喘息とは?
喘息とは、発作的に喉がゼイゼイする喘鳴や呼吸の苦しさ、胸の苦しさ、激しい咳や痰が出て、その症状が繰り返される病気のことです。
喘息になるのは、アレルギーによるものと、それ以外によるものがあります。
◆猫アレルギーの喘息とは?
アレルギーとは、体内に入ってきた異物に対して、体が過剰な免疫反応をすることによって、全身または体の一部分に症状が出ることです。
アレルギーによって起こる喘息の原因として、花粉やダニ、ハウスダスト、カビなどがありますが、猫との接触も原因となります。
猫アレルギーは、猫から分泌される物質を人間の体が異物だとみなして、反応が引き起こされます。アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と呼びますが、猫が分泌するタンパク質が猫アレルギーのアレルゲンとなっています。
◆猫と同じ部屋にいるだけで症状がでることも
猫アレルギーのアレルギンとなるのタンパク質は、猫の唾液や涙、フケ、肛門腺分泌液などに含まれています。
猫の毛そのものにはアレルゲンは含まれていませんが、猫がグルーミングで体を舐めたり、フケが毛に付着したりするので、猫の毛に触れることでも喘息が起きることがあります。
さらに、猫アレルギーのアレルゲンは花粉よりも粒子が細かいので、空気中に舞いやすく、猫と同じ部屋にいるだけでも症状が出ることもあります。
喘息でも猫を飼える?考えなければならないこと
猫を飼いたい人が喘息持ちだったら、猫を飼うことはできるのでしょうか?
◆工夫次第で飼うことができる場合も
すでに喘息の症状が出ている人でも、猫を飼いたいという気持ちが強い時には、工夫次第で飼うことはできます。
ただし、安易な気持ちで猫を飼いたいという人には、おすすめできません。
特に、猫アレルギーによる喘息のある人が猫を飼う時には、喘息の症状ができるだけ緩和されるような飼い方を徹底する必要があります。
◆猫と暮らすことで新たに発症する可能性
猫アレルギーではない喘息の症状を持っていても、猫と暮らすことで、猫アレルギーも発症する可能性があります。
アレルギー症状によって、喘息だけではなく、命にかかわるような症状が出ることもありますし、ひどい症状を起こすと後遺症が残る場合もあります。
◆猫にストレスをかける可能性
猫を飼ったものの、アレルギーで喘息がひどくなったということになれば、猫を手放さなければなりません。
里親を探す必要が出てくるだけでなく、飼い主や環境が変わることで、猫に本来なら与えなくてもよかったストレスを与えることにもつながります。
◆猫を飼う前によく考えましょう
喘息があって猫を飼いたいという人は、自分の命と猫の命、どちらも大切にできる方法を慎重に選ぶ必要があります。
例えば、子供がいて喘息持ちだが猫を飼いたいという場合には、どのように体調が急変するかわからず、自分で対処できない子供のことを考えると、猫を飼わない方が良いでしょう。
よく考えた上で、猫を飼いたいけれども諦める、といった選択肢もじゅうぶんあるということです。
猫アレルギーの検査方法、費用は?
猫を飼いたい人は、自分や家族が猫アレルギーかどうかを、検査して知っておいた方が良いですね。
猫アレルギーの検査方法には、血液検査、生体検査があります。検査をする病院は、ある場合はアレルギー科、他には、耳鼻科や皮膚科でも受けることができます。
猫を飼いたいので、ということを伝えて検査をしてもらうと良いでしょう。
◆血液検査
血液検査では、採血して、血液中のアレルゲンを色々な方法で検出します。血中に含まれる抗体が多ければ多いほど、アレルギーの可能性が高いことになります。
「IgE-MAST33」という検査では、1度に33種類の項目について調べてもらうことができます。
項目には、食品アレルゲン、花粉アレルゲン、環境アレルゲンなどがあり、環境アレルゲンの中に猫の皮膚が含まれているので、猫アレルギーかどうかを調べることができます。
健康保険が適用できると、検査費用は5,000円ほどです。その他に診察料などがかかります。
任意で調べたい項目だけを検査してもらうこともできますので、その場合は費用が少し抑えられます。
検査の結果は、1日から数日かかります。また、検査方法によっては結果が違ってくることもあるというデメリットがあります。
◆生体検査
皮膚に直接アレルゲン物質を接触させて、抗体の有無や、皮膚や体全体の反応を見て行う検査です。検査方法には、プリックテストやスクラッチテストがあります。
プリック(乱刺)テストやスクラッチ(掻皮)テストは、前腕の内側や背中など体毛の少ない部分に、出血しない程度で皮膚に針で傷をつけ、アレルゲンを接触させて反応を見ます。
15分から30分ほどで皮膚に反応が出るので、早く結果がわかります。
検査の数日前から、普段飲んでいる薬をやめるなどの指示が出ることがあるので、事前に病院に確認しておくようにしましょう。
費用は、健康保険が適用されると、1項目につき420円ほどとなります。
保険が適用されるかどうかや、病院により検査費用が違うこともあるので、事前に問い合わせすることをお勧めします。
喘息症状を緩和させる猫の飼い方は?
