼い主さんをあまり信頼できないようです。
家庭内別居に近い感覚で、ワンちゃんにとっては「近い存在」にも思えなく、ときどき見かける知人程度のようなものかもしれません。
留守番させることが多いのなら、時間のあるときには声をかけたり、オモチャで遊んだり、コミュニケーションを増やしましょう。
◆しつけに一貫性がない
犬は頭が良いので、言葉で指示を出すと応えてくれます。
ただし、人間のように、ひとつの行動に対して違った言い回しを理解することはできません。
座らせるときに、「おすわり」というコマンドは定番ですが、「スワレ」と言ってみたり、「シット」と英語で言ってみたり…。
飼い主さん的には、「うちの子は頭がいいからいくつもの言葉を理解する」と思うかもしれませんが、犬的には「えっ?どういう意味?いつもと違うんだけど…」と若干のパニックを引き起こしていることも…。
一貫した指示を出すように心がけましょう。
◆気分次第で犬への対応を変える
飼い主さんは人間なので、仕事や家事、育児、自分の趣味に大忙しかもしれません。
そのため、ワンちゃんから何らかの要求行動を起こされたとき、そのときの気分次第で対応を変えてしまうことがあるのではないでしょうか…。
飼い主さん的には、なんらかの事情があってなのかもしれませんが、ワンちゃん側としてはそれが理解できないでしょう。
犬の心の声にすると、「えっ?今日はダメなの?」「昨日はOKだったのに…!」なんて感じかもしれません。
飼い主さんの対応がコロコロ変わると、ワンちゃんは不安やストレスを積み重ねます。
できるかぎり、いつも同じような対応を心がけてくださいね。
犬がこんな行動をしたら信頼されていないかも…
犬は、信頼していない人間に対しては、反抗心や威嚇行動を取ってきます。
特によく見られるのは、「噛んでくる」「マウンティングしてくる」「散歩時に自分が先に行こうとする」「コマンドに対して反応しない」「人間のソファを占領する」「吠える」などです。
前項でもお伝えしましたが、「指示を聞かせよう」と一方的に考えると、信頼関係は成り立ちにくくなります。
犬と良い関係を築くには、自分の行動パターンをもう一度見直してみましょう。
信頼がなくなったら回復はできるの?
飼い主さんに対して信頼できなくなるのは、さまざまな理由が隠されているようです。
信頼できない飼い主さんに対しては、「吠えて要求しよう」「噛んで抵抗しよう」とワンちゃん達は考えます。
でも、この行動を放っておくと、どんどん絆が離れていくでしょう。
最終的には、信頼が回復できないまでになるかもしれません。
まずは、犬の気持ちを先読みすることが大事です。
例えば、犬が歯磨きを嫌がっているのであれば、「どうして嫌がるのか?」という原因を探ってみましょう。
そして、無理強いを避け、じょじょに克服してあげられるような工夫が必要です。
また、犬の行動で褒めるべきところは褒めることも重要。
ワンちゃん達は、飼い主さんの声のトーンで、自分が褒められていることを察します。
褒めてくれる飼い主さんの優しい表情を感じると、「幸せ」「飼い主さんのことが好き」と、信頼してくれるようになるでしょう。
まとめ
飼い主さんを信頼している犬が見せる行動パターンをいくつかお伝えしました。
いくつ当てはまったでしょうか…?
ワンちゃんへの愛情が深ければ、自然と触れ合う時間も増えるでしょう。
日頃の触れ合いの瞬間が積み重なって、信頼関係も深まるかと思います。
愛犬たちは、「この人に従っていいのかな?」「信頼できる人なのかな?」「この人より自分の方が偉いぞ」など、いつも飼い主さんの行動に注目しています。
しつけをするときには、人間側の気分次第で感情を押し付けるのはいけません。
良い関係を築くためには、「犬の気持ち」を先回りして読み取ることが大事です。
「あまり信頼されていないかも…」と思い当たる点があれば、まずは愛情を注ぎながら犬との関係を見つめ直してみませんか。
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