【掲載:2020.12.31 更新:2025.11.14】
猫は寒がり?

◆猫にとっての適温は?
北アフリカに棲むリビアヤマネコを先祖とする猫は、一般に暑さに強く寒さに弱いとされています。
猫種や個体による違いはありますが、猫が快適と感じる温度の目安は室温18~26℃、湿度30~70%です。
冬場も、室温は20~23℃に保ってあげましょう。
猫は自分で環境に対応する能力があるので、適温を保つと同時に猫が自由に居場所を選べるようにしておきます。
暖かい部屋と少し室温の低い部屋を、自由に行き来できるようにしてあげるとよいでしょう。
◆温度差には注意が必要
温度差が10℃を超えると、猫も体調を崩しやすくなります。
お留守番の時には、気温の下がる夕方に適温になるようタイマーを活用するなどの工夫をしてあげましょう。
また、夜寝る時にエアコンを消す場合にも温度差に気をつけてください。
◆脱水症状にも気をつけよう
猫は冬には水を飲む量が減ったり、トイレを我慢してしまうことがあります。
泌尿器系の病気の原因になったり、脱水症状を引き起こしたりすることもあるので気をつけてあげましょう。
水飲み場やトイレの場所を暖かくしたり、ぬるま湯を用意してあげたりするとよいでしょう。
寒い冬を愛猫と乗り切るには?

◆点より面で暖める
猫のための寒さ対策には、部屋全体を暖める暖房器具と、スポット的に温めるものを併用するのがおすすめです。
室温を適温に保った上で、特に寒がりな子には湯たんぽなど「点」で暖める暖房器具を用意してあげるとよいでしょう。
基本の寒さ対策としては、室内全体を暖めるエアコンや、広い「面」を暖めることができるホットカーペットがおすすめです。
◆冬用素材のベッド
猫用のベッドも、冬用の温かな素材を使ったものに替えてあげましょう。
ボアやフェルト、フリース、コーデュロイ、ベロアなど、猫用ベッドに使われる冬用素材は様々です。
最近は、蓄熱素材を使ったベッドやペット用のブランケットなどもあります。
蓄熱素材は猫の体温を逃すことがないので、電気を使わずに温まることができます。
ドーム型やもぐりこむ形の猫がすっぽり入れるベッドは、ぬくもりが逃げないのでより暖かいです。
ベッドは、日の当たる場所に置いてあげましょう。
午前と午後では日の当たる場所が異なるので、それぞれにベッドを置いてあげるのがベストです。
また、冷気が伝わってくる窓際や壁際は避けて少し高い棚などの上に置くと、より暖かく利用できます。
床に置く場合は、ベッドの下にタオルケットや断熱マット、ダンボールなどを敷くと、冷気が伝わりにくくなります。
◆湯たんぽ
湯たんぽは電気を使わないので、お留守番など飼い主さんが様子を見られない時におすすめの寒さ対策です。
お湯を入れるタイプと、電子レンジで温めるタイプがあります。
お湯を入れるタイプは大きく分けて、プラスチック製や金属製の小判型のものと、ゴム製のものがあります。
暑さも寒さも苦手という子には、夏場には氷水を入れて保冷剤として使える夏冬兼用のものがおすすめです。
電子レンジで温めるタイプの湯たんぽは、お湯を沸かす必要がないので手軽に使えます。
猫が湯たんぽの上に乗って使うようなら、ケースが硬くて安定したものがおすすめです。
湯たんぽを選ぶ時には、安全で頑丈なものを選びましょう。
ペット用の湯たんぽは猫がかじっても壊れにくく、電子レンジで温めるタイプも中身の安全性が高いです。
湯たんぽには必ずカバーをかけ、温か過ぎる場合にはタオルに包んだり布団の下に置いたりするとよいでしょう。
◆ヒーター
オイルヒーターやハロゲンヒーターなどはすぐに温まるため、寒さ対策には効果的ですが、猫に使う場合には注意が必要です。
被毛やヒゲを焦がしたり、やけどを負ったりする危険性があるので、猫が近づきすぎないように柵などで周囲を囲んでおきます。
コードをかじって感電したり、火災の原因になることもあるため、お留守番時の使用は避けて電源コードも抜いておきましょう。
ペット用ヒーターであれば温度設定が低く、コードもカバーで覆われているので、安心して使うことができます。
夜、暖房を消した後の寒さ対策に、ベッドやケージに入れてあげるとよいでしょう。
◆こたつ
こたつは、冬の猫につきものというイメージがあります。
実際にこたつを出すと、中に入ってなかなか出てこないという子も少なくないようです。
人用のこたつを猫に使わせる時には、低温やけどや酸欠、脱水症状を起こす危険性があるので、飼い主さんが気をつけてあげましょう。
猫にとってこたつ布団は重く、自力で出られなくなることもあります。
猫がコタツを使う際には、こたつ布団を1ヶ所めくっておいたりトンネル状にしておいたり、中と外を自由に行き来できるようにしてあげてください。
