1.猫の体温調節の方法は?
1-1.気化熱とは?
1-2.猫の体温調節はグルーミング?
2.猫の夏バテはいつから?症状は?
2-1.猫の夏バテの症状①ご飯を食べない
2-2.猫の夏バテの症状②尿の量が減る
2-3.猫の夏バテの症状③ぐったりしている
2-4.猫の夏バテの症状④下痢、嘔吐
2-5.猫の夏バテの症状⑤体温が高い
3.夏バテになった時の対処法
3-1.冷やす
3-2.食欲を増やす
3-3.水を飲ませる
4.夏バテにならないための予防法、おすすめグッズ
4-1.室温の調整
4-2.ひんやりグッズを利用
4-3.凍らせたペットボトル
猫の体温調節の方法は?
人間も猫も、熱いときには気化熱を利用して体温を下げています。
◆気化熱とは?
気化熱とは、液体の物質が気体に変化するときに周囲から吸収する熱のことです。液体が蒸発するためには熱が必要になり、熱は液体が接しているものからうばわれます。体が汗で濡れていると、表面の水滴が体温をうばって蒸発し、体温を下げてくれるのです。
人間は全身の皮膚に分布する汗腺から汗を出し、この汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げます。
◆猫の体温調節はグルーミング?
一方で、猫には汗腺がほとんどないので、「ハァハァ」とあえぐ呼吸(あえぎ呼吸)で呼吸器の粘膜から気化熱を放散して体温を下げます。人間も猫も「気化熱」を利用している点に関しては共通していますが、猫が気化を行う場所が「ほぼ呼吸器だけ」というところが大きく異なっています。
しかし、猫がハァハァと呼吸している様子はあまり見ることはありません。動物行動学者のB.Hartは猫の熱放散のうちの3割近くがグルーミングよる唾液の蒸発だとしています。
暑い日にも猫があまり苦しそうな息遣いをしないのは、こうした理由があるからかもしれません。
猫の夏バテはいつから?症状は?
最近の住宅環境は気密性が高く、冬は暖かいけれど夏の暑さもしっかり保持します。また初夏というには早い時期でも、突然気温の高い日があることも最近の天気の傾向ですね。
「猫の夏バテはこの時期から始まる」と明確に決められませんが、外気温が高く、室温が30度を超えるような日は注意が必要です。気温がそれほど高くなくても湿度が高い日も同様です。
猫は体温調節がほとんど呼吸器からの気化熱のみで行われることに加え、全身が被毛に覆われています。体温から温度を受け取った空気が被毛の中に閉じ込められると、涼しい空気が被毛の下の皮膚に当たりにくくなります。これは「寒さに強い」ことを意味すると同時に、「体温を逃がす効率が悪い」ということも意味しています。
人間と猫の間には体感温度の違いが生じます。人間が「ちょっと暑いかな・・・」と感じているとき、猫は「死ぬほど暑い!」と感じている可能性があるので要注意です。人間がバテそうな環境では、暑さに強いと言われている猫はもうすでに夏バテになっているかもしれません。
◆猫の夏バテの症状①ご飯を食べない
猫は体温を下げようとする時、本能的に体温のもととなる食事の量を減らそうとします。けれど食事減らすことで体内に取り込める栄養素も減ってしまい、体調が悪くなってしまいます。
日頃から猫の体重をはかっておき、0.2~0.3キロ体重が減ってしまったら危険信号です。
◆猫の夏バテの症状②尿の量が減る
十分に水分をとっている健康な猫は、1日に少なくとも1回、平均的には2〜3回程度排尿します。しかし夏バテの時は脱水症状を起こし、体内の水分量が減ると尿の量も減ります。
◆猫の夏バテの症状③ぐったりしている
猫はもともと睡眠時間が長く、落ち日の大半を寝て過ごしています。暑い日は家の中で涼しい場所を見つけて無駄な体力を使わないように静かに過ごしています。またたびなど、猫が喜ぶものを与えてみて反応を見てみましょう。
普段と違い、人目につかない隠れた場所で寝ていて姿を見せない、声掛けをしても反応がなくぐったりしている、といった様子が見られる時は注意が必要です。
◆猫の夏バテの症状④下痢、嘔吐
暑さで胃腸が弱ってしまい、食べ物がうまく消化されず下痢や嘔吐が引き起こされます。酷くなると血便がみられます。
◆猫の夏バテの症状⑤体温が高い
体内の熱をうまく放出できなくなって、体温が上がってきます。急激に上がった体温を下げることができなくなり、熱中症へと症状が進行します。
他にもフラフラしている、口を開けてハァハァとあえぐように呼吸をし、よだれが口から流れ出す、と行った症状や目や口腔粘膜が充血して脈拍・心拍数の増加、などといった症状がみられれば、熱中症を起こしている可能性があるのですぐに対処し、必要であれば受診しなければなりません。
夏バテになった時の対処法
◆冷やす
夏バテの原因は暑さですから、まずは部屋の温度を調節し、猫の体温が高いようなら正常な状態まで下げてあげます。
猫を涼しい場所に移動して水を飲ませ、体に水をかけます。猫は体が濡れることを嫌がるので、水をかけることが難しいようであれば濡れ手で猫の被毛全体を撫でても良いでしょう。
