1.猫は夜行性じゃないって本当?
1-1.猫は夜行性ではなく「薄明薄暮性」
1-2.猫が薄明薄暮性である理由は?
2.暗闇でも目が見える理由とは?
2-1.タペタム層のため
2-2.瞳孔を大きく変化させられるため
2-3.網膜の杆状体のため
2-4.視力が悪いため
3.猫が夜中に起こしに来る時の対策は?
3-1.猫が夜中に起こしに来る理由
3-2.対策①決まった時間に餌をあげるようにする
3-3.対策②寝る前にトイレ掃除をしておく
3-4.対策③日中や寝る前ににたくさん遊んであげる
3-5.対策④運動量を増やす
3-6.対策⑤多頭飼いをする
4.猫は夜行性にもなる?
4-1.人間の生活に慣れさせることで変わる
4-2.子猫の頃からゆっくりと
5.猫と夜行性のまとめ
猫は夜行性じゃないって本当?
猫は昼間には眠っていて夜になると活発になるイメージがあるので、夜行性だと思ってしまいますが、「猫は夜行性ではない」というのは本当のようです。
◆猫は夜行性ではなく「薄明薄暮性」
猫は夜行性ではなく、どのような行動様式なのかというと「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」です。薄明薄暮性とは、主に薄明(=明け方)と薄暮(=夕暮れ)の時間帯に活発に行動するようになる性質のことです。
猫が夜行性ではない理由として、実際には、暗くなり始めた時や早朝に動き出す薄明薄暮性であるから、ということが言えますね。
そのため、猫は明け方になると運動会をしたり、早朝から起こしに来たり、また夕方で薄暗くなってくると活発になって部屋の中を走り回ったりします。
人間にとっては、眠っている時に猫が活発に動き出すことが多いので、夜行性だという認識になってしまうのでしょう。
◆猫が薄明薄暮性である理由は?
猫が明け方から夕方にかけて行動が活発になる理由としては、猫の獲物の行動が関係します。
猫の獲物である鳥は薄暗くなると目が見えにくく捕まえやすくなり、ネズミは夜行性ですが日没直後と明け方直前に活発に動き出すので、捕まえやすくなります。
つまり、猫は獲物の行動する時間に合わせて猫も行動するといった理由で、薄明薄暮性になっていると考えられます。
また、猫はわずかな光でも対象物がよく見えるため、暗くても獲物を捕まえることができます。猫にとってはまわりが暗くても関係なく、普段のように行動できるということですね。
暗闇でも目が見える理由とは?
薄明薄暮性の猫が暗闇でも目が見える理由は、以下のようなものがあります。
◆タペタム層のため
猫の目には、目に入って来た光を反射する層があり、「タペタム層」と呼ばれます。このタペタム層が視覚細胞を二重に刺激するので、暗闇でもわずかな光があれば、対象物を知覚することができます。
この構造は、猫を始め、夜間の光が少ない時間帯に獲物を捕まえる夜行性の肉食動物や、深海にいる魚や生物、さらに原猿類などが持っている構造です。
猫のタペタム層は、一般的な動物よりも厚めになっています。この理由で、人間が対象物を見ることができる光量の6分の1ほどの光でも、猫は対象物が見えるとのことです。
◆瞳孔を大きく変化させられるため
さらに、猫はカメラの絞りに当たる瞳孔部分を大きく変化させることができます。
普通は丸い状態で瞳孔が開閉しますが、猫の場合は縦長の状態で開閉します。この猫の縦長の瞳孔は、丸いものよりもすばやく開閉でき、大きく開けられるということです。
明るい時には瞳孔が絞られて、縦長に細く、線のようになります。一方暗い時には大きく開いて、光を取り入れます。
猫の瞳孔の幅は、最小1mmから最大14mmほどと変化するのですが、眼球に対して変化する割合が、人間よりもずっと大きいと言えます。面積で言うと、縮んでいる時の135倍から300倍の大きさになることもあるとのことです。
この瞳孔の働きで、暗闇にも素早く対応できる理由になっていると考えられます。
◆網膜の杆状体のため
猫の網膜には、色を判別する錐状体という細胞と、白・黒を判別する杆状体という細胞とがあります。
猫は、暗くなってから活発に動く薄明薄暮性のため、獲物の色を識別することはあまり重要ではありません。そのため、猫は白・黒を判別する杆状体が錐状体よりも多くなっています。
猫の錐状体は1平方ミリあたり最大で2万6千個ですが、杆状体は1平方ミリあたり最大で46万個もあるということです。
このため、色があまりはっきりしない薄暗いところでも、猫は対象物が判別できて行動できるということです。
◆視力が悪いため
視力が悪いということが、猫が暗いところでも行動できる理由となっています。
猫は少ない光をできるだけ多く眼球に取り入れるため、水晶体と呼ばれるレンズの部分や角膜が発達しています。そのため、猫の目は横から見ると前に丸大きくせり出して見え、厚みがあります。
この目の構造によって屈曲率が大きくなるので、猫は近視となってしまっています。
猫は近視であるがために、目で見るだけでなく、音を聞いたり、感覚器であるヒゲを使って感じたり、さらに優れた動体視力によって獲物を捕まえます。
目だけに頼らないところが、猫が暗闇でも動ける理由になると考えられます。
猫が夜中に起こしに来る時の対策は?
