猫に人間用アイスを与えてはいけない理由は?
基本的に、猫に人間用のアイスを与えてはいけません。
たとえ猫が欲しがるとしても、人間用のアイスを与えてはいけない理由としては、次のことがあげられます。
◆理由①冷たいアイスは頭痛を引き起こすため
猫が冷たいアイスを食べると、「ブレインフリーズ」という症状になることがあります。文字をそのまま訳すと、ブレイン=脳みそがフリーズ=凍る、固まるということになりますね。
ブレインフリーズを起こした猫は、アイスを食べている時やその直後に、動きが止まって目を細めたり、怒ったように唸り声を出したり、口を開けて白目をむいたりなど、様々な行動をします。
これは、猫が冷たいアイスを体内に入れたために、あまりの冷たさで痛みを感じてしまっていると考えられます。
人間でも、冷たいアイスを食べると、頭が痛くなることがありますね。あれは、アイスを食べた時に発生した冷たさを伝える伝達信号を、脳が痛みと勘違いすることで頭痛が起きます。
また、冷たいものを食べた時に、体が一時的に血流の量を増やして体温を上げようとするので、頭につながる血管が膨張することも頭痛につながります。
明らかになっているわけではありませんが、人間に起こるのと同様のことが、猫にも起こっていると考えられます。
ブレインフリーズの様子が面白いということで、インターネット上で動画があがっていますが、猫が痛みを感じているとすると、笑って見ているようなものではないと言えるでしょう。
◆理由②アイスの成分で下痢や中毒を起こす可能性があるため
アイスの主な原料は、牛乳と乳製品と糖類です。
基本的には肉食動物である猫にとっては、糖類は重要な栄養素ではありません。さらに糖類を消化や吸収するのも得意ではないので、猫の内臓にも負担がかかる可能性があります。
また、猫は牛乳に含まれる乳糖を体内で分解できないため、牛乳を飲むと下痢をする可能性もあります。
人間用のアイスにはチョコレートや抹茶などの味付けがされていますが、猫にとって良いとは言えません。
特にチョコレートは、覚醒や興奮作用をもつ物質が含まれていて、猫はこの物質を体内でうまく分解することができません。
そのため、チョコレートを食べると数時間で中毒症状が現れ始め、下痢や嘔吐をしたり、興奮状態になったりして、重症になると痙攣を起こして命に関わる場合もあります。
コーヒー味のアイスも注意が必要です。ミルクとコーヒーの組み合わせのアイスもたくさん売られていますが、猫が食べるとカフェインによって中毒症状を起こす可能性があります。
アイスにもしピーナッツやアーモンドなどが入っていると、それを食べて猫がアレルギーを起こすこともあります。
ナッツ類は猫に重い中毒症状を起こさせることがあるため、特に気をつけて与えないようにしなければなりません。
◆理由③アイスで猫が肥満になってしまうため
アイスの糖分で、猫が肥満になることも考えられます。人間にとってもアイスはカロリーの高い食べ物ですよね。
猫にとって必要なエネルギーやカロリーは、総合栄養食のフードを与えていれば充分に足りています。
また、着色料や保存料、香料などの添加物もたくさん含まれている可能性もありますので、猫の体にとって良いとは言えません。
◆理由④アレルギーを起こす可能性があるため
アイスのコーンも、卵や小麦粉が使われているため、猫がアレルギーを起こす可能性のあるものですから、猫に食べさせるのは危険です。
たとえ少しだけ、と思っても、卵アレルギーや中毒を起こすと命にかかわることもあります。
人間用のアイスを猫に食べさせることは、とても危険があるということになりますね。
猫が人間用のアイスを食べてしまった時の対処法は?
猫が置いてあったアイスを食べてしまった、という場合には、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
特に、チョコレートやナッツなどが入ったアイスを食べた時には、中毒症状を起こす可能性があるため、必ず病院で診察してもらうべきだと言えるでしょう。
たとえ少量でも、猫にとっては命にかかわる中毒を起こすこともありますし、症状が出て時間がたつほど危険なので、早めに獣医さんに診てもらいましょう。
猫がアイスを勝手に食べないように、人間がアイスを食べたらすぐ片付ける、猫が取り出せるようなゴミ箱にアイスの蓋やカップを捨てないようにするといったように気をつけることも大切です。
人間が食べているアイスを与えたことで欲しがるようになる猫もいますから、安易にアイスを与えないことも大切です。
猫がアイスを欲しがる時の対処法は?
