【獣医師監修】犬の鼻血に気づいたら即、動物病院へ!原因となる病気と対処法

2021.04.24

【獣医師監修】犬の鼻血に気づいたら即、動物病院へ!原因となる病気と対処法

健康な犬が鼻血を出すことは、ほとんどありません。愛犬が鼻血を出していたら、様子見をせずに、すぐ動物病院を受診してください。ケガ(外傷)が原因の場合もありますが、多くの場合、深刻な病気によるものだからです。今回は、犬の鼻血について、原因となる病気を解説するとともに、治療法や対処法についてもご紹介します。愛犬が鼻血を出した時に適切に対処できるように、参考にしてみてください。

犬の鼻血とは

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鼻血は、正確には「鼻出血」(びしゅっけつ)という呼び方をします。
鼻出血とは、鼻の中に出血が起こった状態を言い、鼻の外側における出血とは別物です。
鼻出血の主な症状としては、

・鼻血
・くしゃみや咳
・鼻を気にする素振りを見せる
・鼻づまり
・呼吸が荒くなる

などが挙げられます。

◆鼻水をチェックする

犬は、鼻血が出たとしても、すぐに自分で舐めてしまうため、飼い主さんが鼻血に気づかないことも多いようです。
そのため、愛犬が頻繁に鼻を舐めている場合には、正常な鼻水なのか、色がついた鼻水なのか、血が混じっているのか、よくチェックする必要があります。
また、しきりにくしゃみや咳をする、鼻づまりをして苦しそうにしているなどの場合にも、鼻血が出ていないか、色のついた鼻水が出ていないかを確認してみましょう。
鼻血が出ている場合、クリーム色で血が混じっている鼻水や、ピンク色の鼻水、茶色っぽい鼻水が出ます。

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犬の鼻は基本的に湿っているもの。愛犬家の方々にとっては周知の事実でしょう。しかし、ただ単に鼻が湿っているのではなく、明らかに鼻水を垂らしている子や、あまりに続くので気になっている…という飼い主さんも少なくないでしょう。 犬の鼻水の原因はなんなのか、病気の可能性があるのか、飼い主さんとしてはきちんと知識を得ておきたいですよね。鼻水の治療法も併せて紹介しますので、是非参考にしてみてください。

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◆床や家具もチェックする

前項の通り、犬は鼻血を舐めとってしまうことが多いです。
くしゃみや咳、呼吸が荒い、鼻を気にする素振りなどが見られたら、床や家具に血がついていないかチェックすることをおすすめします。


犬の鼻血の原因

◆怪我

交通事故や咬まれてケガをした、強くぶつけたなどで、鼻腔(鼻の中)に損傷が起こって鼻血が出ることがあります。
粘膜が傷ついて出血するほか、鼻骨が骨折した場合にも出血します。
怪我(外傷)による場合、鮮血(真っ赤な血)が流れ出ます。
傷の大きさや深さによっては、突然大量の鮮血が流れ出ることもあります。

◆異物

鼻腔内に異物が入り込むことで、鼻炎(異物性鼻炎)が生じ、鼻血が出ることがあります。
異物性鼻炎には、鼻の孔から異物を吸い込むタイプと、喉から鼻腔に異物が逆流するタイプがあります。
前者は、散歩中に「ノギ」(イネ科植物の穂の先端にある棘状の突起)が鼻腔に入ってしまうような場合です。
後者は、嘔吐する時や咳き込んだときに、食べ物などが鼻腔内に入ってしまう場合です。

◆病気

犬の鼻血の原因となる病気は、多岐に渡り、また深刻なものが多いです。
鼻の中のできもの(腫瘍)、感染症、血小板の異常などの病気や、もともと持っている基礎疾患から出血が引き起こされることがあります。
基礎疾患としては、甲状腺機能亢進症、多血症、クッシング症候群、多発性骨髄腫、血管炎などが挙げられます。
また、歯周病が悪化して、鼻血が出ることもあります。