猫が夜中に飼い主さんを起こしに来る時には、どのような対策をしたら良いでしょうか?
◆猫が夜中に起こしに来る理由
対策を取るには、その理由を見つけることが肝心です。
猫が夜中に起こしに来る理由として考えられるのは、次のことが考えられます。
・トイレを掃除してほしい
・遊び足りない
・昼間にたっぷり眠った
・寂しい、甘えたい
◆対策①決まった時間に餌をあげるようにする
お腹が空いていて飼い主さんを起こしに来る時には、与えている餌が足りない、食べてから時間が経っているという理由が考えられます。
猫が起こしに来るたびに静かにさせようと餌を与えていると、さらに寝ている飼い主さんを起こして餌をねだるようになってしまいます。
餌を与える時間を決めて、猫がねだったからあげる、という与え方をやめ、猫が起こしに来ても無視するといったことが大切です。
◆対策②寝る前にトイレ掃除をしておく
トイレが汚れている時に、綺麗にしてほしくて飼い主さんを起こしに来るという理由もあります。
夜中や明け方に行動している時にトイレに行こうとして、汚れていたためにトイレに入れなかったということになります。
トイレのために起こしに来る対策としては、飼い主さんが寝る前に、猫トイレを掃除しておくと良いでしょう。
◆対策③日中や寝る前ににたくさん遊んであげる
猫が遊び足りなくて、起こしに来ることもあります。また、飼い主さんが眠って相手をしてくれなくなるので、起こしに来ると言う理由もあります。
日中にはよく寝ている猫ですが、起きている時に遊んで相手をしてあげることで、夜中に暴れないようにしましょう。
夜も飼い主さんが寝るまでに、よく遊んであげたり、相手をしてあげたりするといった対策が良いでしょう。
◆対策④運動量を増やす
猫が日中にずっとすることがなくてたっぷり眠っていると、夜行性に近いライフサイクルになってしまいます。猫を昼行性にすることは難しいですが、飼い主さんの生活に合わせた時間帯の睡眠を取らせることもできます。
そのためには、日中に眠る時間を減らして、夜に眠るようにさせることです。
仕事で日中家にいない時には、帰って来てから猫と遊ぶということになります。運動を増やすだけでも、夜に眠ってくれるようになることもあります。
◆対策⑤多頭飼いをする
どうしても日中には相手ができないので寂しがるという時には、多頭飼いにするといった方法もあります。
ただし、猫同士の相性やごはんなどの費用負担など、良かれと思って行った多頭飼いが先住猫や飼い主さんの負担となってしまう可能性もあるでしょう。
多頭飼いは事前によく検討をしてから実行に移すようにしてください。
猫は夜行性にもなる?
猫の生活様式は、薄明薄暮性ですが、飼い猫になると人間の生活に合わせた生活になるため、夜行性にも近づけるし、そうでなくすることもできます。
◆人間の生活に慣れさせることで変わる
夜行性になる時には、日中にはほとんど眠ったり休んだりして、夕方から起き出して行動するという生活になります。
もし飼い主さんが夜型で、深夜まで起きて猫の相手をしていると、薄明薄暮性からより夜行性の生活パターンに近づいていくでしょう。
逆に、日中に活動させて、飼い主さんが寝るのと同じように眠るようにしておくと、人間とほぼ変わらないような生活パターンになる猫もいます。
人間と暮らして、人間の生活に慣れさせれば、昼に活動し、夜に眠るのを増やすこともできるということです。
◆子猫の頃からゆっくりと
夜行性に近い薄明薄暮性といった猫の習性は、本能から来ているものですから、無理やり変えようとするのは良くないと言えるでしょう。
猫が自然な行動として、日中にも活動することが増え、夜に眠ってくれるようになるのが理想です。
子猫のうちに人間の生活パターンに合うように暮らしていくと、夜は眠り、日中に行動してくれることが増える傾向になるようです。
猫と夜行性のまとめ
猫は、夕方から活動を始めるので、夜行性であると認識されていますが、厳密に言えば薄明薄暮性です。
薄明薄暮性の生き物は、うさぎ、ネズミ、シカ、スカンク、ハムスターなど、猫以外にもたくさんいて、野生の生活としては珍しくないものです。
猫は人間と暮らすことによって、薄暗くなった頃に活動することが問題とされるようになりました。しかし、猫にとっては本能から来る自然な行動なので、夜中に活発になっても仕方のないことだと言えます。
飼い主さんは人間の都合で猫を人間の生活に合わせようとしていることを理解しておきましょう。
猫が厳密には夜行性ではなく薄明薄暮性であるということは、明け方や夕方に活発になっても、深夜には眠るようにしてもらうことも可能であるということです。
人間と猫が一緒に暮らす時には、すぐに生活パターンに慣れてもらえないかも知れません。猫と人間との活動する時間帯にはズレがあって当然だとわかっていれば、夜に起こされたりする時の対策を取ることも仕方がない、と考えられるのではないでしょうか。
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