猫が手や足を噛む理由は?噛んでくる時の対処と噛み癖の治し方

2024.09.11

猫が手や足を噛む理由は?噛んでくる時の対処と噛み癖の治し方

かわいい猫ちゃんも時に困った行動をとることがありますね。その中でも飼い主さんの手や足を噛むことは、代表的な問題行動の一つです。楽しいペットライフのためには、手や足を噛む行動はしてほしくありません。もし、猫ちゃんが噛み癖を持っていたら、その理由を分析して正しく対応してあげることで、噛み癖は直していくことができます。

【掲載:2018.07.04  更新:2024.09.11】

猫の攻撃行動にはどんなものがある?

鳴いている白い子猫

噛むという行動は攻撃行動です。動物の攻撃行動は、おおまかに次のような理由に分類されます。

・優位性攻撃
社会的地位が上位である個体が取る行動です。「自分の方が偉い」と思っている猫は、飼い主さんを攻撃することがあります。噛み癖がある猫の理由として代表的なものです。

・なわばり性攻撃
なわばりを守るための攻撃です。

・痛みや恐怖による攻撃
防衛的攻撃行動です。自分の身を守るためのものです。

・転嫁性攻撃
八つ当たりみたいな行動です。本来の対象に攻撃できないとき、身近にある他の物に対象を変えて攻撃をしてしまいます。

・遊びによる攻撃
遊んでいる中での攻撃です。社会性が備わっていればある程度の加減がされますが、社会化が十分でない個体は本気で攻撃してくる傾向にあります。
そのため、十分な社会化は噛み癖をつけないことにもつながります。

・母性による攻撃
母猫が子猫を守るためにとる攻撃行動です。

・捕食性攻撃
獲物を捕まえるときにとる攻撃行動です。実際に獲物がいない場合、身の回りの物に対して捕食性攻撃を行うことがあります。

・学習による行動
噛むことで何かいいことが起こったとします。そうすると、「噛めばいいことが起こる」と間違った学習をしてしまい、噛むことが習慣化して噛み癖となります。

猫ちゃんが手や足を噛むと言っても、その理由はシチュエーションによって様々だと思います。手や足ではなく物を噛んでいることもありますね。

まずは噛んでいる状況や対象から、上のどの理由によるものなのか見当をつけて対処していきましょう。


猫が噛む理由を見極めるポイントは?

◆猫が噛む時にどんな状況か

「猫が手や足を噛むので困る」という相談を受けるとき、大抵の専門家はまず「その時何をしていましたか?」と聞きます。
飼い主側からのアプローチで噛む行動が誘発されたのかこちらは何もしていないのに猫側から主体的に攻撃してきたのかで、猫が噛んできた理由や対処法が変わるからです。

◆どのような状況で飼っているか

そして、もう一つ必ず聞くのが「どのような状況で飼っているか」です。
飼育環境というのは、猫の性格の形成や行動パターンに非常に重要な要素を持つので、そこに噛む理由が隠れているときがあります。

◆どんな噛み方だったか

「噛み方」も大切です。本気で噛んでくるのか、手加減されているのか、どれくらいの期間噛んでくるのかなどです。いわゆる噛み癖がついてしまっているのか一時的なものなのかで対応は変わってきます。


猫が飼い主さんの手や足を噛む理由は?

飼い主の手を噛む猫

それでは早速一般的なシチュエーションで、噛み癖について考えていきましょう。
妊娠していたり子猫がいたり極端なストレス下にいたりという特殊な状況ではなく、日ごろから仲良く暮らしている成猫との暮らしをベースにします。

◆手や足にじゃれついて甘噛みする

噛み癖の代表例です。この理由は「遊びによる攻撃」である可能性が高いです。加減を知らずに噛んでくるので時に傷がついてしまいます。

社会化が十分にされていないとこのような噛み癖になってしまっています。猫は悪いことだと思ってやっているわけではありません。

猫が甘えてたのに急に噛むのには理由がある!猫の愛撫誘発性攻撃行動を詳しく解説! 猫が甘えてたのに急に噛むのには理由がある!猫の愛撫誘発性攻撃行動を詳しく解説!

◆じゃれている訳ではないが時々手や足を噛んでくる

遊びによる攻撃の場合は、大抵噛むだけでなく引っかいたり後ろ足で猫キックを繰り出してきたりします。そうではなく、一噛み、二噛み程度してくるときは、何かを要求しているのかもしれません。

この噛み癖には、「学習による攻撃」が関係しています。
じゃれて噛みついたときに飼い主さんが仕事の手を止めて遊んでくれた、お腹がすいたのだと思って餌をくれたなど…飼い主さんにそんなつもりはなくても、勝手に猫が間違った学習をしてしまい、噛み癖がついてしまったというパターンです。

◆撫でようとしたら本気で手を噛む、抱っこしようとしたら本気で手を噛む

この場合、第一の理由として考えなくてはいけないのが「痛みによる攻撃」です。ケガをしていないか、体のどこかにしこりができていないかなど、ボディーチェックをしてあげましょう。意外とこういうところから重大な病気を発見できることもあります。

