1.猫は古代エジプト発祥?エジプトと猫の関係
1-1.古代エジプト⽂明において家畜化された
1-2.猫はとても⼤切に扱われた
1-3.エジプトから世界に広まったといわれている
2.現代もエジプトでは猫が⼤切にされている?
2-1.猫はイスラム教において敬愛する存在
2-2.コロナ禍には遺棄される猫が増えてしまった
3.エジプト原産の猫の種類
3-1.エジプシャンマウ
3-2.アビシニアン(諸説あり)
3-3.スフィンクスはエジプト原産の猫種ではない
4.まとめ
猫は古代エジプト発祥?エジプトと猫の関係
まずは猫の歴史について、振り返ってみましょう。
猫の祖先は「ミアキス」と呼ばれる動物です。見た目はヒョウやイタチのような姿をしており、樹木の上で生活し、鳥や小動物を捕らえて生活していました。
ミアキスには様々な種類がおり、犬と猫の共通の祖先だとされています。
ミアキスは、およそ4000万年前までに、猫の系統と犬の系統に分かれ、猫は単独で狩りをする動物、犬は集団で狩りをする動物として、それぞれ進化していったと言われています。
そして、各地に広がっていった猫の中で、中東の砂漠で暮らすようになったリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコ)という種類がおり、これが、現代の家庭で飼われている「イエネコ」の祖先だと言われています。
◆古代エジプト⽂明において家畜化された
では、猫が人間と暮らすようになったのは、いつからなのでしょうか。これは約5000年前の古代エジプトの時代だと言われています。
当時のエジプトでは、ナイル川流域の農地で農耕文化が発展し始めていましたが、収穫した穀物がネズミによって食い荒らされる問題があり、人々は頭を悩ませていました。
その頃、野生の猫(リビアヤマネコ)が、ネズミなどの害獣を食べるために穀物倉庫に住み着くようになりました。
やがて、そのネズミ駆除の目的で、猫が家畜化され、人間と共に生活するようになったそうです。これが人間と猫の歴史の始まりだと言われています。
約3600年前の絵画には、人間と猫が暮らす様子が描かれているそうです。
◆猫はとても⼤切に扱われた
古代エジプトにおいて、猫は、とても大切に扱われました。
猫は穀物を荒らすネズミを退治するために、人々の間で重宝され、「守護の力」を持つ動物とも言われました。現代のようなペットというよりは、信仰、崇拝の対象であり、神の化身、神聖な存在として扱われていたといえます。
オス猫は、エジプト神話における「太陽神ラー」の象徴、メス猫は「女神バステト」の象徴と言われていたそうです。
当時のエジプトでは、王様や貴族などが亡くなると、遺体をミイラにして、十分な食料、衣類、家具などや、動物のミイラと共に、棺に入れ、手厚く埋葬しました。
動物のミイラには、猫の他に、犬、ハト、ヘビなどがいたようです。亡くなった人が「来世で復活できるように」との祈りを込めて、動物のミイラが入れられたもと言われています。
当時の絵画や壁画、彫像等にも、猫が表現されているものが多く、古代エジプトにおける猫の存在の大きさを感じ取ることができます。
◆エジプトから世界に広まったといわれている
猫はエジプトからどのようにして世界に広まっていったのでしょうか。
古代エジプトでは、猫を国外に持ち出すことは固く禁止されていました。
しかし、ローマとの戦争に敗れた後、エジプトはローマ帝国の支配下に置かれるようになりました。
そして、ローマ軍が世界に進軍するに伴い、兵隊たちの食料をネズミから守るために、猫が一緒に連れて行かれました。その中には、一部、脱走した猫もいました。
そして、脱走した猫が、森林や高地に生息していたヤマネコと交配して、ヨーロッパ各地へと猫が広まっていったのではと言われています。
現代もエジプトでは猫が⼤切にされている?