猫が人間の食べているアイスを欲しがる時には、どうしたら良いでしょうか。
その際には、人間用のアイスは与えず、次の対処法をするようにしてください。
◆猫の気をそらす
猫は好奇心旺盛なため、飼い主さんが美味しそうにアイスを食べていると、気になって寄ってきてしまいます。
人間が食べているアイスを食べたがるということは、以前アイスをあげたことがあったり、自分で食べてしまって味を覚えたりしたのかも知れません。アイスを欲しがるたびに与えていると、ずっと猫はアイスを欲しがることになります。
アイスを与えない、猫のいるところでアイスを食べないようにし、猫と遊んだり、猫用おやつなどで気をそらしたりしてください。
◆アイスを与える以外で猫の体を冷やす
猫がアイスを欲しがる時、夏バテが気になるから与えたいという場合には、アイスを与える以外の方法で対処してみる方法もあります。
猫が上に乗るだけで体を冷やせるアルミや大理石のプレートを置いてみたり、エアコンを利用したりして、暑さをしのげるようにしてあげましょう。
また、猫が新鮮な水をいつでも飲めるようにしておいてあげてくださいね。
猫用アイスの楽しみ方、注意点は?
欲しがるからどうしても猫にアイスを与えたいという場合には、猫用に作られたアイスが販売されていますので、そちらを与える方法があります。
◆様々な猫用アイスが販売されている
猫に与える専用のアイスは、乳製品が使われておらず、中毒を起こす心配がありません。
猫用のアイスの多くは、かつおやまぐろなどの魚やイモ類を基本に作られています。イモ類はあまり多く与えない方が良いですが、魚を原料としているアイスだと安心できますね。
◆猫用アイスを手作りする方法もある
猫用アイスを購入する他、猫に食べさせるアイスを手作りする、という方法もあります。
一番簡単なのは、猫用のおやつを利用するアイスです。猫用のおやつでチューブ状のものを、製氷器やアルミカップに入れて、冷凍庫で冷やすとできあがりです。
また、猫用ミルクを使った方法もあります。猫用ミルクと、さつまいもなどを茹でたものを、フードプロセッサーなどで混ぜてなめらかにします。できたものを製氷器やアルミカップに入れて冷凍庫で冷やすと、できあがりです。
スティックをさしておいて凍らせると、持ち手がつくので取り出しやすく、与えやすくなります。
◆猫用アイスを与える時の注意点
特に夏の暑い時には、猫にアイスを与えたくなるかも知れませんね。飼い主さんがアイスを楽しんでいる時、ずっと猫を遠ざけておくのは難しい場合もあるかも知れません。
ただ、猫用のアイスだからといって、たくさん与えたり、頻繁に与えたりしない方が良いでしょう。
猫用のアイスには、猫の水分補給や夏バテ対策といったキャッチコピーがついており、飼い主さんにとって与えたくなるような商品となっています。
しかし、冷たいということで頭痛が起きる可能性は、アイスであれば人間用でも猫用でも同じです。人間用のアイスでないから大丈夫、とは言えないということですね。
さらに、冷たいものを食べることで、猫が下痢になるおそれもあります。与える時には少しずつ、食べ過ぎないように気をつけて与えてください。
基本的には、猫にアイスを与える必要はなく、暑くても水を与えたり、日陰で過ごさせたりすることで猫の健康は保てます。
猫に猫用アイスを与える量の目安としては、ほんの少しを味見させる程度のつもりで与えると良いでしょう。与える回数も、連日与えたりせず、たまに思い出した時に与えてみる程度にしてくださいね。
猫がアイスを欲しがる時の対処法についてのまとめ
もし猫がアイスを欲しがるのでアイスをあげたい、という時には、人間用ではなく、猫用のアイスを与えるようにしてください。
猫用のアイスは、猫の胃腸に優しいように、牛乳や糖類などを使わずに作られていますので、少量であれば安心して与えられます。
人間用のアイスは、少量でも猫が中毒やアレルギーを起こす可能性もあるので、安易に与えないようにしましょう。
さらに手作りでアイスを作る方法もありますが、その際にも猫用のおやつを利用したり、牛乳を使わず猫用ミルクを使うようにしたりして、気をつけてください。
しかし、猫がアイスを欲しがる時には、基本的には与えないようにすることがいちばんだと言えるでしょう。猫に必要な栄養素がアイスにはありませんし、飼い主さんが気をつければ、猫がアイスを欲しがることも防ぐことができます。
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