そして扇風機やうちわなどで風を送り、気化熱によって体温を下げます。
効果的に思われる氷水は、逆に冷たすぎて血管の収縮を引き起こすため、使わないようにしましょう。
◆食欲を増やす
食欲がないなら普段とは別のもの食べ物で興味を引かせ、少しでも食べてもらおうと考えがちです。
けれど暑さで胃腸が弱っている時に食べ慣れないものを与えると、更に消化不良を起こすこともあります。普段食べているものが一番です。
ただ、食欲増進のためにいつものフードに香りの良い物をトッピングするなどの工夫は効果的です。
少しの鰹節やまたたびなど、猫が喜ぶものをトッピングしましょう。またたびは食べるタイプのものチョイスして、与えすぎに注意しましょう。
またたびには猫の中枢神経を刺激する成分が含まれています。猫がまたたびの臭いを嗅いだり食べたりすると、人間がお酒で酔った状態と同じ様な感覚になります。急に甘えてみたり、ふらふら歩いたりといつもより違った行動をとり始めて嬉しそうに見えるのはそのせいです。
またたびは与えすぎると心臓に負担がかかり、呼吸困難になることがありますので、猫の負担にならないように与えましょう。またたびを与えた後に猫が嘔吐したり、明らかに体調に異変がみられる場合はまたたびが猫の体質に合わない可能性があります。初めてまたたびを与える際にはほんの少し与えるようにして、猫の様子をみてください。
◆水を飲ませる
猫は本来砂漠の生き物なので、あまり水を飲みません。嘔吐や食欲不振で脱水症状が心配な時は、猫に少しでも水を飲んでもらわなければ熱中症へと症状が進行してしまいかねません。
猫に水を飲ませるには少し工夫が必要です。
・水の容器を家のあちこちに置いておき、猫が好きな時に水を飲めるようにする。
・水はこまめに交換して新鮮なものを用意する。
・ごく少量の食用またたびを混ぜてみる。与えすぎには注意。
・水を入れる容器を変えてみる。
・流れている水を飲む猫は多いので、蛇口から水を飲ませたり、流水型の給水器を用意する。
夏バテにならないための予防法、おすすめグッズ
人が家にいる時は猫のために室温の調整をしてあげることができますが、猫だけで留守番する場合はそうもいきません。そんな時はあらかじめ夏バテの予防をする必要があります。
◆室温の調整
猫にとって快適な室内温度は27度前後。個体差があるので飼っている猫にとって適切な温度を知ることが大切ですが、人間にとって適温であれば問題ないでしょう。湿度を除くドライ機能や、部屋の窓を開けて扇風機で風の流れを作っても効果的です。
気をつけたいのはケージや寝床に直接冷風が当たらないようにすること。猫が自分で好きな温度の場所を選べるようにしてあげることが大切です。
カーテンを閉めて直射日光が部屋の中に入らないようにすると冷房効率も上がります。
もっと冷房効率を上げたいのであればカーテンボックスを設置してみるのもおすすめです。カーテンボックスとは、カーテンレール部分を覆うように取り付けるボックスのことで、カーテンと窓の隙間を完全に遮断し、冷暖房効率が抜群に上がり、夏場は外から熱気が伝わるのを防いでくれます。
カーテンレールは猫にとってもう一つ良いことが!カーテンボックスの上はちょうど猫がくつろぐスペースにぴったりなのです。DIY感覚で取り付けられるので一度試してみてはいかがでしょうか?
◆ひんやりグッズを利用
猫の暑さ対策グッズでおすすめなのは、アイスマットやアルミシートなど猫が乗るだけでひんやりできるアイテムです。手軽に導入できるので試して見てはいかがでしょうか?
ただしこれらのグッズは猫の好き嫌いがあり、「せっかく買ったのに全然乗ってくれない」、という悲しい結果になることも。極端な温度差があると、嫌う傾向があるようです。
何回か触らせて「ここは涼しいかも?」と猫に学習させるといいでしょう。普段から猫がくつろいでいる場所に設置すると、最初は警戒するかもしれませんが意外にすんなり受け入れてくれることが多いようです。
◆凍らせたペットボトル
水を入れたペットボトルを凍らせ、タオルで包んで寝床においておく方法。お金もかからず、簡単に作れてお手軽です。
保冷材は中身にエチレングリコールという中毒を起こす危険な原料が使われている事があり、猫がかじって中身を食べてしまうと、ふらつきや嘔吐、最終的には急性腎不全を引き起こしてしまう場合があるので使わない方が無難でしょう。
まとめ
これからますます暑くなる季節。猫は暑さに強いといってもやはり夏バテなどの体調不良を起こしてしまいがち。しかし猫はギリギリまで体調不良を隠してしまう動物でもあります。
猫の夏バテは食欲不振や嘔吐などの消化器系の症状が多いようです。暑さで食欲が落ちたり、嘔吐をしたりしている場合、受診を検討されたほうが良いでしょう。
厳しい夏を快適に乗り切って、素敵な猫ライフをお送りください。
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