犬用マスクの役割と危険性とは?

2022.04.10

犬用マスクの役割と危険性とは?

コロナの感染予防でマスクが欠かせない世の中になりました。 そんななか、ときどきSNS上で犬にマスクをしている姿を見かけますが、大丈夫なのでしょうか? 犬用マスクの役割や危険性を詳しくお伝えしていきます。

【目次】
1.コロナは犬にも感染する?!

2.犬用マスクとは、どんなもの?

3.犬用マスクをDIYしている飼い主さんも…

4.犬のマスクに潜む危険性とは?
 4-1.危険性①:呼吸がしづらく“苦しい”
 4-2.危険性②:熱中症になる
 4-3.危険性③:誤食の可能性
 4-4.危険性④:犬のストレスが増える
 4-5.危険性⑤:疾患のある犬は、さらに悪化することも

5.愛犬のために、飼い主さんができる感染対策とは
 5-1.散歩はルートや時間を見直す
 5-2.散歩時の人との関わり方
 5-3.飼い主さんが感染しないように生活する
 5-4.免疫力の低下に注意した生活を
 5-5.愛犬とのスキンシップはほどほどに…

6.まとめ

コロナは犬にも感染する?!

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ここ数年、爆発的に流行してきた「コロナ」という感染症。
感染が拡大したり、そして落ち着いたり…を繰り返し、まだまだ感染者数は多く、感染しないような対策が欠かせません。

人間だけの感染症かと思いきや、犬や猫などのペットがコロナ感染した例もいくつも報告されています。

主に、人間から犬や猫という流れで感染はしますが、その逆は今のところないようです。
コロナに対する感受性は猫の方が強く、呼吸器症状が見られたという報告があります。
一方、感染した犬の症状は明確なところは今のところ不明ですが、動物は言葉を話すことができないため愛犬家としては心配ですよね。


犬用マスクとは、どんなもの?

感染対策なら「犬を外出させない」のが一番かもしれません。
でも、それは極端な話で、犬にとって散歩は運動やストレスとも関わる重要なものですから一歩も外に出さないわけにもいきません。

散歩はたくさんの人とすれ違うため、「犬に何かしら感染対策をすべき…?」と不安になりますよね。

そんなときに犬用マスクが、外出時の対策となるのかもしれませんね。
SNSで犬用マスクをつけている姿を見ると、人間のマスクの付け方と同じで、犬の鼻や口を覆うようにつています。


犬用マスクをDIYしている飼い主さんも…

今は、マスクが普通に手に入るようになりましたが、感染が始まった初期には店舗やネットでも売り切れ続出でしたよね。
一時期は、マスクが手に入らず、自分で作ったという方も多いかと思います。

人間用のマスクを作る感覚で、愛犬のために手作りしている飼い主さんもいるようです。

犬の頭のサイズを測ってガーゼ素材の生地をカット、生地の端のほつれをパイピングテープで隠します。
犬は人間のように顔の両側に耳がないため、耳にゴムがかかったときの痛さを解消する「マスクバンド」を使い、後頭部にぐるりと回して留められるようにしている飼い主さんもいました。


犬のマスクに潜む危険性とは?

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コロナの感染症が流行してからというもの、私たち人間の間では、マスクがもはやマナーです。
これまでは「風邪をひいたときだけ」など、年に数回程度しか着用しなかったという人も、毎日のようにつけているのではないでしょうか?
人間がマスクをつける姿は、今や日常化しているので違和感はありませんよね。

でも、“犬にマスク”という見慣れない姿を見かけると、可愛さや個性を感じる一方で、「犬がマスクをつけても大丈夫なのか」という疑問が浮かぶという人も多いかもしれません。

犬のために一見効果的に思える「犬用マスク」ですが、実は危険性が高いと考えられています。

ひとつずつ見ていきましょう。

◆危険性①:呼吸がしづらく“苦しい”

