猫のジャンプ力はどれくらい?
猫は成長するに連れてジャンプ力も高くなるので、子猫のうちには低い所しか行けず、ほとんど登れなかった高さに、いつのまにか一回のジャンプで登れるようになっています。
実際にはどれくらいの高さまでジャンプできるようになっているのでしょうか。
◆猫のジャンプの高さは1m超え!?
猫のジャンプ力は、猫の体高の約5倍の高さを飛べるほどであると言われています。
猫の平均の体高が25cmから30cmほどなので、5倍の高さとなると1.25m~1.5mほどにもなります。
猫によっては2mほど飛べるものもいるそうで、体高が25cmほどの猫であればその10倍近くもジャンプ力があるということです。人の身長を軽く超えるくらいの高さを飛べるほどジャンプ力がある猫もいる、ということになりますね。
◆色々な場面で発揮される猫のジャンプ力
1.25mから1.5mほどのジャンプ力であれば、猫はダイニングのテーブルや洋服棚の上などは軽く登ってしまえるということになります。
実際にテーブルなどに登って、いたずらをしてしまう猫はたくさんいますよね。中には高いジャンプ力を駆使して、エアコンの上やロフトの上に登ってしまう猫もいるようです。
また、飼い主さんが猫じゃらしで遊んでいる時にも、猫のジャンプ力の高さに驚くことがあるでしょう。
実際、垂直跳びで1mを超える高さに達するジャンプ力がありますので、一緒に遊んでジャンプさせてあげているうちに、びっくりするほどの能力を見せてくれることもあるのではないでしょうか。
猫のジャンプ力が高い理由は?
猫のジャンプ力の高さの理由としては、次の4つが考えられます。
◆木に登って獲物をとる生活をしていた
猫の祖先は砂漠で暮らしていたリビアヤマネコとされていますが、それより古い猫の祖先は、森で暮らしていました。木に登り高いところで待ち伏せをしたり、木から木へ飛び移ったりして、獲物を捕っていたと考えられます。
獲物を取るためにはより高い場所に登る必要が出てくるほか、天敵から逃げるためにもジャンプ力が必要だったでしょう。
そのため、高いところに登るという行為は猫にとって自然な行動であるということです。
◆後ろ足の筋肉が発達しているため
猫が自分の体高の5倍ほどの高さも飛べるジャンプ力があるのは、後ろ足の力がとても強いためです。
猫の後ろ足の筋肉は「速筋」と呼ばれる筋肉で、瞬間的にとても強い力を出すことが出来ます。
この筋組成が後ろ足に多いために、猫は高い木に飛びついたり、獲物にジャンプして飛びかかったり、短い距離を全力で走る、といった行動が得意になりました。
猫の後ろ足は、前足に比べると長めになっています。この長い後ろ足をバネのように深く折り曲げて伸ばすことで、1.5mほどの高さに達するジャンプが出来ます。
◆背骨に柔軟性があるため
猫の背骨は短い円柱状の脊髄がたくさん連なって出来ていますが、この背骨はとてもしなやかに曲がり、弓のように丸めたり、真っ直ぐに伸ばしたりすることが出来ます。
これは骨と骨の間の靭帯や、背骨と背骨の間にある椎間板と呼ばれる軟骨が非常に柔軟だからです。
後ろ足の力に加えて、この背骨をバネのように動かすことで、猫は高さのあるジャンプ力が出せるということです。
◆平衡感覚が優れているため
猫の耳の中には、バランスを司っている「前庭神経」と聴覚を司っている「聴神経」があります。
前庭神経は「三半規管」という器官と連結していて、頭や顔の重力に対する向きを自動的に計算し、体が倒れないように調整してバランスを保っています。
猫が高い所に登る時はもちろん、降りる時にも、この三半規管が働いています。
そのため、高いところから飛び降りても、無事に着地できるのです。無事に降りることが出来なければ、高いところには怖くて登れませんよね。
ただし、上に上がるジャンプ力と、降りる時の能力はまた別なので、猫が高い所に登れても怪我をしないわけではありません。
猫のジャンプ力が低下する理由は?
