1.猫にきな粉を与えても良い?
1-1.きな粉に含まれる主な成分
1-2.期待できる効果は?
1-3.アレルギー
1-4.猫にきな粉を与えるデメリット
2.きな粉の与え方
2-1.キャットフードのトッピングとして
2-2.きな粉ミルク
3.きな粉を使った加工品
3-1.きな粉クッキー
3-2.きな粉餅
4.きな粉を与える時の注意点は?
4-1.砂糖が入っていないものを
4-2.大量に与えない
4-3.腎臓に病気のある猫には与えない
猫にきな粉を与えても良い?
はじめに結論から言うと、きな粉は猫に与えても大丈夫な食べ物です。
ここでは、きな粉に含まれる成分や期待できる効果などについて、ご紹介します。
◆きな粉に含まれる主な成分
きな粉は、煎って焼いた大豆を細かい粉にしたものです。したがって、主に含まれる成分は大豆と共通です。細かくなっている分、大豆よりも吸収しやすくなっています。
※以下の各成分の含有量は、「脱皮大豆」を原料とするきな粉のものです。
タンパク質
「畑の肉」と呼ばれることもある大豆は、植物性タンパク質が豊富です。当然、きな粉にも豊富なたんぱく質が含まれています。きな粉のタンパク質含有量は、100gあたり37.5gです。
タンパク質は、アミノ酸が多数つながったものです。アミノ酸は20種類ありますが、「必須アミノ酸」と言われる体内では合成できないものがあります。猫の場合、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、メチオニン、アルギニン、タウリンの11種類です。
きな粉には、100gあたり、フェニルアラニン2100mg、ロイシン3100mg、バリン2000mg、イソロイシン1900mg、ヒスチジン1200mg、トリプトファン520mg、リジン2000mg、メチオニン550mg、アルギニン2800mgと猫の必須アミノ酸の多くが含まれています。
脂質
大豆に含まれる脂質は、「多価不飽和脂肪酸」です。多価不飽和脂肪酸には、「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」があります。きな粉には、100gあたり13.61gの多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸1.96g、オメガ6脂肪酸11.65g)が含まれています。
また猫の場合、必須脂肪酸であるリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸を食べ物から摂取する必要があります。きな粉には、100gあたりリノール酸12000mg、リノレン酸2000mgが含まれています。
カリウム
きな粉には、100gあたり2000mgのカリウムが含まれています。
ミネラル
きな粉100gには、マグネシウム250mg、カルシウム180mg、リン680mg、鉄6.2mgなどのミネラルが含まれています。
亜鉛
きな粉100gには、4.0mgの亜鉛が含まれています。
食物繊維
きな粉には、100gあたり15.3mgの食物繊維が含まれています。このうち、12.9gが不溶性食物繊維、2.4gが水溶性食物繊維です。
◆期待できる効果は?
★タンパク質
タンパク質は、五大栄養素の一つであり、重要な栄養素です。筋肉や臓器、血液、皮膚、被毛など、体を作るうえで欠かせません。また、酵素やホルモン、免疫物質など様々な働きを持つ物質も、タンパク質でできています。
猫は、完全肉食動物であり、タンパク質を多く必要とするため、きな粉は良質なたんぱく源となり得ます。
★脂質
オメガ3脂肪酸は、酸素を体内で運搬する際に働きます。
オメガ6脂肪酸には、血中コレステロールを減らす効果があるほか、アレルギーの改善や、皮膚・被毛を健やかに保つ効果があります。
★カリウム
カリウムは主に細胞内に存在し、細胞外に多く存在するナトリウムとともに、細胞の浸透圧や酸・塩基の平衡維持という働きをします。また、心臓や筋肉の調節や神経刺激の伝達にも働きます。
利尿作用があり、腎臓におけるナトリウムの再吸収を抑制して、尿への排せつを促す作用もあります。この作用により、血圧を下げる効果もあります。
★ミネラル
マグネシウムは、代謝に関わるミネラルです。カルシウムやリンには、骨を強化する効果があります。鉄は、体内で酸素を運搬するヘモグロビンを構成する栄養素で、欠乏すると「鉄欠乏性貧血」になる恐れがあります。
★亜鉛
亜鉛は、主に、骨や肝臓、腎臓、筋肉などに存在します。猫の体内で、代謝や酵素の働きに関与しています。
新陳代謝に必要な酵素を作る成分で、タンパク質やDNAの合成に必要な栄養素です。また、味覚を正常に保つ働きもあります。そのほか、血液中のビタミンAの運搬にも欠かせません。
★食物繊維
水溶性食物繊維には胃腸の調子を整える効果があり、便秘防止などが期待できます。
また、水分保持能力が高く、消化管の内容物を粘らせてゆっくりと移動させる働きをします。これにより、ブドウ糖の吸収速度を抑え、食後の血糖値の急激な上昇を防ぎます。他に、コレステロールなどの有害物質を吸着して体外に排出する働きもあります。
さらに、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌のみに栄養源となるため、腸内フローラで善玉菌が有利に傾き、腸内環境が改善する効果も期待できます。
不溶性食物繊維は、大腸の蠕動運動を刺激して、消化器官の通過時間を短縮し、便通をスムーズにします。添加物などの有害物質を体外に排出するデトックス効果も期待できます。
◆アレルギー
