猫は豆苗を食べても大丈夫?豆苗は猫草の代わりになるの?

2021.10.04

猫は豆苗を食べても大丈夫?豆苗は猫草の代わりになるの?

栄養豊富でお手頃価格、豆苗はとても魅力的な野菜です。 巷では、猫草のように食べる猫もいるのだとか。 でも、そもそも猫が食べていいか…ちょっと心配ですよね。 今回は豆苗や猫草について詳しく考えてみましょう。

【目次】
1.猫に“豆苗”はOKなの?
 1-1.豆苗はエンドウ豆の若い茎と葉っぱ
2.猫に豆苗を食べさせるときの注意点
 2-1.まずはアレルギー確認を
 2-2.加熱して与える
 2-3.人間用に味付けされたものは食べさせない
 2-4.猫の気持ちに応じて、好みでなさそうなら無理に食べさせない
 2-5.ときどき“少量”を食べる程度に
 2-6.子猫&シニア猫に与えるときはよく観察を
3.豆苗の成分は?
 3-1.βカロテン
 3-2.タンパク質
 3-3.ビタミンK
 3-4.葉酸
 3-5.ビタミンA
 3-6.ビタミンC
4.豆苗を食べることは「猫草」代わりになる?
 4-1.猫草とは何の草なの?
 4-2.猫にとって猫草とはどんな役割がある?
 4-3.猫草の好みは猫ごとに違う
 4-4.豆苗と猫草は違う!代わりにはならない
5.まとめ

猫に“豆苗”はOKなの?

豆苗

まず、結論からいうと豆苗は猫が食べても大丈夫な野菜と言われています。

でも、「そもそも豆苗って何の野菜?」と、今更ながら思っている飼い主さんもいるかと思います。
スーパーでよく見かけるだけあり、知名度は高いです。
ただ、名前は知っていても「それが何なのか」が分からないまま猫に食べさせるのも不安かもしれません。

そこで、まずは豆苗についてお話していきます。

◆豆苗はエンドウ豆の若い茎と葉っぱ

“豆の苗”と書く豆苗。

実は、豆苗は「豆に成長する過程」の苗の状態なのです。
エンドウ豆の「豆」の部分を発芽させると茎と根が出てきます。
それを成長させたのが豆苗です。

スーパーで売られている豆苗は、根元に豆がついたまま。
でも、調理するときには下部分をカットして、上の部分を食べます。

豆苗は再生栽培ができます。
切り取った豆と根の部分を水にさらしておくと、数日で再び成長していきます。
何度か食べられるなんて、お得感のある野菜ですね。


猫に豆苗を食べさせるときの注意点

豆苗には健康維持に役立つ成分が多く、とても魅力があります。
しかし、人間と猫とでは体の構造も違いますから、同じような食べさせ方をするわけにはいきません。

そこで、猫に豆苗をあげるとき、知っておきたい注意点をいくつか挙げていきます。

◆まずはアレルギー確認を

豆苗に限ったことではないですが、初めての食べ物はまずは「少し与えて異変がないか」を確認してくださいね。

食べ物によるアレルギー症状には、
・消化器官の異常から起こる「吐く・下痢」
・皮膚に「発疹・かゆみ」

などがあります。

嘔吐や下痢は比較的発見しやすい症状かもしれません。
でも、皮膚の炎症は被毛に隠れて気づきにくいこともあります。
特に、初めて豆苗を食べた直後は様子を観察してあげてくださいね。

◆加熱して与える

豆苗には「不溶性食物繊維」が豊富です。

ただ、“不溶性”ということからも分かるように、水に溶けづらく消化不良を引き起こすことがあります。
そもそも猫は肉食動物で消化不良を起こしやすい体質です。
そのまま、生の豆苗を食べ過ぎることで胃腸に負担になる可能性があります。

また、豆類で気になるのは「レクチン」という毒素の存在です。
レクチンは熱を加えることで流れていくため、加熱すれば不安は解消されます。

もともと、豆苗は発芽の段階でレクチンが分解されて量が減ると言われています。
ただ、ほんの少量だとしても、猫にとっては体へ異変をきたすケースもあります。
「猫と人間の体格の差」のことを考えておかなくてはなりません。

