猫のしつけに関する基本の考え方
猫の具体的なしつけ方法の前に、まずは猫のしつけについての考え方を知っておきましょう。
猫のしつけは、生まれてから子猫の間に身につけるものと、子猫時代から成猫になっても身につけられるものがあります。
◆猫の社会化期に身につけるしつけ
生まれてから子猫の間に身につけるべき大きな事は、「人間に触られることが平気になる」ということです。
子猫が生まれてから生後2ヶ月くらいまでの間を「猫の社会化期」と言い、猫同士のルールを覚えるのもこの頃です。
そのため、この時期に人間に馴れるようにしつけておくと、その後も人間に触られるようになり、人懐っこい性格になるというものです。
社会化期に人間に馴れずに成猫になると、人間に馴らすことがとても困難になり、馴れるまでにも時間がかかります。
◆猫のしつけは飼い主さんの条件付け
猫のしつけは、毎日するトイレのしつけから、猫特有の習性である爪とぎのしつけ、また飼い主さんを噛む、引っ掻くといった行為をやめさせるしつけ、その他に問題行動があった時のしつけなどがあります。
これらは、飼い主である人間と猫とがお互いにうまく生活していくために必要なことです。
成猫になってからのしつけは、飼い主さんが行う条件付けがとても大切になってきます。
具体的にいうと、何かをしたからご褒美がもらえた、何かをしないと良いことがある、嫌なことがあるから行動しないといった、猫にとって自然な状況を飼い主さんが作ってあげるということです。
その結果、ご褒美がもらえるから寄ってくる、ご褒美がもらえるからテーブルに乗らない、爪とぎをしようと壁に近づくと嫌な匂いがするのでやめるなどのようなしつけができるということになります。
◆猫が問題行動しないようにうまく仕向けることが大切!
猫は、犬ではないので、犬と同じようなしつけを行うことはとても難しいと言えます。
理由として、猫と犬との潜在的な能力の差があること、猫は犬ほどご褒美のおやつに執着しないこと、猫は飼い主から褒められるために行動するという習性がないことなどがあげられます。
猫にご褒美をあげることが、条件付けのしつけとしては最も効果がありますが、猫は気まぐれな性格なため、必ず言うことをきいてくれるわけではありません。
さらに猫に対して罰を与える(たたく、水を掛けるなど)、悪いことをした時に叱るといった行動は、猫にとってはしつけにならない場合が多いでしょう。
なぜかというと、猫にとっては、罰を与えられたり叱られたりしたことと、人間にとって好ましくない行動をしたことが結びつかないからです。
そのため、猫が自然に問題行動をしなくなるようにうまく仕向けることが、猫のしつけにつながると言えます。
猫のしつけ【トイレ】
◆猫のトイレのしつけ方法
猫は砂のあるところで排泄をするため、トイレだと認識すると、その後は自分からトイレに入って排泄をしてくれます。猫のトイレのしつけは、比較的簡単だと言えます。
初めて猫に家の中でトイレを使わせる場合には、次のようにすると良いでしょう。
・猫が地面を掻く、ウロウロするという行動をしたら、トイレに連れて行く
最初はトイレから出てきてしまうかも知れませんが、何度も根気よくトイレに連れていくようにしましょう。
◆トイレを失敗した場合
もしトイレ以外の場所でおしっこをした場合には、おしっこをティッシュなどに取って匂いをつけてトイレに入れておくと、そこがトイレだと認識するようになります。
最初が肝心なので、トイレを覚えるまでは猫の行動をよく見て、トイレの場所を覚えさせるようにしましょう。
猫のしつけ【スプレー(マーキング)】
◆スプレー(マーキング)とは?
