1.猫が家の中で暴れる原因は?
1-1.野生の名残
1-2.ストレス
1-3.狩猟本能
2.暴れる猫を落ちるかせる方法は?
2-1.猫とたっぷり遊ぶ
2-2.猫のストレスの元を除く
2-3.猫の睡眠リズムを人間型に合わせる
2-4.猫の首の後ろを掴む
2-5.無視する
2-6.アイテムを使う
3.興奮しすぎる場合は病気の可能性も…
4.猫が暴れる時にしてはいけないこと、注意点
4-1.暴れる猫に近寄らない
4-2.騒がない
4-3.叩かない
5.まとめ
猫が家の中で暴れる原因は?
今までおとなしくしていた猫が、まるでスイッチが入ったように暴れることを「真空行動」と言います。猫飼いさんは「夜の運動会」と呼ぶ、あの大騒ぎのことです。
猫が急に家中で暴れるにはいくつかの原因があります。
1. 野生の名残
猫は本来夜行性で、暗くなってから狩りに出かけていました。猫の体は昼間たっぷり休息をとり、夜の狩りに備えてエネルギーを蓄えるメカニズムになっています。
しかし、ペットとして飼われている猫は、昼間に寝ることでせっかく蓄えたエネルギーを発散させる機会がありません。しっかりと食事を与えられて暮らしている家猫には、夜、狩りに出かける必要がないからです。
真空行動は蓄積されたエネルギーがあふれそうになると、突然暴れ出して一気に発散させるための代償行動だと考えられています。多頭飼育では、猫たちがうなり声や雄叫びをあげながら、いっせいに暴れることもあります。
2. ストレス
猫は規則正しい生活を愛し、環境の変化を嫌います。大きな環境の変化(引越し、部屋の模様替え、赤ちゃんの誕生、新入り猫など)だけでなく、些細な環境の変化(飼い主さんの出勤・帰宅時間の変化、飼い主さん自身のストレス、家族の喧嘩)にも敏感です。
ひどく暴れるほかに噛みついたり、引っ掻く、粗相、夜鳴きなどの問題行動が見られる場合は、猫が大きなストレスを感じ、溜め込んでいる可能性があります。
3. 狩猟本能
家猫になったとはいえ、祖先はれっきとした狩猟動物。昔から常に獲物がいないか、外敵に襲われないか、気持ちを張り詰めて生活してきた猫です。
野生の頃は暗くなった時間帯が狩りの時間となっていたため、現代でも夕方から夜にかけて猫の体内時計が「狩りの時間だよ」と告げるのでしょう。獲物はいないか、敵はいないか、パトロールに出かけてしまうのです。
家の中なのに、お父さんの足を獲物と間違えたり、自分が倒したゴミ箱が大きな敵に見えたり…。猫はどんどん興奮して大暴れの騒ぎになってしまいます。
暴れる猫を落ちるかせる方法は?
興奮して暴れる猫は飼い主さんでさえ少し怖く感じてしまうほど。早く落ち着かせたいのだけれどどうすれば良いのでしょう?
叱ったり、大きな声を出して怒るとさらに猫の気持ちを煽ってしまい、ますます興奮させて暴れることになりかねません。しつけだから、と闇雲に叱るより、興奮させない工夫をしましょう。
◆猫とたっぷり遊ぶ
就寝前に猫とたっぷり遊びましょう。猫じゃらしなどを使って、猫の溜まったエネルギーを思いっきり発散させてあげます。
猫は瞬発力に優れた速筋系の動物です。短時間でも激しい運動をすれば、筋肉の中にすぐ乳酸がたまるという体質を持っています。乳酸は疲労物質の一種なので、寝る前に体内に適量の乳酸をためておくとスムーズな眠気につながり、眠りも深くなるでしょう。
運動することでさらに興奮して暴れることもあるので、猫の心身のクールダウン時間を含めて、寝る1時間前に10~20分程度、たっぷり猫を遊ばせましょう。
◆猫のストレスの元を除く
ストレスが原因で猫が暴れる場合は、しつけよりも先に猫のストレスの元を除きます。
まずは猫が安心して住める環境を整えることが大切です。狭い飼育環境や、他の同居猫との険悪な関係から生じるストレスが、問題行動の原因になっていることが多いからです。
窓から外の様子を観察できる場所、それぞれの猫が安心して過ごせる場所があると猫は喜びます。そしてエネルギーの発散ができて満足するようにいろいろな遊びを取り入れ、猫とたくさん遊びましょう。
ストレスが原因の場合は、しつけよりも猫の気持ちを満足させることで噛み付いたり暴れるといった問題行動を防ぐことができます。
◆猫の睡眠リズムを人間型に合わせる
「昼間に寝て夜中に活動する」という猫の生活リズムを、人間のリズムに合わせてしまう方法もあります。
猫は昼間に寝て、薄暗くなってから活動するという夜行性の生活リズムを持っています。この生活リズムを「昼間に活動して夜中に寝る」という人間的な昼光性に変えてしまうのです。