犬がマスクをつけると、呼吸がしづらい状況を作りだすことになります。
人間は鼻呼吸も口呼吸も可能ですが、犬は基本的に鼻呼吸です。

鼻穴が下方向についている人間は、マスクをしてもある程度の空気の層を作りだすことができます。
しかし、犬の鼻は人間と違って横を向いています。
そこをマスクで塞いでしまえば、息苦しくなるのは当然かもしれませんね。
空気を取り込み、そして空気を吐くという動作は、犬にとっては体の機能を保つ重要なものです。
マスクによりスムーズな呼吸が阻害され、苦しさが増すでしょう。

◆危険性②:熱中症になる

暑いときのマスクは、熱中症のリスクが高まります。

人間の場合、マスクをつけていて暑さを感じると、「上着を脱ぐ」「うちわで涼む」など涼を得るために自ら行動ができます。

あまりにも苦しいと感じたら、周囲に人がいないことを確認してマスクを外し、苦しさを和らげることも可能です。

しかし、犬は暑いからと言って自分でマスクを外せません。
ただただ“暑くて苦しい”という状態で、それが熱中症へとつながります。

また、基本的に鼻呼吸の犬も、ふだんは口をあけて呼吸している様子を見かけることもあるでしょう。
これは、体内の熱を放出する「パンティング」という行動です。
暑くなれば体温を下げる重要な行動ですが、口をあけて舌を出して行うパンティングのとき、マスクで覆われていることはとても危険です。

熱中症のリスクを高めるだけでなく、呼吸困難に陥る可能性もあるのです。

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◆危険性③:誤食の可能性

人々が日常的にマスクを使用するようになった昨今、犬の「マスクの誤食」も増えているそうです。

飼い主さんが一時的に外したマスク、ごみ箱に捨てたマスクなど、何らかのニオイが気になってイタズラ心でマスクを食べようとする子もいるでしょう。
犬にマスクを着用すると、飼い主さんが目を離した隙に誤食をするリスクもあります。

そもそも、犬にとっては「何でマスクをつけているか」という意味は理解できていません。

鼻と口を覆っている物体に違和感をおぼえ、イライラから「ちぎって口に入れる」という行動に出ることも考えられます。
マスクの素材が不織布の場合、犬の歯で噛みちぎることは難しくありません。
消化できずにお腹のなかで詰まると大変です。

また、マスクの内部にあるワイヤーを飲み込むことで、気管や消化器官内を傷つけるリスクもあります。

◆危険性④:犬のストレスが増える

人間は、マスクをするときに“コロナに感染しないように”と目的を理解しています。

しかし、何やら訳が分からないままマスクを着けられている犬にとってはストレスでしかないでしょう。
せっかく散歩を楽しみたいのに、「マスクが気になって心からワクワクできない」なんていう心情になるかもしれません。

特に、マスクを着けるときに嫌がっている様子なら、ストレスを感じていることは間違いありません。

抵抗している様子がなくても、「鼻と口を覆われている」といういつもと違う状況に戸惑っている犬も多いことでしょう。

◆危険性⑤:疾患のある犬は、さらに悪化することも

そもそも疾患のある犬の場合、マスクを着けることで悪化するリスクもあります。

アレルギーや歯周病、副鼻腔炎などが原因で鼻呼吸がスムーズにできない症状を抱えている子には、マスクで鼻を覆うことは一層呼吸を妨げることになるでしょう。

また、疾患により、鼻水や鼻奥の空気の通り道にできた炎症があれば、そもそも空気が通りづらい状態です。

そんな状態にマスクを着けることは、感染症を予防する以前に他の病気を悪化させることにつながります。


愛犬のために、飼い主さんができる感染対策とは

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動物が感染するという報告もありますが、コロナウィルスはまだまだ未知数の感染症です。

愛犬にマスクを着けるときの飼い主さんの気持ちは「感染させたくない」という愛情からかもしれません。
でも、マスクを着けたときの危険性、犬が受けるストレスを重視した方がいいのではないでしょうか。

また、「散歩に行ったときに犬が他者から感染するかもしれない」という確率よりも、「毎日たくさんスキンシップをする飼い主さんから感染する」リスクの方が現実的かもしれません。

