猫で表現される粋な俳句8選!猫が季語に登場するって知ってた?

2019.06.19

猫で表現される粋な俳句8選!猫が季語に登場するって知ってた?

俳句には五七五の17音から始まり、季語を含むというルールがあることはご存知ですよね。そんな日本独特の俳句の世界には、なんと驚くべきことに「猫」という言葉が季語に登場しているものもあります。娯楽も情報も少なかった時代に、どのような猫が俳句で詠まれていたのか調べてみましょう。

なぜ「猫」が俳句の中で詠まれる?

横を向く猫

昔から人と共存し、生きてきた猫。猫は、人からご飯をもらう代わりに、人が大切に保管している穀物を食べてしまうネズミを退治するという、双方の利害関係が一致した特別なパートナーでした。

しかし、猫の性格はアマノジャクで、人にご飯をもらう時ばかりはべったり甘えてみせ、お腹が満足するととたんに手のひらを返したように、ツンデレな態度をとります。そして、かわいがっていた猫にも発情期が来てしまえば、見たくなかった野生の部分を嫌というほど見せつけられます。

そんな猫のギャップが、俳句に活用されやすかったのです。


季語として使われる「猫」の意味は?

くっついて眠る二匹の猫

猫は春先に発情期を迎えると、まるで人間の赤ちゃんのような大きな鳴き声で相手にアピールします。メスを求め、春先の夜でも昼間でもあちらこちらで、オス同士まさに生死をかけた戦いをしているのです。

その鳴き声を受けて、俳句の中では、相手を思い恋い焦がれ、恋愛という狂態を演じているような様を「猫」で表現しているのです。

「猫」という一文字ではなく、「恋猫」や「猫の恋」とわかりやすく表現されているものもあります。


松尾芭蕉が詠む猫の俳句

「俳句」といわれて、真っ先に思い浮かべる俳人と言えば「松尾芭蕉」ではないでしょうか。そんな松尾芭蕉の俳句の中にも猫が登場してくるので、いくつかご紹介します。

◆猫の恋 やむとき閨(ねや)の 朧月

季語:猫の恋(初春の季語)

先ほどまで聞こえていた騒がしい猫の発情期の鳴き声が止んだ。そんな中、朧月の光が部屋に差し込み、芭蕉自身も人恋しく感じてる…という春の夜の様子を表した俳句です。閨(ねや)とは、寝るための寝室を表した言葉になります。

◆またうどな 犬ふみつけて 猫の恋

季語:猫の恋(初春の季語)

またうどは「全人」と書き、真面目で正直な人という意味になります。この俳句では犬の事を指し、間抜けた律義さで門の護衛をしている犬を、恋に狂った猫が踏みつけて走り去っていった様子を表す俳句です。犬と猫の性格の違いを滑稽に詠んだものとされています。

◆麦飯に やつるる恋か 猫の妻

季語:猫の妻(初春の季語)

これはひなびた田舎のメス猫の話です。普段麦飯しか食べさせてもらっていないため痩せてしまっているメス猫ですが、恋の季節ともなれば、痩せているのに食欲を失い、なお一層恋にまい進してしまう、という猫の健気さを冷かしている俳句になります。

◆猫の妻 へついの崩れ より通りけり

季語:猫の妻(初春の季語)

ある男が女の元へ通うときに、門を通らず築地の破れから通ったという話を聞いた芭蕉が、主人公を「猫の妻」に置き換え、破れ築地を「へっつい(昔の台所のかまどの事)」に変え、こっけいな様を笑っている俳句です。


小林一茶が詠む猫の俳句

松尾芭蕉より100年ほど後に活躍している小林一茶は、生涯2万句を超える俳句を残しました。その中で猫の俳句は340句もあるといわれています。

小林一茶が詠む猫の俳句をいくつかご紹介します。

◆団栗(どんぐり)と はねつくらする 子猫かな

季語:団栗(晩秋の季語)

どんぐりと遊んでいる子猫があまりにも幸せに見え、いつまでもこの幸せが続いていけば良いなと一茶の優しいまなざしで子猫を見つめている俳句です。

◆鳴く猫に 赤ん目をして 手毬かな

季語:手毬(新年の季語)

新年に子供たちが手毬をしているそばで、籠に入っている子猫が遊んでとニャーニャー鳴いているが、子供たちは手毬に夢中で赤ん目を猫に向けている。そんな子猫と子供たちの可愛らしいやりとりを詠んでいる俳句です。

赤ん目とは、アッカンベーのようなしぐさを表しているようです。

◆猫の子の ちょいとおさえる 落葉かな

季語:落葉(三冬の季語)

子猫が舞い落ちてきた落葉をチョコンと押さえる可愛いしぐさを愛おしく思い詠んだ俳句です。子猫の愛くるしさは昔も今も変わらない情景なのですね。

今はすぐにスマホで動画や写真を撮っておきますが、昔はその一瞬を俳句の中で表現したようです。素晴らしい感性ですね。

◆今の世や 猫も杓子も 花見笠

季語:花見(晩春の季語)

猫も杓子もには「誰もが、どんな人でも」といった意味があります。この俳句は、誰もが花見を楽しんでいるといった様子をシンプルに詠んだものになります。


まとめ

いかがでしたか。

松尾芭蕉や小林一茶などの名前は有名ですが、そんな歴史的な俳人も猫の俳句をこんなに詠んでいたとは知りませんでした。俳句の中に出てくる猫はどれも自由奔放に生きていて、昔も今もずっと変わらない生活をしているということがわかり、猫のたくましさが俳句から伝わってきますね。



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nanatsu

nanatsu

猫は子供の頃からずっと一緒で、大人になった今でも猫を4匹飼っております。保護猫活動のお手伝いもしておりますので、一日が猫に始まり猫で終わるという生活になりつつある今日この頃です。


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