猫用のこたつであれば、ヒーターがカラダに直接あたらない設計やコードをかじれないような工夫がしてあり、安心して使用することができます。
◆電気毛布
電気毛布は温度の設定もできるので、適切な使い方をすれば猫の寒さ対策にも使えます。
しかし中に入っている電熱線や電源コードを噛んでしまうと、切れて猫が感電したり、火災の原因となる恐れがあります。
コードにはカバーなどをかぶせて、使用前には電熱線に損傷がないことを確認しましょう。
飼い主さんのかけ布団の下に敷いて使うと、布団の上がほのかに温かくなり、電熱線をかじるリスクもないのでおすすめです。
◆ホットカーペット
広い面を温めるホットカーペットは、エアコンの風を嫌う子におすすめの寒さ対策です。
長時間ホットカーペットに直接寝転んでいると低温やけどのリスクがあるので、お留守番時には使用しない方がよいでしょう。
◆カイロ
カイロは使い捨てカイロのほか、白金触媒式のもの、電子レンジで温めるもの、電池式・充電式のもの、酢酸ナトリウムを用いた再利用可能なものがあります。
いずれのカイロも、携帯して暖を取ることができ、カラダの小さな猫にはちょうどよいサイズといえます。
使い捨てカイロの使用方法
◆使い捨てカイロの仕組み
使い捨てカイロの中身は、鉄の粉、木の粉、塩水を染み込ませた石の粉、活性炭などです。
鉄は空気に触れると、空気中の水分と反応して錆び、その時に酸化熱が発生します。
使い捨てカイロの温かさのもとは、この酸化熱です。
木の粉や石の粉は、鉄が錆びるスピードを速くするために混ぜられています。
◆使い捨てカイロの使い方
使い捨てカイロは、商品により異なりますが40~50℃程度の温かさを10~20時間程度持続します。
最高温度は60℃を超えるので、タオルなどで包むか、布団の下に置くようにして、猫が直接触れないように使いましょう。
◆使い捨てカイロの捨て方
使用済みの使い捨てカイロは、自治体によって不燃ごみか可燃ごみかが異なります。
あらかじめお住まいの自治体の公式サイトで確認しておきましょう。
環境課や清掃局などゴミに関する部局のページに、家庭ごみの分別ルールが掲載されています。
電子レンジで温めるカイロもおすすめ
電子レンジで温めるタイプのカイロは、繰り返し使えるので経済的です。
カイロの中身は、ジェルや温熱効果のある鉱石など様々です。
温度や持続時間は商品によって異なるので、使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。
猫が使い捨てカイロを使う時の注意点
◆低温やけど
低温やけどとは、多少触れていても問題のない40~50℃程度のものに、長時間触れ続けることで生じるやけどのことです。
火や熱湯など高温のものに触れることで生じるやけどとは異なり、ゆっくりと進行するため気づきにくく、気づいた時には重症化していることもあります。
猫は被毛に覆われていて、皮膚も人より厚いため、熱さに対して鈍感です。
低温やけどになるリスクが高いので、飼い主さんが気をつけてあげましょう。
特に、子猫やシニア猫は熱さに鈍感なので注意が必要です。
湯たんぽやカイロ、ホットカーペット、電気毛布、こたつなど、寒さ対策の多くは低温やけどのリスクがあります。
使い捨てカイロは、必ずタオルなどで包んだり、ベッドやマットの下に置いたりして、直接猫のカラダに触れない状態で使用してください。
◆誤飲
猫が引っ掻いたり齧ったりすると、袋が破れて中身が出てしまう可能性があります。
前述のとおり、使い捨てカイロの中身は鉄の粉、木の粉、塩水を染み込ませた石の粉、活性炭などです。
誤飲すると、嘔吐や下痢などの症状が起きることがあり、多量に食べた場合には中毒症状が起きることもあるようです。
使用する際には猫がかじって誤飲してしまわないように、厚手のタオルなどで包みましょう。
いたずらして袋を破ることもあるので、保管場所にも気をつけてください。
まとめ
猫が快適に感じる温度は18~26℃で、冬でも室温は20~23℃ほどに保つようにしましょう。
寒さ対策には、エアコンやホットカーペットなど「面」を温める暖房器具と、使い捨てカイロや湯たんぽなど「点」を温めるものを併用するのがおすすめです。
使い捨てカイロは、鉄が錆びる時に出る酸化熱を利用して、40~50℃の温かさを10~20時間ほど持続します。
火や電気を使わない使い捨てカイロは、上手に活用すれば、愛猫の寒さ対策に便利です。
しかし、低温やけどや中身の誤飲の恐れがあるので、必ずタオルなどで包んだり布団の下に置いたりして、猫が直接触れないようにして使いましょう。
使用前も使用後も、猫がいたずらできないように保管場所には注意してください。
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