犬にマスクを着けて感染を防ぐのではなく、飼い主さん側でコロナ対策をすることで防げる可能性もあります。

◆散歩はルートや時間を見直す

「コロナに感染しないように」と犬の散歩を諦める必要はありません。
大好きな飼い主さんとの散歩は、愛犬にとっての心の健やかさを保つために大切なことです。

ただ、散歩の内容を見直してみましょう。
大切なのが「人混みを避ける」という点です。

半径2mには他人が入らないように、一定の距離を保ちながら愛犬との散歩を楽しんでくださいね。

できるだけ人のいない時間帯に出かけるのもいいでしょう。

◆散歩時の人との関わり方

散歩や外出時の人との関わり方にも注意しましょう。
犬好きの人から話しかけられるのは、ふだんなら嬉しいことかもしれません。

でも、このようなご時世ですから、近い距離での長時間の会話や、愛犬に触れられることは遠慮したいものです。

散歩に出かけると「可愛い」と撫でようとしてくる人もいるかと思います。
近づいて来そうな気配を察知したらさり気なくその場を離れる、そもそも人の多い場所に出かけないなど配慮してみてくださいね。
  

◆飼い主さんが感染しないように生活する

犬の主な感染ルートは「飼い主さん経由」です。

そのため、まずは飼い主さんがコロナに感染しないように心がけましょう。

お仕事やプライベートで外出することは日常的かと思いますが、

・大人数で飲食をしない
・外ではマスクを着ける
・こまめにアルコール消毒をする
・帰宅後はハンドソープで手を綺麗に洗う

などは徹底したいものです。

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◆免疫力の低下に注意した生活を

飼い主さんも、犬も、どちらも気をつけたいのが免疫力です。

免疫機能(抵抗力)をしっかり持っていれば、ウイルスを体内に入れないようにブロックしてくれます。
免疫が低下していると、ウイルスが侵入しやすいだけでなく、重症化のリスクもあります。

免疫機能を高めるポイントは、
●栄養のある食事
●適度な運動をする
●よく睡眠をとる
●ストレスを溜めない

などです。

行動制限をし過ぎるとストレスが増え、逆に感染リスクが高まってしまうのです。
これは、コロナ感染だけでなく、ほかの病気の予防にも通じます。

ふだんから、愛犬の栄養や運動に気を配り、免疫を下げないように、飼い主さんもわんちゃんも元気な毎日を心がけてくださいね。

◆愛犬とのスキンシップはほどほどに…

お伝えしたように、飼い主さんから犬にコロナが感染することがあります。

注意したいのは、濃いスキンシップです。

飼い主さんの顔や手をペロペロと舐めさせる、顔を近づけてキスをする…など、ふだんであれば愛犬とのスキンシップの一環と考えている方も多いかと思います。

でも、コロナに感染している飼い主さんなら、そのスキンシップが原因でうつしてしまうリスクも大きいです。

特に、病気を患っている犬や高齢犬の場合、感染するリスクも高まるので注意しましょう。


まとめ

犬を飼っている人にとって、コロナ感染は自分だけの問題ではありません。

大切な愛犬にツラい思いをさせたくないからこそ、「感染対策」と言われることがあれば、何でもやってみたいものですよね。

人間がマスクで感染対策できているなら犬にも着けてあげようと考えるのは愛情からだと思います。
ただ、今回お伝えしたように、犬にマスクを着けることはいくつかの危険性があります。

「コロナに感染して欲しくない」という思いから着けてあげたマスクが、逆に犬を苦しめる状況に導く可能性もあるので注意しましょう。
散歩などで外出するときには、他人と一定の距離を保ちながら人混みは避ける工夫をしてみてくださいね。

また、犬に感染させないためには、人間側がコロナ対策をすることが大事です。
無症状でコロナに感染している人も多いです。
飼い主さん自身が感染に気付いていなければ、いつの間にか愛犬にうつすことも考えられます。
人間側ができる感染対策としてマスクやアルコール消毒は欠かさないようにしましょう。

免疫力の低下やストレスは病気の大敵です。
飼い主さんも犬もどちらも食事や適度な運動などで、健康的な毎日を送ることを心がけてくださいね。



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!


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