猫の骨格について
猫好きの皆さんでも、猫の骨格については、普段あまり意識することが少ないのではないでしょうか。「骨格」という言葉を聞いても、いまひとつイメージが湧きづらいかもしれません。
骨格は体を支え、動かすために、とても重要なものです。
猫の骨格には、他の動物と異なる様々な特徴があります。猫は、高いジャンプ力や、素早いパンチをする瞬発力、自由自在に体を曲げる柔軟性などを持っていますが、このような猫特有の様々な動きは、骨格によって支えられているとも言っても過言ではないのです。
以下では、猫の骨格の具体的な特徴について見ていきましょう。
◆猫の骨の数
猫の骨の合計数は、約250本です。頭蓋骨から、尾椎(びつい:しっぽの骨のこと)にいたるまで、バランスの取れた骨格をしています。個体によって、尾の長さが異なるため、骨の合計数には若干のばらつきがみられます。
◆猫の歯
猫の歯は、肉食動物に独特の形をしています。犬の歯と似ている部分もありますが、犬よりも肉食傾向が強いため、肉を切り裂く臼歯(裂肉歯)が丈夫です。
猫は生後約2~3週で乳歯が生え始め、犬歯、切歯、臼歯の順で、生後約8週目までに26本が生えそろいます。そして、生後3~6か月で永久歯に生えかわります。永久歯は、切歯が上下6本ずつ、犬歯が上下2本ずつ、前臼歯が上6本、下4本、後臼歯が上下2本ずつの計30本あります。
猫の骨格の役割
骨格にはどのような役割があるのでしょうか?骨格とは、多数の骨から組み立てられる、体を支える構造のことです。その骨格に、様々な筋肉が付着することで、体は走ったり転んだり、前後左右に曲げたりなど、様々な運動をすることができます。哺乳類や鳥類、魚類など脊椎動物の骨格は「内骨格」と呼ばれ、体の内部にある骨の外側に、筋肉が付着しています。
また、骨は、体の構造を支えるだけでなく、やわらかい内臓を保護する、カルシウムなどのミネラルを貯蔵する、骨髄で血液を作るなど、動物が生きていく上で欠かせない、大切な役割があります。
猫がしなやかな動きをする理由
皆さんは、猫の体の柔らかさに、驚いたことはありませんか?猫は、とてもしなやかでスムーズな動きをする動物です。一体なぜ、このような動きが可能なのでしょうか。猫の体の各部分について詳しく見ていきましょう。
◎つま先、足
猫は、常にかかとを浮かせてつま先立ちで歩いています。足底には柔らかくて弾力性のある肉球があります。そのため、獲物に音を立てずに近寄ることができ、とっさの瞬発力にも優れています。
◎胸椎、腰椎、尾椎
脊椎(背骨)を構成している骨のことを「椎骨(ついこつ)」といいます。椎骨は、脊椎にかかる負担をやわらげると同時に、脊椎が動くことを可能にしています。猫には、この椎骨(胸椎、腰椎、尾椎)が多数あるため、胴体の柔軟性が非常に高いです。
◎鎖骨
猫の鎖骨は退化し、代わりに筋肉だけで前足と肩甲骨がつながっているため、肩の可動性が高く、器用に動かすことが可能となっています。
●猫は猫背なの?
背中を丸めて歩く人の様子を指して「猫背」と言ったりしますよね。これは文字通り、猫が体を丸める様子に由来していると言われています。猫は、狩りをするときや、恐怖心、警戒心などが高まったとき、背中を丸めることで、自分を大きく見せようとします。ジャンプをしたときには、背骨のしなやかさを生かし、体を丸めることによって、着地の衝撃を和らげることもできます。しかし、猫はいつも猫背というわけではありません。時には、体をピーンと伸ばすこともあります。
猫と人間の骨格の違い
猫と人間は、どちらも哺乳類に属する動物ですが、その骨格は少し違っています。
以下では、猫と人間の骨格の特徴について簡単に比較してみます。
◆骨の数
人間の骨の数は、成人では約206個です。一方で、猫の骨の数は、しっぽ(尾)がある分、人よりも多く、約250本です。※尾の長さによって、骨の数に若干のばらつきがあります(後述)。
◆肩の部分(鎖骨)
人間の肩関節では、鎖骨と胸骨からなる「胸鎖関節」と、鎖骨と肩甲骨からなる「肩鎖関節」など、いくつかの関節が複合的に動くことによって、肩の動きを可能にしています。一方で、猫の鎖骨は退化しているため、鎖骨は関節を持っていません。代わりに、筋肉だけで前足と肩甲骨がつながっています。これにより、肩の可動性が高くなり、猫は前足を器用に動かすことが可能となっています。
◆尾の部分(尾椎)
猫のしっぽ(尾)は、人間にはない特徴で、可愛らしいチャームポイントでもありますよね。尾は、平衡感覚に関わっています。走るときやジャンプをするときにバランスをとる、不安定な場所で体勢を安定させるなどの、大切な役割があります。
本来、猫の尾は長いものですが、日本やアジア圏では短い尾の個体もいるため、尾椎の数は4~26個と幅があります。
猫のボディタイプが6種類ある
猫の「ボディタイプ」という言葉を聞いたことがありますか?猫には様々な品種(猫種)がありますが、体型は6種類のボディタイプのいずれかに分類されます。猫にも個体差があるため、厳密な分類ではありませんが、骨格や体つきの一つの目安になります。以下では、それぞれのボディタイプの名称と主な特徴について紹介していきます。
オリエンタル
6つのボディタイプの中では、一番スリムでスラっとした体型です。くさび型の小さな頭に、大きな耳、細くしなやかな胴、長い四肢とムチのような尾が特徴です。
コビー
丸さが特徴的な体型です。胴が短く、肩や腰幅も比較的広いがっしり型で、筋肉質です。頭部は丸く、短めの尾と、短く丸みのある足先をもっています。
セミコビー
全体的にはコビーに似ていますが、コビーに比べて四肢、胴、尾がやや長いです。足先には丸みがありますが、コビーほど大きくはありません。運動神経が良いという特徴があります。
フォーリン
スラリとスマートな体型ですが、オリエンタルと比べると、筋肉質でそれほど極端に細くはありません。
セミフォーリン
オリエンタルとコビーのちょうど中間に位置する体型です。頭部は丸みのあるくさび形で、ボディはやや短くずっしりしています。フォーリンと比べて足が短く、肉付きがよいので、ずっしりとした雰囲気です。
ロングアンドサブスタンシャル
上記の5つのボディタイプのいずれにも属さないタイプです。「ロングアンドサブスタンシャル」とは、ボディが「長く、がっしりした」という意味です。
まとめ
骨格とは、多数の骨から組み立てられる、体を支える構造のことを言い、骨格と筋肉が組み合わさることで、体は様々な動きをすることができるようになります。猫の骨は、人間よりも数が多い約250本で、肩や尾(しっぽ)の部分の骨格の構造には、他の動物とは異なる特徴があります。これによって、猫の大きな特徴である、高いジャンプ力や、素早いパンチをする瞬発力、しなやかで柔軟な動きなどが可能になっています。
世界には数多くの猫種がいますが、猫のボディタイプはわずか6種類に分類することができます。猫種の違いだけでなく、ボディタイプの違いにも注目すると、猫を見るのがより一層楽しくなるかもしれませんね。
この記事では、普段は知る機会が少ない「猫の骨格」について解説しました。皆様が猫の体のことをもっと知っていただくきっかけになれば嬉しいです。
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