特に問題なければ「優位性攻撃」が理由である可能性が高いでしょう。自分の方が立場が上だと思っているので、気に入らないことをされて攻撃してくるわけです。

◆何もしていないのに急に飛び掛かってきて噛む

飛び掛かってきて噛む理由は「捕食性攻撃」である可能性が高いです。

猫は狩りをする動物で、昔はネズミ捕りを専門にしていました。静かに忍び寄り、間合いを詰めたら一気に飛び掛かって前足で捕らえる。そしてネズミの首筋を噛むことでトドメをさします。
家猫の場合、このネズミや小鳥などに行う行動の対象が、飼い主の手足になることが多いというわけです。

猫は本能として真剣に狩りをしているので、本気で噛むことになってしまいます。

愛猫がいきなり噛むのはなぜ!?理由を知って適切に対処しよう 愛猫がいきなり噛むのはなぜ!?理由を知って適切に対処しよう


手や足に噛みついてくる時の対処法は?

疑問に思う子猫

猫の噛み癖は、それぞれの理由によって対処法を選択しましょう。

例えば、痛みによる攻撃であれば、病院に連れて行って痛みのもとを治療してあげます。転嫁性攻撃であれば大元のストレスを探って除いてあげます。

◆まずは猫との関係を見直す

優位性攻撃は、猫や犬の問題行動の中で非常に大きな割合を占めているものです。猫は犬ほどの縦社会を持っていませんし、主従関係もありませんが、相手が自分より上か下かという目線では見ています。

猫を飼うのであれば、飼い主さんがこの上下関係の上の立場に立っていないと、人にとっても猫にとってもストレスの原因となります。まずは猫との関係をしっかりと見直すようにしましょう。

◆ご飯や遊びの時間は飼い主さんが決める

意図せず猫中心の生活になっていませんか?猫は気ままでわがままな動物だから、それで良しとして好き放題やらせていてはいけません。

特に食事の時間、遊ぶ時間を飼い主さんのタイミングで決めましょう。遊びも猫が満足するまで続けるのではなく、飼い主さんのタイミングでやめにします。おねだりされても言いなりにならず、決めたことを守るようにしてください。

手や足を甘噛みしてきた時は、遊びを中断したり、構うのをやめたりして対応しましょう。人を中心とした生活に猫を取り込んでいくことで、双方にとって安定した生活が実現できます。

◆静かにその場を離れ、猫を一人にする

猫は、噛んだ時に構ってもらえなくなれば、行動と結果の因果関係を学習していきます。手や足を噛まれたら、自分がその場を離れるか、猫を別室またはケージに移動させるかして、一切構わない時間を作りましょう。

手や足を噛むことなく過ごせたら、おやつなどでご褒美をあげます。段々と学習していき、手や足を噛むことはなくなっていくでしょう。

◆大きな音でびっくりさせる

「人の手や足を噛んだら良くないことが起きる」「噛まなければ良いことが起きる」ということを学習し直させる方法です。

空き缶を投げるなどして瞬時にびっくりさせて、噛む行動を中止させます。投げる方向は猫の目の前でもいいですし、すぐ後ろでもいいです。大きな音が出せれば方法は何でも構いません。

空き缶を投げたのが噛んだ相手だと猫にばれると効果はありませんので、家族に協力してもらいましょう。

◆おもちゃなどで欲求を解消させる

捕食性攻撃の場合、これは猫にとって必要な行動ですので、この攻撃を消すことはできません。対象が人の手や足ではなく、おもちゃになるよう環境を整えてあげてください。

狩りへの欲求を満たすおもちゃはたくさん販売されています。十分な時間を与えるだけでなく、狩りに模した遊びを一緒にたくさんしてあげましょう。日頃の生活の中で狩りへの欲求が満たされれば人の手や足を噛むことはありません。

◆叱ったり体罰はNG

オススメしないのが「叱る」行為です。下に見ている相手が反撃してきたら、余計に大きな攻撃行動で返してくるので、叱っても攻撃を助長するだけで解決できないからです。

特に、叩くなどの行為もご法度です。逆に恐怖性攻撃行動を引き起こしたり、攻撃対象を他の物へと変えたりしてもっと深刻化することがあります。

猫にしつけはできる?信頼関係を崩さずルールを覚えて貰う方法とは? 猫にしつけはできる?信頼関係を崩さずルールを覚えて貰う方法とは?


まとめ

色々と見てきましたが、猫ちゃんの困った行動に対しては理由をはっきりさせて対策することが大切です。そして、その対策は猫に対してだけでなく人に対しても考えることが大切です。
基本的には「環境を整える」ことと、「学習行動」の2本柱で噛み癖に限らず多くの問題行動は解決できます。

人が猫の噛み癖を引き起こしていることも多々あります。飼い猫との接し方や共有している時間などを考えて良い関係づくりができる環境を整えてあげましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PetSmileにゃん部

PetSmileにゃん部

にゃんこ大好きPetSmileにゃん部です。猫ちゃんにまつわるエピソードやお役立ち情報を発信します♪


記事に関するお問い合わせはこちら