人間なら生で食べて害がなくても、猫の小さな体にとっては少量でもリスクがある可能性も考えられます。
リスク回避のためには、加熱した方が安心でしょう。

まとめると、
・そもそも豆苗は消化しにくい野菜
・肉食の猫は消化不良を起こしやすい
・少量とは言え、生の豆苗はレクチンが心配

という考えから、生よりも加熱して茹でた方が猫の体には負担が少ないかと思われます。

◆人間用に味付けされたものは食べさせない

良い意味でクセになりそうなシャキシャキ食感がある豆苗。
サラダに入れてドレッシングをかけると美味しさアップです。
豆苗の製造会社でも、さっと水洗いするだけで食べられるとサラダレシピも紹介されています。

お肉と一緒に炒めて味付けするのも美味しい調理法です。

ただ、人間用に味付けされた豆苗には、塩分や油分などが混ざっています。
調味料は猫の体にはよくありません。

飼い主さんの食事中、猫に豆苗を催促されたとしても、味付けされたものは与えないようにしてくださいね。

◆猫の気持ちに応じて、好みでなさそうなら無理に食べさせない

豆苗を食べたときに「美味しい!」と思うか、それとも「ちょっと苦手…」と思うかは、猫ちゃんの個体差によります。
食べさせた後の反応をチェックし、もし好みでなさそうなら、あげない方がいいでしょう。

豆苗は「猫が食べても大丈夫」ですが、「必ず食べなければならない」という食材でもありません。

嫌がっているのに食べさせようとするとストレスとなるので、気をつけましょう。

◆ときどき“少量”を食べる程度に

アレルギー症状がなく、「豆苗を気に入っている様子」が見られたら、たくさん食べさせたくなりますよね。

でも、「毎日のように食べさせる」や「キャットフードにたっぷりとトッピング」という食べ方は消化不良の原因になります。
健康的で元気な猫ちゃんでも、お腹を壊すかもしれません。

ときどき少しだけ食べさせるような頻度にしておきましょう。

◆子猫&シニア猫に与えるときはよく観察を

生の豆苗は消化があまりよくありません。
加熱すればやや消化がよくなるとは言え、それでも消化不良に気をつける必要があります。

体が未発達の月齢の浅い子猫や、消化器官が若いときよりも衰えているシニア猫の場合、豆苗は消化しづらい可能性が高いです。

与えるのであれば、「ごく少量だけをたまに…」というように、頻度を減らすといいかもしれません。

また、そのときの体調によって変化は違うため、食べた後の様子もじゅうぶんに観察しましょう。


豆苗の成分は?

次に豆苗を構成している成分についてです。
豆苗には、健康を助けてくれる効果の成分が満載です。

◆βカロテン

豆苗には、抗酸化作用の強いβカロテンという成分がたくさん入っています。
小松菜と同じくらいの含有量です。

また、βカロテンは体に入った後に“必要に応じて”ビタミンAへと変換される成分です。

主に、皮膚や粘膜の維持に重要な働きをしてくれます。

◆タンパク質

体を構成する主要な成分のタンパク質も豆苗には含まれています。
日々の健康のための重要度の高い成分です。

◆ビタミンK

骨を強化する機能を持つビタミンKも豊富です。
出血したときに血液を固める働きもあります。

◆葉酸

葉酸は、ビタミンB群のひとつで赤血球の形成のサポートをする働きがあります。

◆ビタミンA

老化を促進させる活性酸素を取り除く働きがあります。
抗酸化作用が期待できるのが成分です。

◆ビタミンC

ビタミンCは、体内で皮膚や骨の健康に必要なコラーゲンを作るときにも役立つ成分です。
また、体に入ってきたウイルスや細菌と戦い、免疫機能を高めてくれます。


豆苗を食べることは「猫草」代わりになる?

豆苗

豆苗の見た目は“豆”というよりも“草”に近いイメージから、「猫草の代わりになるのでは…?」と思う飼い主さんも多いかと思います。
はたして、豆苗は猫草の代わりにしても大丈夫なのでしょうか?

◆猫草とは何の草なの?

猫草は、「猫草」という草の種類があるわけではなく、「猫が食べる草」の全体を指します。

猫草には、いくつかの種類があります。

・えん麦
猫草の定番「えん麦」は、ペットショップなどでよく見かける猫草です。
細長く先が尖った形の葉っぱが特徴的。
「どんな猫草を食べさせたらいいの?」と初心者の方に選ばれることが多いです。

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・大麦
人間の食べ物にもなじみがある「大麦」も猫草の種類のひとつです。
ややソフトな食感で、シニアの猫ちゃんには食べやすいでしょう。

・ハトムギ
猫草のなかでも、珍しいのがハトムギです。
人間のお茶にも使われていて、香りもとても良いです。

・エノコログサ
別名「猫じゃらし」と呼ばれる「エノコログサ」も猫が好んで食べる草です。
ただ、エノコログサは若葉のときに食べ、猫が喜ぶ「猫じゃらし」状態まで育ったものは遊ぶ方がメインとなります。

◆猫にとって猫草とはどんな役割がある?

