【掲載:2016.10.26 更新:2024.11.21】
猫の瞳孔は縦に細い
哺乳類には様々な瞳の形が見られます。同じような動物でも、瞳や瞳孔の形は、その生態によって大きく異なってきます。同じイヌ科の動物でも犬と狐では瞳孔の形が違ってきます。犬は人間と同じ丸い瞳孔、そして狐や蛇はネコと同じような縦長の細いスリット状の瞳孔を持ちます。
網膜には桿(かん)体細胞と錐(すい)体細胞の2種類の視細胞があります。丸い瞳孔を持っている動物の網膜には錐体細胞が多く、縦長の細い瞳孔を持つ動物の網膜は桿体細胞が発達しています。
桿体細胞、錐体細胞ってなんだ?と調べてみますと・・・。
網膜にある桿体細胞と錐体細胞は視神経を経由して大脳に視覚情報を送ります。桿体細胞は光に対する感度が高く、暗い場所で物を見る機能を発揮します。錐体細胞は明るい場所で機能し、光に対する感度は低いのですが、物をはっきり見る、色を感じる、といった働きを持ちます。
桿体細胞の数は錐体細胞よりも数が多く、網膜の周辺部に集まっています。錐体細胞は黄斑部(網膜の中心部で、視細胞が密集している部分)に存在します。
ふむふむ。まとめると次のようになるのでしょうか。
・網膜に錐体細胞を多く持つ丸い瞳孔の動物は、明るいところで物をはっきり見ることができ、色も認識するが、暗いところではあまり物を見ることができない。
・桿体細胞が多い縦長の瞳孔の動物の網膜は、暗いところでも光を感じて物をはっきり見ることができる反面、色を感じ難い。
縦長の細いスリット状の瞳孔を持つ動物は猫などの夜行性の動物、ということですね。
猫の縦長の瞳孔の働きは?
瞳孔はちょうどカメラのレンズの絞りに相当します。カメラのレンズは絞りを絞ることでピントの合う距離が広くなり、絞りを開けばピント位置以外のボケが大きくなります。
猫や狐、蛇などの縦長の瞳孔を持つ動物は、縦方向にレンズを絞って縦に広くピントを合わせ、さらに左右の目を使って立体的に物を見ることで、対象物との距離感をうまく捉えることができます。
待ち伏せをして狩りを行う動物にとって、獲物との距離感を掴むことは重要な要素です。
猫のように木の上などの高い場所や狭い藪の中で獲物を待ち伏せする動物にとって、縦に広くピントを合わせられることは理にかなっていると言えます。
縦に長いスロット状の瞳孔は、丸い瞳孔よりも素早く開閉ができます。同時に縦に長く開閉できることから眼球に入ってくる光の量を微調整することに優れています。
この瞳孔の働きによって、猫は夜の暗がりの中でも微量な光を捉え、また昼間の強い光をさえぎることもできるのですね。
瞳孔は猫の気持ちを代弁!
猫の瞳孔の動きを調節しているのは瞳孔括約筋と瞳孔散大筋いう二つの筋肉です。
瞳孔を細く絞る瞳孔括約筋はリラックスした時に優位になる副交感神経が支配します。細くなった瞳孔を再びまん丸に開く瞳孔散大筋は、緊張した時に優位になる交感神経に支配されます。
つまり、猫の瞳孔が細くなっている時はリラックスしている時。反対に大きく開いている時は猫が驚き、緊張している時と言えるでしょう。
ただし同じような緊張状態でも、狩りの時は獲物にピントを合わせるために瞳孔は細くなっているはず。瞳孔が丸い時は恐怖や驚愕、興味津々、といった気持ちでしょうか?
猫の瞳孔は最小1mm以下!細いですね!!最大では14mm程。黒目がちの猫は可愛いのですが、実は当の猫は何かに怯えている時なのかもしれません。文字通り目を丸くして驚いている?
まとめ
いかがでしたか?
めまぐるしく物事が変化する様を「猫の目のよう」と例えられています。
また昔は、猫の目は時刻で変化すると信じられていて、「六つ丸く 五七卵に 四つ八つは 柿の核なり 九つは針」「六つ丸く 四八瓜実 五と七と たまごなりにて 九つは針」と歌に歌われてもいました。
何にしても猫は昔から人と密接な関係を持ち、その瞳の大きさを間近で観察できるほどだったのですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。