普段のトイレと違い、猫がおしっこを壁などに吹き付ける「スプレー」という行為をすることがあります。これは猫のマーキングと言われ、なわばりを主張するためや、発情期に異性の猫を引き付けるために行います。
マーキングは壁だけではなく、家具やクッション、カーテンなどにもすることがあります。
マーキングをされると強い臭いがつくだけでなく、シミになって残ることもありますので、マーキングしないようにすることが大切です。
しかし、発情期の場合には、マーキングしないようにしつけをすることはとても難しいと言えます。本能による性衝動によってしてしまう行動なので、抑えることはできないと考えても良いでしょう。
◆スプレー(マーキング)の対処法
しつけとは違いますが、子猫を望まないのであれば、去勢や避妊の手術をすることが対策のひとつとなります。
また、発情期以外でスプレー行為が多い場合には、発情期の性衝動からくるものではなく、反応性のものと考えられます。
反応性のスプレー行為は、猫が何らかのストレスを感じているために起こります。
・新しい家具が増えた
・新しい家族が増えた
・他のペットと仲がよくない
・飼い主にかまってもらえない
反応性のものであれば、上記の原因を取り除いたり、改善したりすることで、問題行動としてのスプレーを減らせることができます。
そして猫が汚してしまった場所は、洗剤を使って綺麗に掃除をして、臭いを残さないようにしておくことが大切です。
猫のしつけ【爪とぎ】
◆爪とぎも猫の本能的な行動
猫の爪とぎも、本能からくる自然な行動のため、しつけによってやめさせるということは難しいでしょう。
しかし、猫に好きなように爪とぎをさせると、家の壁や柱、家具などがボロボロになってしまいますし、もし集合住宅であれば、余計に傷をつけるわけにはいきませんね。
そのため、爪とぎをしても良い場所で爪とぎをするようになるということが、猫の爪とぎのしつけだと言えます。
猫の爪とぎが販売されていますので、それを部屋に設置し、そこで爪とぎをするようにしつけましょう。
◆爪とぎのしつけ方法
猫が壁や家具などで爪を研ごうとしたら、爪とぎの前に連れていってあげるようにします。
正しい場所で爪とぎをしたらおやつをあげる、声かけをして撫でてあげるといったご褒美を与えた方が、爪とぎのしつけがうまくいきやすくなります。
また、猫が好む爪とぎというものがあります。猫が好む爪とぎの素材は、ロープ(麻縄など)が巻かれたもの、カーペットが貼ってあるもの、ダンボールです。
その他、斜めの面よりも、床と垂直に立っているか、水平になっている爪とぎを好んで爪を研ぐ傾向があります。
猫によって好みも違うため、猫が喜んで爪を研ぐような爪とぎを選んであげられれば、不適切な場所での爪とぎをやめさせることができるでしょう。
猫のしつけ【噛み癖・ひっかき癖】
◆猫が噛む・ひっかく理由を知ろう
猫が飼い主さんを噛む、ひっかくといったことは、それほど珍しいことではありません。猫が噛む、ひっかくという攻撃をする場合には、相手に対する恐怖や縄張り争い、病気などで体調が悪いなど様々な理由があります。
猫に怖い思いをさせたり、嫌がるのに抱こうとしたりなどすれば、噛んだりひっかかれたりすることは仕方ないので、猫のせいではありません。
しかし、怪我をしたり、怪我がもとで感染症になったりする可能性もあるので、噛むことやひっかくことが癖になっている場合、やめさせることはとても大切です。
◆噛み癖・ひっかき癖のしつけ方法
猫同士であれば、社会化期にきょうだい猫や親猫と遊ぶことで、力の加減を学びます。
一方、飼い主さんが猫のきょうだいや親代わりの場合には、手で遊ばないということが最大のしつけになります。猫じゃらしなどのおもちゃで遊ぶようにして、人間の手を噛む、ひっかくということが起こらないようにしましょう。
猫のしつけ【鳴き癖】
◆猫の鳴き癖の原因
猫が大声で鳴くと、飼い主さんの生活だけではなく、近所の迷惑にもなりますので、しっかりしつけたいところです。
しかし、鳴いたからといってそのたびに猫を叱っても、しつけにはなりませんので、猫が鳴く原因を取り除くことが大切です。
猫が鳴く時には、多くは飼い主さんへの欲求が原因です。
餌が欲しい、外に出たい、かまってほしいなど、鳴くことで飼い主さんが言うことをきいてくれた経験から、鳴いて催促をするようになったと考えられます。
◆猫の鳴き癖のしつけ方法
根気がいることですが、猫が鳴いても反応せず、猫が鳴かなくなったらなでる、餌をあげるといったやり方で、猫が鳴かないようにしつけていく方法があります。
また、分離不安といって、飼い主さんと離れることが不安で大声で鳴くといった場合もあります。
この場合は、猫とのスキンシップを増やし、ストレスになっていそうなことを取り除くという行動が必要になってきます。
猫のしつけをする時の注意点
猫のしつけをする時には、叱ったり、叩いたりすることは、ただ怖い思いをさせるだけになってしまうでしょう。
叱ることはしつけになかなかつながらず、また、褒めるだけでも必ず言うことを聞いてくれるという結果にはなりません。
猫が自然に行動しても問題行動にならないようにすることが、しつけになると言えます。
例えば、
・鳴いたら叱る、または言うことを聞いてあげるのではなく、鳴かないでいたら餌をあげる。
・壁で爪を研いだら叱るのではなく、爪とぎをうまく使ったら撫でる。
などの行動をして、問題行動をしないようにしていくということです。
猫のしつけをするには、飼い主さんの発想の転換が必要になるとも言えますね。
猫のしつけのまとめ
猫をしつけることは、猫をむやみに叱ることをなくし、人間との共同生活が快適になるために大切なことです。
罰を与えるのではなく、猫の習性を利用して、猫が自然にうまく動くようにしてあげることがしつけです。
猫によって個体差があるために、猫のしつけは一筋縄ではいかないことも多いと考えられます。そのため、猫の飼い主としては、自分の猫の習性や性格を見抜いてしつけをする必要があります。
慣れや繰り返しで根気よく接することで、猫は人間との生活のルールを覚えてくれるようになるでしょう。
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