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◆薬剤中毒

ネズミを駆除するための殺鼠剤のうち、クマリン系の抗凝固性殺鼠剤には、ワルファリンなど血を止まりにくくする成分が入っています。
このため、犬が誤飲した場合、鼻血や吐血、下血を起こし、鮮血が流れ出ます。
また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与した場合も、血が止まりにくくなることがあります。


犬の鼻血の原因となる病気

ここでは、犬の鼻血の原因となる病気について、詳細に解説します。

◆歯周病

クリーム色に血が混じった鼻水が出る場合、歯周病が原因の場合があります。
歯周病は、歯自体には問題がなく、歯の周りに細菌感染を起こす病気で、成犬の8割が歯周病になっていると言われています。
犬の口や鼻は、鼻腔と歯根が薄い骨の壁で仕切られています。
歯の周りに細菌感染を起こすと、歯の周りの骨(歯槽骨)が溶けてしまい、弱くなります。
歯肉炎や歯槽膿漏が進行すると下顎の骨が折れることもあり、上顎の場合、鼻腔との間の骨が溶けることで歯根部と鼻腔が繋がります。
重症化すると、歯の根元から鼻の中にまで菌が入り込んで炎症が広がり、鼻炎の症状から、くしゃみや鼻血、膿の混じった膿性の鼻水が出るようになります。

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◆鼻腔内腫瘍

犬の場合、鼻血の症状が癌からきていることは、少なくありません。
鼻の中の癌である鼻腔内腫瘍や、口の中の癌である口腔内腫瘍が広がって鼻に到達すると、出血して鼻血が出ることがあります。
この場合は鮮血ではなく、クリーム色に血が混じった鼻水や、血の塊のような鼻水が出ます。
鼻の中にできる腫瘍としては、扁平上皮癌、悪性リンパ腫、線維肉腫などがあります。
鼻腔内腫瘍も口腔内腫瘍も悪性腫瘍が多く、比較的予後の悪い癌と言えます。
腫瘍が原因の場合、鼻血は腫瘍のある側の鼻の孔から出ることが多く、同時に顔が腫れることがあります。

◆鼻炎

鼻炎とは、鼻腔内に炎症が生じた状態です。
鼻炎の原因は、ウイルス性、細菌性、寄生虫性など様々です。
また、人間と同様、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を吸い込むことで、アレルギー性鼻炎を起こすこともあります。
アレルゲンも人間と同様で、特定の季節の花粉、カビ、動物のフケ、ハウスダストなどです。
また、自己免疫疾患の一種であるリンパ球形質細胞性鼻炎の可能性もあります。
自己免疫疾患とは、免疫が自分の体を攻撃してしまう病気です。
アレルギー性やウイルス性単独では透明な鼻水(カタル性鼻汁)が、細菌感染を伴うと膿の混じった膿性鼻汁が出てきます。
粘膜が傷つくと、膿性のどろっとした鼻水に血が混じったり、血が混じったピンク色の鼻水が出たりすることがあります。
鼻の奥で出血している場合、時間が経つと茶色っぽい鼻水として出てくる場合もあります。

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◆血液異常

血小板は、血液を固める役割を持っています。
血小板が減少したり機能障害を起こしたりすると、血液が固まりにくくなり、鼻血が出ることがあります。
血小板の減少を引き起こす病気としては、骨髄疾患、感染症、免疫疾患、播種性血管内凝固などが挙げられます。
また、血小板の機能障害を引き起こす病気としては、遺伝性疾患の「フォンヴィルブランド病」、先天性疾患の「血友病」が挙げられます。

フォンヴィルブランド病

フォンヴィルブランド病では、複数のあざのような斑状出血を生じます。
典型的な兆候としては、鼻血、黒色便、血尿といった粘膜表面からの出血、外傷や外科手術後の過剰な出血などが挙げられます。
好発犬種は、エアデールテリア、ダックスフンド、ドーベルマン、ウェルシュコーギーペンブローク、ミニチュアシュナウザー、ゴールデンレトリバー、シェットランドシープドッグなどを含み、60種を超えます。

血小板減少症

血小板減少症には様々なものがありますが、鼻血の原因で最も多いのは「免疫介在性血小板減少症」です。
これは、免疫機能が、何らかのきっかけで自身の血小板を破壊するもので、発生の原因は明らかになっていません。