肉食の猫がむしゃむしゃと草を食べるのは何だか不思議な感じがしますよね。

「猫草を食べる理由はコレだ!」という明確なものは分かっていません。
そこで、考えられている説をいくつか見てみましょう。

・毛玉を体内から出すため
胃に溜まった毛玉を吐くことが目的ではないかという説があります。

自分の被毛をペロペロと舐めていつも清潔感を保っている猫。
でも、舐めていると毛を飲み込んでしまい、それが消化不良で体内で毛玉化することも。

猫草のチクチクした先端が胃の壁を刺激して吐こうとしている可能性もあります。

・気分転換に食べているだけ
ペットとして人間と生活する猫は、お肉や魚の香りが漂うキャットフードが大好きです。

そんななか、猫草の香りは気分転換になるのかもしれません。
草の香りが漂い、自然感もありますよね。
「ここに来ると落ち着くかも~」というように、遊びに飽きたときやストレスが溜ったとき、気分転換にふと立ち寄りたいスポットになっているのかもしれません。

それに、猫草の葉っぱはいつも食べているキャットフードとまったく違う食感。
すんなりと食べることができるキャットフードと違い、「むしゃむしゃ」「クチャクチャ」という感じで食べています。
私たち人間がホッと一息つくときのガムやアメのような感覚なのかもしれませんね。

・快便を期待している
便通をよくするのも猫草を食べる目的のひとつと考えられています。

お腹に溜まった猫草は「吐いて体外へ出す」ほか、それほど大きくなければウンチと一緒に出すとすっきりとします。

でも、肉食の猫は食物繊維が足りずに便秘になりやすい体質…。
猫草の食物繊維による快便効果で、便秘を予防できるのではないかと言われています。

◆猫草の好みは猫ごとに違う

「猫草が大好き!!」と夢中になる子もいるでしょう。
逆に、猫草を与えても「興味ないよ…」と知らんぷりをする子もいるかと思います。

毛玉や便秘などを予防するなら食べてほしい感じもしますが、猫草の「好き・嫌い」は個体差があるので、それほど気にしなくてもいいでしょう。

毛玉問題に関しては、ブラッシングを頻繁にすれば飲み込む毛の量をおさえることができます。

便秘予防なら、食物繊維に配慮したキャットフードを選ぶという方法もあります。

猫草は猫の暮らしの必須アイテムではないため、猫ちゃんの気持ちに応じて与えることが大事です。

◆豆苗と猫草は違う!代わりにはならない

見た目の雰囲気が似ているものの、豆苗は猫草の代わりにはなりません。

マメ科のエンドウ豆の若菜が豆苗ですから、イネ科の猫草とはまったく違う植物です。

また、猫草は“猫用”として販売されています。
日常的に猫が食べても問題のない前提で売られている植物です。

それに対し、豆苗はもともと人間をターゲットとした野菜のため、猫が常用する猫草としては不向きです。

猫草が好きな猫は、毎日の習慣としてむしゃむしゃとたくさん食べます。

「大量・生のまま」で消化不良を起こす豆苗は猫草代わりにするのはリスクがあるのでやめましょう。


まとめ

今回は、猫にとっての豆苗についてまとめてみました。

豆苗のひょろっとした丈の長い見た目は、猫草ととてもよく似ています。
猫草の代わりにすれば、健康効果も期待できそうな感じもするかもしれません。
でも、豆苗と猫草は植物の種類も違い、代わりにすることはできないため注意しましょう。

豆苗は猫が食べても問題のない野菜ですが、猫の体にとっては消化不良の原因になることもあります。
豆苗の特徴をよく理解するとともに、猫にあげるときの注意点もおさえておくことが大事です。
豆苗を食べさせるときは、「ときどき・少量・加熱する」を意識するといいでしょう。

猫が豆苗を美味しそうに食べてくれる姿はとてもかわいいものです。
初めてあげるときには、まずは食べた後の様子をしっかりとチェックしてあげてくださいね。



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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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