日が暮れたら猫のいる部屋の照明を落として薄暗くします。そうすることで脳内に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌され、その作用で深部体温が低下し、体が休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。メラトニンの分泌は主に光によって調節されているので、夜中に強い照明をつけたままにしていると体内時計の働きが乱れてメラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
猫に速やかに寝てもらうためには、日没後は照明を弱くする方が良さそうです。猫を夜しっかり眠らせることもしつけの一部と考えましょう。
◆猫の首の後ろを掴む
猫は首をつかむとおとなしくなるとされています。これは、母猫が外敵から子供を守るため子猫を口でくわえて移動することからも分かるように、母猫に首をつかまれている時、子猫は声を押し殺し、背中を丸め、母猫が運びやすいように静かにしています。この習性を利用し、首の後ろを掴むことで猫に苦痛を与えることなく動きを抑制することができます。
猫の首の後ろをつかむ行為は虐待だという意見もあります。確かに成猫は体重があるので、首の後ろを掴んで持ち上げると猫に苦痛を与えるばかりか、首に異常が発生する場合もあります。
ただし、つまんだり優しく撫でるだけなら大丈夫ですし、リラックス効果もあります。しつけの時に上手に組み入れたい方法です。
◆無視する
飼い主さんが興奮して暴れる猫を相手にあたふたと戸惑う様子を見て、猫はますます興奮するのかもしれません。暴れる猫をかまうことなく、完全に無視してみましょう。猫はつまらなくなって、自分からすぐに暴れることをやめてしまうかもしれません。
◆アイテムを使う
猫が暴れる、噛み付くといった問題行動を防ぐためのしつけ用のアイテムが販売されています。しつけの際に上手に取り入れると飼い主さんの負担が減りますね。
興奮しすぎる場合は病気の可能性も…
猫が甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能低下症という病気にかかっている場合、訳もなく夜中に暴れまわるという行動が見られることがあります。この場合はしつけよりも内科的な治療が必要となってきます。
もし、寝る前の遊びを十分行っているにもかかわらず、いつまでも猫が暴れるようであれば一度健康診断をかねて、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。
・甲状腺の腫れ
・体重減少
・落ち着きが無くなる
・水を頻繁に飲む
・おしっこの量と回数が増える
・嘔吐
・下痢
・毛艶の悪化
・高体温
・不整脈
・心筋症
・甲状腺の腫れ
・神経過敏
・常にそわそわする
・ぐったりする
・筋肉が震える
・骨密度の低下
・ふらふら歩く
・筋肉が収縮やけいれんを繰り返す
猫が暴れる時にしてはいけないこと、注意点
◆暴れる猫に近寄らない
興奮して暴れている最中の猫は大変危険です。野生の本能がむき出しになっていて、飼い主さんにも本気で噛み付いたり引っ掻いたりしてくることがあります。
猫の興奮が冷め、おとなしくなってから猫を触るようにし、上で挙げた「猫の首を掴む」方法も、猫があまりにも暴れるときは絶対に行わないでください。
◆騒がない
猫が暴れて興奮しているときに飼い主さんの手や足にじゃれついてきたら、低く静かに「痛い!ダメ!!」と言ってすばやく手足を引っ込め、その場を離れて猫が落ち着くのを待ちましょう。「痛い!噛まれた~!」と大騒ぎしていると、猫は構ってもらえたと勘違いしてますます興奮して暴れることになってしまいます。
また、大声を出しすぎると、猫が飼い主さんの声に恐怖感を抱き、嫌われてしまうことがあります。
◆叩かない
痛いことをされたから、あるいはしつけのためといって、猫を叩くのは厳禁です。叩かれたことに恐怖を感じ、信頼関係が崩れてしまいます。「人間の手は痛いことをする」と覚えると、今度は本気で攻撃してくるかもしれません。
まとめ
猫の運動会は微笑ましい反面、暴れる猫のせいで部屋が散らかったり騒がしかったり、あまり喜ばしいことではありません。興奮して勢いづくのか、布団の中の足にまで噛み付いてきたり。子猫の場合は歯も爪も細く鋭いので、本当に痛い…。
叱っても効果がないことはわかっているので、諦めて放置してしまいたくなりますね。けれど、噛んだり引っ掻いたりといった問題行動は、根気よくしつけて改善しておきたいものです。
しつけ用のアイテムなどを上手に使い、飼い主さんも猫もハッピーな気持ちで解決しましょう!
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