◆感染症

ウイルスや細菌のほか、犬ではあまり多くはありませんが、アスペルギルスというカビが原因で起こる鼻炎もあります。
アスペルギルス性の鼻炎の特徴は、くしゃみや鼻水、鼻血などの症状が、数週間~数ヶ月、場合によっては数年にわたって続くことです。


犬が鼻血を出した時の対処法

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◆自宅で応急処置はしない

犬が鼻血を出すと、飼い主さんは慌ててしまうかもしれません。
ここで一番してはならないのは、人にするように、ティッシュなどを鼻の孔に詰めて血を止めようとすることです。
犬は、鼻呼吸をしているため、鼻の孔を塞ぐと呼吸ができなくなります。
氷嚢や保冷材でマズルの上部を冷やすことで血管を収縮させて、一時的に鼻血を止めることはできます。
保冷材をずっと密着させていると凍傷になる危険性があるので、時々マズルから離しながら様子を見てください。

◆すぐに動物病院を受診する

ここまでご紹介してきたとおり、犬の鼻血の原因は、多くの場合、深刻な病気です。
健康な犬が鼻血を出すことは、まずありません。
鼻から血が出ている、血が混じった鼻水や色のついた鼻水が出ている、しきりに鼻を舐めるなど気にする仕草が見られる場合には、すぐに動物病院を受診してください。
このとき、どちらの鼻の孔から鼻血が出たかを覚えておくと、診断がスムーズに進みます。
スマートフォンなどで撮影しておくとよいでしょう。
鼻血が両方の孔から出る場合には血液の凝固異常が疑われ、片方の孔からの場合には鼻腔内腫瘍が疑われます。

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犬の鼻血の治療法と予防

犬が鼻血を出した場合の治療法について解説するとともに、予防についてもご紹介します。

◆治療法

犬の鼻血の原因は様々なので、治療法も原因によって様々です。
外傷や腫瘍が原因なら、手術をする場合もあります。
感染症や免疫介在性血液凝固異常、基礎疾患が原因であれば、それぞれに対する薬剤の投与が行われます。
このため、動物病院では、まず鼻血の原因となる病気を突き止めるための検査が行われます。
獣医さんの判断によって、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などが行われます。
鼻腔内腫瘍の疑いが強い場合には、後日、MRI検査なども必要になるかもしれません。
鼻腔内腫瘍の治療としては、放射線治療が推奨されていて、余命を延ばせるケースも少なくありません。
血小板減少症では、一般的に免疫を抑えて、減少した血小板の量を回復させる治療を行います。
このため、免疫抑制剤やステロイド剤が使われることが多いようです。
また、免疫グロブリンを投与する場合もあります。

◆予防

基本的に、鼻血の予防法はないと言っていいでしょう。
しかし、歯周病や殺鼠剤が原因の鼻血は、飼い主さんが予防することが可能です。
子犬の頃から歯磨きの習慣をつけて、獣医師さんに定期的に歯垢や歯石を取ってもらうことで、歯周病にならないようにすれば、歯周病が原因の鼻血の予防に有効です。
殺鼠剤の中毒による鼻血は、薬剤でネズミの駆除をしている場所に愛犬を近づけないことが予防法となります。
殺鼠剤そのものを誤食しなくても、薬剤がついた草などを舐めることでも中毒になる恐れがあるので、注意しましょう。
また、アレルギー性鼻炎による鼻血は、アレルゲンをできるだけ排除することで、ある程度予防ができるでしょう。


まとめ

健康な犬であれば、鼻血を出すことは、まずありません。
つまり、鼻血や血の混じった鼻水、膿性の鼻水が出た場合、ケガや重大な病気のサインと考えてよいでしょう。
少量の鼻血だから、すぐ止まるからと様子を見たり、血が混じっているか分からないからと膿性の鼻水を放置したりすることは危険です。
どんな病気も早期発見・早期治療が大切ですが、鼻血の原因となる病気は早期発見が難しい病気が多いので、鼻血というサインを見逃さないようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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