このように、「猫の発祥の地」とも言えるエジプトでは、現代でも、猫を大切にする風潮が受け継がれているようです。
エジプトでは猫が生活に溶け込んでおり、道端や街の商店の中に猫がいることもそれほど珍しくないようです。
◆猫はイスラム教において敬愛する存在
エジプトで猫が大切にされてきた背景には、イスラム教の影響も大きいようです。
イスラム教の預言者ムハンマドは猫好きであり、「猫への愛は信仰の一側面である」との言葉を残したそうです。
猫を迫害することや殺すことを、禁じていたとも言われています。
また、猫はきれい好きでグルーミング(毛づくろい)を熱心に行う習性があります。
そのため、他の野生動物と比べて、いわゆる「獣臭さ」がなく、清潔であるということも、エジプトの人々に歓迎される要素の一つであったと言われています。
◆コロナ禍には遺棄される猫が増えてしまった
このようにエジプトで古くから大切にされてきた猫ですが、コロナ禍においては、悲しいことに捨てられてしまう猫も一部いたようです。
「新型コロナウイルスが猫を介して人に感染するのではないか」と考えた人々が、飼っていた猫を手放してしまったのです。
一度、飼い猫として生活した猫が、路上で生活することは極めて困難ですので、辛く苦しい思いをした猫も多かったことでしょう。地域の保護団体などが、猫の保護に追われるといった事態もみられました。
コロナ禍でのペットの飼育放棄については、残念ながら日本でも発生しており、新聞やテレビ等でも報道されました。どの国においても、適正飼養・終生飼養の考え方が浸透して欲しいと願うばかりです。
エジプト原産の猫の種類
エジプト原産の猫には、どのような種類がいるのでしょうか。
◆エジプシャンマウ
北斗さんちの夢羽ちゃん|ペットスマイルより
「エジプシャン」とは「エジプトの」、「マウ」とはエジプトの言葉で「猫」という意味です。
古代エジプトの壁画に残されている猫の特徴を基に、繁殖、改良されました。細身の体に、アーモンド形の目、細かい斑点模様(「スポッテッド・タビー」と呼ばれます)が特徴です。
この斑点模様は、交配で作られたものではなく、自然発生のものと言われています。
毛色はシルバー、ブロンズ、ブラックスモークがあり、被毛は滑らかな光沢のある短毛です。
性格はおとなしく、慎み深く、少し神経質な面もあると言われています。
◆アビシニアン(諸説あり)
アビシニアンは、原産国がはっきりしていない猫です。
エジプトが有力との説もありますが、エチオピア、またはイギリスとも言われています。「アビシニアン」という名前は「アビシニア」という現在のエチオピアの古い地名から来ています。
毛色はルディ、レッドソレル、ブルー、フォーン、シルバーなど様々な色が確認されています。毛の一本一本に縞模様が入っており、毛先ほど色が濃くなっているのが、大きな特徴です(「ティックドタビー」と呼ばれます)。
性格は甘えん坊で、鈴を転がすようなきれいな鳴き声がとても魅力的です。
また、真偽のほどは定かではありませんが、クレオパトラに愛された猫とも言われています。
◆スフィンクスはエジプト原産の猫種ではない
スフィンクスという、全身の被毛とひげのない、特徴的な猫種がいます。
エジプトといえば「スフィンクス像」(人間の頭とライオンの胴体を持つ怪物)を連想する方も多いかもしれません。
そのため、猫のスフィンクスも、エジプト原産だと思うかもしれませんが、実はカナダ原産の猫なのです。
見た目がエジプトのスフィンクス像に似ていることから、その名前が付けられたという説もありますが、定かではありません。
まとめ
猫とエジプトは、とても関わりが深く、古くからの歴史があります。
現代の猫(イエネコ)の祖先は、大昔に砂漠で暮らすようになった「リビアヤマネコ」だと言われています。
古代エジプトでは、ナイル川流域で農耕が行われており、ネズミなどの害獣の被害から収穫した穀物を守るため、猫が家畜化されました。
エジプトでは、猫は神聖な動物として人々から崇拝され、王様や貴族が亡くなった際には、ミイラとして共に埋葬されました。
当時の絵画や壁画、彫像等にも、猫が表現されているものが多くあり、人々の生活との関わりの深さが伺えます。
エジプト人の間で猫が大切にされてきた背景には、イスラム教の影響もあるようです。現代でもエジプトでは、猫を大切にする風習が残っています。
エジプト原産の猫種としては、有名なものでは、エジプシャンマウ、アビシニアン(※諸説あり)が知られています。いずれも個性的な見た目で、美しい被毛を持ち、人気の高い猫です。
スフィンクスは、エジプト風の名前のようにも思えますが、エジプト原産の猫種ではありません。
この記事が猫の歴史とエジプトとの関わりについて、知っていただくきっかけになれば幸いです。
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