前は軽々と高いところに登れていた猫があまりジャンプしなくなった場合、様々な要因が考えられます。
猫のジャンプ力が前よりも低いと考えられる原因は、次のようなものです。
◆猫の老化のため
猫が低いところにしか行かなくなって、高いところに行かないようになった時には、猫の年齢を考えてみましょう。
7歳を過ぎれば、老猫、シニア猫と呼んでも良い年齢です。老化のため筋力が落ちるだけではなく、歯が抜けてきたり耳が聞こえにくくなってきたりします。さらに視力も悪くなってきて、高い場所へ登るための見当がつきにくくなっています。
運動することも少なくなり、じっとしていることが増え、筋力も低いので、高い所に登るジャンプ力が衰えてきてしまうのです。
また、猫じゃらしで遊んでいる時にも、低い位置にある時には反応しても、飛び上がって遊ぶことが少なく、高さのあるジャンプが出来なくなっていることがあります。
猫も歳をとってくれば、人間と同じように様々な運動能力が低下するということです。
◆足などを怪我しているため
歳をとっていない猫に、ジャンプ力が落ちたなという状態が見られたら、足などを怪我していたり、何か病気になって具合が悪かったりする可能性があります。
猫が、今まで飛び上がっていた高い場所に行かなくなったり、ジャンプするのをためらったりすることがあれば、猫をよく観察してみましょう。怪我であれば、足の捻挫や骨折の可能性や、爪に何か問題があるかも知れません。
◆病気などで体調が悪いため
足以外にもどこか痛いところがあれば、ジャンプすることが減ると考えられます。
ジャンプ力が落ちるほどの病気であれば、様々なものが考えられます。
貧血、膵炎、心筋症、リンパ腫、感染症、猫風邪、腎不全、気管支炎、白血病など、また緑内障といった目の病気、中耳炎という耳の病気でも、猫は元気がなくなってあまり動かなくなります。
猫が、低い所にしか移動しなくなり、高さのある所に行かなくなれば、何か猫に変化があったのだと推測して、猫の様子を気にかけてあげましょう。
◆慢性痛で体に痛みを感じている
猫が高い所にジャンプできなくなる原因に「慢性痛」というものがあります。慢性痛は、猫が長い期間、体のどこかに痛みを感じているという状態です。
具体的な行動としては、高い場所に行けるジャンプ力がないだけでなく、登った場所から降りられなかったり、降りる時のジャンプで失敗したりします。
猫の慢性痛は、何か病気や怪我が原因の場合と、老化で感じる場合がありますので、何か異変を感じたら、動物病院で健康診断をしてもらうと良いでしょう。
◆運動不足や肥満のため
普段から運動不足で、高いところにも登らないでいると、当然、もともとはあったジャンプ力も低下していきます。さらに肥満になることで、もっと運動不足になり、高い所にも登れなくなります。
太ってしまえば、ジャンプで高い所に登れなくなるだけではなく、飛び降りることも出来にくくなります。
体がうまく動かせなくなる、ということだけでなく、飛び降りる時に着地に失敗して足を痛める可能性があるからです。
猫が安全・楽しくジャンプするために飼い主さんができること
◆キャットタワーなどでジャンプできる環境を整える
猫には上下運動が必要とされていますので、高さのあるキャットタワーなどを置いて、登っても良い場所を作り、ジャンプ力が発揮できるようにしてあげると良いでしょう。
猫が上り下りする時に、ジャンプしない場合も考えて、低い位置にもステップがあるキャットタワーもおすすめです。
猫が登りそうな高さの場所の上には、物を置かないようにして安全にしておいてください。
◆普段の生活に上下運動を取り入れる
猫のジャンプ力を低下させないためには、日頃から運動させて、食事の習慣を見直してあげる必要があります。
日々の運動不足を解消させるために、「猫の生活に必要なものを高さのある場所に置く」という方法があります。例えば、餌や水の置き場所や外が見える場所を、猫のジャンプ力で楽に登れる高さにしてあげることです。
普段の生活にジャンプが取り入れられると、上下運動が出来て、運動不足の解消につながります。
ただし、若い猫や成猫、肥満気味の猫に有効で、老猫や体の弱った猫には向いていません。老猫や体の弱った猫、子猫には、ジャンプ力が無くても快適に過ごせるようにしてあげてくださいね。
◆障害物のない場所で遊んであげる
猫と猫じゃらしで遊ぶ時にも、猫のジャンプ力が発揮されます。猫が思い切りジャンプしても大丈夫な状態にして遊んであげましょう。
猫がぶつかったり、着地した時に怪我をしたりしないように、床の上や低い場所の障害物などを片付けておいてください。
◆安全に降りれるようステップを用意する
猫が飛び降りた時にも怪我をしないように、ステップを作って、低い場所も用意してあげましょう。
猫が登るような高さの家具があれば、降りる時に階段状になるようにしたり、ボックスなどを置いたりして、段階を踏んで降りられるようにしてください。
猫のジャンプ力についてのまとめ
体とジャンプ力から考えると、猫は人間には到底出来ないほどの高さを飛べるということが分かりました。
猫にジャンプ力があるのは、身体能力が高いことはもちろん、高い所に登ることが猫の生活にとって自然なことであるという理由もあります。
野良猫であれば、高い位置にいる猫は、低い位置にいる猫よりも優位性が高い、つまり強いということになります。猫が高さのある場所から下を眺めたいというのも、本能からくるものと言えるでしょう。
猫の魅力であるジャンプ力を楽しみながら、猫が安全にジャンプして過ごせる環境を作ってあげてくださいね。
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