猫アレルギーで喘息があるけれど猫を飼いたい、という時には、対策をして、アレルゲンとの接触をできるかぎり減らす飼いかたが必要になります。
◆部屋を分ける
猫が生活する空間と、人間が生活する空間を、分けておくようにしましょう。
特に、飼い主さんが食事する場所、寝る場所、洗濯機のあるところなどには猫が入れないようにしておきます。喘息の原因となるものは猫の毛にもついているので、食卓や寝具などにできるだけ抜け毛を付着させないようにします。
眠る時には、寝る直前に寝室でパジャマを着るようにして、猫と過ごした服は寝室に入れないようにしましょう。
◆猫と離れる時間を作れるようにする
一日中同じ空間で過ごすことが無いようにして、猫と離れる時間を必ず作るようにします。
猫のいた部屋から飼い主だけの部屋へ行く場合には、テープなどで猫の毛を取り、できるだけ部屋に猫の毛が入らないように気をつけます。
猫には十分な運動ができる場所を作り、高低差のある運動ができるようにキャットタワーを置くなどしてあげましょう。
猫ベッドはもちろん、猫の食事場所やトイレも、飼い主さんが長く過ごす場所とは離すようにしましょう。
ワンルームだけど猫を飼いたい、という場合には、仕切りをつくるなどしてできるだけ猫と接触しない場所を作るようにしなくてはいけませんが、喘息を緩和することは難しいと言えるでしょう。
◆猫を触ったら手を洗う
猫と触れ合ったあとは、必ず手を綺麗に洗うように習慣づけましょう。
猫を触った手で顔周りを触ったり、何かを食べたりしないようにして、喘息にならないようにします。猫に餌をあげた後や、猫トイレの掃除をした後も同じです。
室内にずっといたとしても、食べたり飲んだりする前には必ず手を洗うようにしましょう。
◆衣服などの洗濯をこまめにする
猫と過ごした時の服はもちろん、枕やシーツ、布団カバーなどもこまめに洗うようにして、喘息になりにくくします。
布製品には猫の抜け毛やフケなどが付着しやすいので、長い期間使いっぱなしにしないようにしましょう。
スリッパやクッションなども、洗えるものはこまめに洗って、アレルゲンを減らすようにしましょう。
◆掃除をこまめにする
カーペットやじゅうたんはよく掃除機をかけて、カーテンも定期的に洗うようにしましょう。
フローリングはよく吹いて、ホコリが舞わないようにしておきます。空気清浄機を使って、部屋の空気を清潔に保つようにするのも良いでしょう。
猫の抜け毛は、飼い主さんが過ごす空間はもちろん、猫のいる部屋にも溜まらないようにこまめに掃除して取り除いておき、喘息にならないようにしましょう。
◆猫の手入れをする
猫アレルギーで喘息を起こすアレルゲンは、猫の唾液や涙、フケ、肛門腺分泌液に含まれるタンパク質で、猫の抜け毛にも付着します。
猫をよくブラッシングして、布で体を拭きとっておくことで、部屋に抜け毛やフケが舞うのを抑えることができます。
できれば、猫アレルギーや喘息の症状を持たない家族が行うようにすると良いですね。
猫のシャンプーは必ずしも必要ではなく、ブラッシングでも十分に抜け毛を取り除き、アレルゲンを減らす効果があるとされています。
◆猫トイレを清潔にする
猫トイレを清潔にすることでも、喘息を緩和させることができます。
猫の便やおしっこ、臭い、猫トイレ砂などをこまめに取り除いてきれいに保つことで、アレルゲンが部屋に入ってくるのを防ぐことになります。
猫アレルギーのアレルゲンは猫の尿にも含まれているため、長い間放置しないで猫砂を片付けることは大切です。
◆定期的に病院に行く
喘息の症状がある、猫アレルギーである、という人は、定期的に病院で喘息の症状や猫アレルギーの反応を診てもらい、体調に変化がないかを確認した方が良いでしょう。
少し具合が悪いなと感じた時でも、軽い風邪などだとしても、悪化することがあるので、早めに病院へ行くように心がけましょう。
◆猫アレルギーが出にくい猫の種類を選ぶ
喘息だけど猫を飼いたい、という時には、喘息が起きにくい(猫アレルギーがでにくい)とされる猫を選ぶという方法もあります。
オス猫よりもメス猫、長毛よりも短毛の猫が、喘息の症状が出にくいとされています。
また、スフィンクスは喘息がある人にもおすすめする猫種です。
スフィンクスには産毛があり、フケも出るため、猫アレルギーによる喘息が全くなくなるわけではありません。しかし、抜け毛は他の猫よりも格段に少ないので、猫アレルギーによる喘息は抑えることができると言えるでしょう。
まとめ
喘息がある人が猫を飼いたい時には、工夫と努力をすることで猫を飼うこともできます。
しかし、喘息が悪化する可能性もありますので、飼いたいからといって気軽に猫を飼うことはおすすめできません。
かかりつけの医師とよく相談し、猫の一生を面倒見られるかをよく考えて、飼い主さんも猫も幸せになれる選択をしてくださいね。
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