ネコノミ・マダニとは?
◆春~夏にかけて活発になる「ネコノミ」
ネコノミは、その名のとおり猫につく寄生虫です。大きさは1〜3mmで、猫だけでなく人間の血も吸います。
猫がノミに血を吸われると、とても強い痒みを感じます。それだけでなく、病気の症状が出ることもあります。
ノミは自分の体長の約100倍の高さを飛び跳ねることが出来ます。ぴょんぴょん飛んで、猫同士や飼い主さんに移って吸血します。メスだけが血を吸う蚊とは違って、ノミはオスもメスも吸血をします。
ネコノミの繁殖は春から夏にかけて、気温があがり湿度も高くなってくる時期です。この条件でいうと、室内は常に繁殖できる環境なのです。
ネコノミは猫の体の表面でも活性化して、卵を産みます。卵→幼→さなぎ→成虫と、4段階の成長過程があります。駆除や予防をしてもなかなか防げないのは、この4段階の成長過程により、駆除剤や予防剤によっては効果がない時期があることが理由です。
卵は2日ほどで孵化して幼虫になり、そのまま猫の体表で生活して1〜2ヶ月生きます。幼虫は血を吸わず、成虫が消化したものや猫の食べかす、フケなどを食べます。
人に寄生して繁殖することはありませんが、刺されると蚊よりもはるかに痒く、皮膚に跡が残ってしまう場合もあります。そこからさらに感染症などの病気にかかる恐れもあります。
◆外に出る猫ちゃんは「マダニ」に特に注意!
マダニは蜘蛛の仲間で、足を8本持った節足動物です。大きさは2、3mmですが、吸血すると膨れて、1cmを超えるほどになる場合もあります
成虫は草むらや山中の茂みの中など、自然の中に生息しています。山の中だけではなく、人が普通に生活する公園や河原や庭にもいます。植物の葉にくっついて、近づいて触れた動物の体に移ります。そして宿主となった動物の血を吸います。
つまり、外に出る猫はいつでも寄生される可能性があるということです。また、マダニに寄生されたことで、感染症など他の病気にかかる可能性も出て来ます。体につかないように予防するには「猫をマダニのいる場所には行かせない」ことが最大の予防になってきます。
マダニの吸血は約1週間続き、その後猫から離れて脱皮する休眠期間という時期に入ります。脱皮後また別の宿主を見つけて寄生し、これを一生のうちで3回行います。
3回目の寄生までにマダニは交尾して、その後卵を産み、産んだ成虫はそのまま死にます。卵は1から2ヶ月で孵化して、また宿主を見つけて成長していきます。
冬の間は、落ち葉などの下で隠れて休んでいるマダニですが、種類によっては季節に関係なく活動することもあります。
どんな症状が現れる?ネコノミの見つけ方
◆ネコノミの場合の症状
血を吸われたところがとても痒くなりますので、猫は体をかきむしるようになります。
また、痒くなるだけではなく、他の色々な病気の原因にもなります。
・皮膚病・アレルギー性皮膚炎
ネコノミ皮膚炎という病気があります。激しい痒みを感じて、症状としては皮膚が赤くなり湿疹や脱毛が起こります。
猫がアレルギー性皮膚炎になると、少しの寄生でも症状が悪化してしまうことがあります。
・瓜実(ウリザネ)条虫
ネコノミが媒介する代表的な寄生虫です。猫の下痢や嘔吐などの病気を引き起こします。
・マイコプラズマ感染症
ネコノミが媒介すると言われている病原体です。赤血球を壊すので、貧血になったり、呼吸を苦しそうにしたりします。
・貧血
血を吸われるので、貧血になります。特に体の小さな子猫は、たくさんのノミに寄生されると重度の貧血になってしまいます。
◆猫についたネコノミの見つけ方
猫が体をかきむしるようになった時の見つけ方として、
・肉眼で成虫や卵を確認する
・濡れティッシュなどで猫の体を拭いてみると血の染みがつく
という見つけ方があります。また、ブラッシングをしている時などに体表で動く成虫を見つけることもあります。
ただ、ネコノミの成虫を駆除しても、卵や幼虫の状態で猫の体についていることがあります。成虫を駆除しても、その後に成虫になったネコノミを見つけることもあるということです。
なかなかネコノミそのものが見つけられないことも多くあります。そんな場合は、
・発疹(赤い小さな斑点)が体の表面にないか
・脱毛していないか
を見てみましょう。猫の体表に発疹や脱毛があれば、寄生されている可能性があります。病気になって症状が出る前に早めに見つけてあげましょう。
どんな症状が現れる?マダニの見つけ方
◆マダニの場合の症状
マダニに噛まれた部位の痒み・炎症が起こります。多くは猫の耳や顔の近くなど柔らかい場所に、成虫が噛み付いたままで見つかるのですぐにわかります。
離れたあとには、小さな傷があり血が滲んだりしているので、猫の体表を観察しましょう。
マダニに血を吸われると、貧血を起こしたり、感染症などの二次的な病気にかかることがあります。ひどい場合は麻痺の症状が出ることもあります。また、発熱したり、動きが鈍くなったり、いつもより元気がないように見えます。
駆除しても、血を吸われた傷から感染症などを起こして二次的に病気になってしまうこともあります。マダニそのものがいなくなっても、猫の症状には注意して見ていましょう。
・猫ヘモバルトネラ症
発熱、貧血、黄疸、などの症状がでます。リケッチアという血液に寄生する細菌が原因です。
◆猫についたマダニの見つけ方
マダニはお腹・顔の周り・耳・脇など、皮膚の柔らかいところにつきやすいです。外に出ていた猫が帰って来たら、その部位をよくチェックしましょう。
その場所に傷があったり、小さい粒のようなものがついていたりしたらマダニを疑いましょう。すでに吸血して膨れていれば、すぐに肉眼で見つけられます。
ネコノミ・マダニの駆除方法、その費用は?