どんな食べ物でも、span style=” font-weight: bold; color: #FF6347;”>食物アレルギーの原因(アレルゲン)となる可能性があります。重症のアレルギーの場合、命に関わる場合もあるので、注意が必要です。
初めて与える際には、少量にとどめ、アレルギー症状が出ないか注意深く様子を見ましょう。アレルギー症状が出たときに備えて、動物病院の診察時間内に与えると安心です。
アレルギー症状としては、
●皮膚のかゆみ
●嘔吐、下痢
●元気の消失
●目の充血
などがあります。
これらの症状が現れた場合には、獣医師に相談してください。
◆猫にきな粉を与えるデメリット
冒頭でお伝えしたとおり、きな粉には猫にとって有害な物質は含まれていないので、与えること自体にはデメリットはありません。
ただし、他の食材同様、与えすぎると猫の健康を損なう恐れがあります。ここでは、きな粉の与えすぎによる悪影響についてご紹介します。
◎タンパク質
タンパク質を過剰に摂取すると、腎機能障害や尿路結石、食物有害反応などを引き起こします。
猫は、腎単位であるネフロンの数が少ないため、腎不全になりやすいです。
◎カリウム
カリウムの過剰摂取は、血中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」の原因となることがあります。高カリウム血症になると、心臓の機能が狂い、脈拍が不規則になる不整脈を発生することがあり、重症になると心停止から死に至ることもあります。
◎脂質
脂質の摂りすぎは、肥満の原因となります。
◎食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けず、水分を吸収します。このため、過剰に摂取すると、うんちを硬くして便秘になる可能性があります。
きな粉の与え方
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では、きな粉はどのようにして与えるとよいのでしょうか?
ここでは、おすすめのきな粉の与え方をご紹介します。
◆キャットフードのトッピングとして
きな粉をキャットフードにトッピングする場合、むせてしまう可能性なども考慮して、水に溶いてからキャットフードにかけてあげるとよいでしょう。
◆きな粉ミルク
きな粉とヤギミルクを混ぜて、「きな粉ミルク」にして与えるのもおすすめです。
粉状のきな粉を液体の状態で摂取できるため、猫も、むせたりすることなく食べやすくなります。
ただし、猫は乳糖不耐性のため、牛乳を飲むとお腹を壊すことが多いです。牛乳できな粉ミルクを作るのは、やめておきましょう。
きな粉を使った加工品
◆きな粉クッキー
きな粉を練りこんだクッキーは、栄養も摂取できるおやつになるでしょう。最近は、無添加・無着色などのこだわりが詰まった商品も販売されています。
ただし、糖分の摂りすぎには注意が必要で、猫用のものを与えるようにしてください。
きな粉、薄力粉、油、水などを使って、飼い主さんが焼いてあげると、添加物や糖分の心配なく与えることができますよ。
◆きな粉餅
お餅は、粘りと弾力があるため、喉に詰まらせる危険性があります。また、きな粉を乗せると、むせてしまう可能性もあり、猫ちゃんが上手に食べられないかもしれません。
きな粉餅は、猫に与えない方がよいでしょう。
きな粉を与える時の注意点は?
◆砂糖が入っていないものを
砂糖の入っていないものを与えましょう。
市販の人間用のきな粉の中には、そのまま食べられるように味を調整したものがあります。これらの商品には、猫には過剰な量の砂糖が含まれているため、糖尿病や肥満につながる可能性があります。
砂糖の入っているきな粉は、決して猫に与えないでください。
◆大量に与えない
栄養価の高いきな粉ですが、前述の通り、過剰に摂取すると猫の健康に影響のある成分が含まれています。また、大量に与えると消化不良や嘔吐などの体調不良の原因になることもあります。
与える際には、少量にとどめておきましょう。
◆腎臓に病気のある猫には与えない
きな粉に豊富に含まれるリンは、多く摂取すると、腎不全を引き起こす可能性のある物質です。
腎臓に疾患のある猫やシニア猫には、与えない方がよいでしょう。
体調を崩した場合の対処方法は?
もし、きな粉を食べて体調を崩した場合には、原則として、動物病院に連絡して相談した方がよいでしょう。特にアレルギー反応が出た場合には、軽症でも獣医師さんの診断を受けてください。
嘔吐や下痢が一時的なものであれば、様子を見てもよいでしょう。ただし、繰り返す場合には、やはり動物病院を受診してください。
もし、食べた後に体調を崩した場合には、きな粉が猫ちゃんに合っていないと考えられるので、与えないようにしましょう。
まとめ
きな粉は、大豆を煎って焼いたものを粉にしているので、猫に与えても問題ありません。
きな粉にはタンパク質やミネラル、多価不飽和脂肪酸などが豊富に含まれており、猫にとっても栄養価の高い食べ物です。しかし、これらの成分には、過剰に摂取すると健康を損なうものもあるため、大量に与えないようにしましょう。腎臓に疾患のある子やシニア猫には、リンが豊富なきな粉を与えるのはよくありません。
また、砂糖の入った人用のきな粉は、絶対に与えないようにしましょう。
おすすめは、水で溶いてキャットフードのトッピングにしたり、ヤギミルクで溶いたきな粉ミルクにしたりしたものです。
栄養価の高いきな粉を上手に取り入れると、愛猫の食生活が豊かになるでしょう。
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