◆ノミの駆除方法
・ノミ取り用の櫛で取る
取ったノミを潰してしまわないように注意してください。卵が飛び散ってしまいます。ただ大量にいる場合は、このやり方で駆除は仕切れないでしょう。
・ノミ取りシャンプーで洗う
シャンプーで猫を洗うとネコノミの糞や卵も落とせます。体表に成虫が残っていると、時間がたつと復活してしまうので(殺せるわけでは無い)、シャンプー後に櫛などで取り除く必要があります。櫛購入費用は1000円以内、シャンプーも1000円前後から購入できます。
・駆除剤を使う
猫の首の後ろの付け根などに垂らすものがあります。1000円〜1500円ほどで一回分が購入できます。
◆マダニの駆除方法
猫についているマダニを見つけた場合、無理に剥がそうとしてはいけません。噛みついたマダニの口の部分が体内に残り、そこからさらに炎症を引き起こすこともあるからです。
アルコール液をかけたり線香の火を近づけたりしてからピンセットで取る・目の細かい櫛で取るなどのやり方が広まっているようですが、どれもマダニを殺してしまうと、血を吸う口の部分が猫の皮膚に食い込んだままになることが多いです。そのままにすると、マダニの体内にある病原菌から猫が感染症を起こして、さらに病気になってしまう可能性があります。
マダニを駆除する際は、専用のグッズを使うか、慣れていない場合は無理に取らず猫を動物病院に連れて行くのが安全です。もしすでにマダニが取れてしまった場合も、傷からの感染症を防ぐため、気づいてから24時間以内に動物病院で診てもらいましょう。
●おすすめ商品
マダニの形態的特徴を考慮した形状で、マダニを引っ張るのではなく、回転させることにより、簡単に取り除くことができる器具です。
ネコノミ・マダニの予防薬の費用は?
ネコノミの予防として、猫の首の後ろや尻尾の付け根に垂らして使う、スポットタイプの薬が主流です。一回分1000円〜1500円からあります。
継続的に使用する必要があるので、1年を通してセット購入などをすれば、結果として費用を安くすることもできます。
マダニの予防としても、液状の薬をつけるタイプが主流になってきています。これをつけていると、噛まれてもマダニの方が死んでしまうというものです。1ヶ月に一度、定期的に滴下して使用します。一回分1000円〜1500円から購入できます。
動物病院では、猫に投与して半年間効果が続く注射や、飲み薬などの処方もあります。こちらの費用はかかりつけの病院で確認してみてください。
費用については、初診料とそのほか処置した場合の料金、薬が処方されればその料金がかかります。もし他の病気が見つかれば、その診断と治療にも費用が発生します。
ネコノミ・マダニを予防する方法は?
◆外に出さない
予防する方法として、一番はまず猫を外に出さないことです。室内飼いを徹底すれば、多くの場合は防ぐことができます。
予防のためには、ほんの少し庭に出すということでも運んでくる可能性があるので、出さない方が無難です。野良猫や他のペットなどとの接触も避ければ予防になります。
人がノミやマダニを衣服などにつけて帰宅した場合に、猫につくこともあります。
草むらなどに行った時は、衣服をすぐ洗濯しましょう。靴や鞄などに虫がついていないかも、確認したほうが良いでしょう。
◆室内を常に清潔にする
掃除も、効果的な予防方法です。
人が使っているシーツやタオル類もしっかり洗濯し、掃除機内のゴミ袋も早めに処分することで駆除につながり、室内の繁殖を防ぐことができます。
室内用の駆除剤を巻いて、ある程度時間を置いてから掃除機で吸い取るという方法もあります。駆除剤を撒けないベッドなどの場所は、ドライヤーや布団乾燥機で乾燥させて死滅させてから、掃除機で吸い取ります。
飼い主さんが掃除をすることで、予防の効果が高まります。駆除剤や乾燥機などの費用がかかったとしても、痒みや病気を猫に味わわせるよりはずっと良いでしょう。
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